ベントレー「ベンテイガスピード」豪華でハイパフォーマンスな世界最速SUV

ベントレー初のSUVとして登場した「ベンテイガ」は、豪華な内外装とスポーティな走行性能が魅力で、瞬く間にベストセラーとなりました。そのベンテイガに、高性能モデルとして「スピード」が追加されました。

SUV世界最速のベントレー「ベンテイガスピード」とは

 イギリスの超高級車メーカー「ベントレー」の創業は、いまからちょうど100年前の1919年。創業当初より熱心にレースに参戦していましたが、創業5年目の1924年にはあのルマン24時間で優勝するという快挙を成し遂げています。

SUVとして最速の時速306キロを誇るベントレー「ベンテイガスピード」

 以来、1930年までにルマンで5勝を挙げますが、直後にロールス・ロイスによって買収され、この関係は1998年まで続きました。この間、ロールス・ロイスもベントレーも基本的には同じ設計でしたが、ロールス・ロイスが豪華で優雅なクルマ作りを目指していたのに対し、ベントレーは贅沢ななかにも力強さやスポーティさを表現するという明確な違いがありました。

 当時の伝統は現在も息づいており、ベントレーの内外装はロールス・ロイスと肩を並べるほど豪華で華麗ですが、走ってみると実にスポーティ。また、ルマンで優勝したことからもわかる通り、高速連続走行でもびくともしないスタミナを備えており、かつてはイギリスから南欧まで一気に走り抜けるグランドツアラーとしても活躍しました。

 そんなベントレーが2015年に発売した初のSUVが「ベンテイガ」です。いまではロールス・ロイスやランボルギーニもSUVを発売していますが、超高級自動車メーカーが作るSUVはベンテイガが史上初となりました。

 しかも、ベントレーらしい豪華さと走りの良さを兼ね備えていたため、またたく間にベストセラーとなり、いまではベントレー全体の52%を占めるほどの生産台数を誇ります。

 このベンテイガに新たに追加された「スピード」は、ベントレーの高性能モデルに与えられる伝統的なネーミングで、W12 6リッターの巨大なツインターボエンジンは標準仕様の+27psにあたる635psを発揮。およそ2.5トンのボディを時速306キロの最高速度に到達させるパワーを誇ります。ちなみに、これは市販のSUVとして世界最速にあたるそうです。

限界走行でも驚くべき安定性を見せる

 ベンテイガスピードの試乗会は、イギリス・北ウェールズのアングルシィサーキットで行われたのですが、本来はサーキットを走るようなクルマではありません。あまりにも高性能なため、その実力を見極めるにはサーキットのほうが安全で好ましいと考えられということで、今回のサーキット試乗が実現したのです。

ベントレー「ベンテイガスピード」

 公道を走るために生まれた量産車でサーキットを走ると、コース幅が広く、ストレートが長いために必要以上にパワー不足に感じてしまうものですが、ベンテイガスピードではまったくそれがありませんでした。また、足回りから伝わってくる感触も実に洗練されたもので、不快な振動や騒音はほとんど感じられません。

 それ以上に驚かされたのが、タイヤが滑り始めるような限界的なペースで走っても、クルマの操縦性が神経質に変化したり、挙動を乱したりすることがなかった点です。

 最近の量産モデルの多くは、クルマの不安定な挙動を自動的に抑えるスタビリティコントロールと呼ばれる機能が搭載されていますが、今回の試乗では助手席に腰掛けたインストラクターが私の知らないうちにこのスイッチを切っていたと、試乗後に聞かされました。

 それでも挙動を崩さず、安定した姿勢を保ち続けたベンテイガスピードは驚くべき高性能SUVだと感じました。

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