ベントレー「ベンテイガスピード」豪華でハイパフォーマンスな世界最速SUV
4ドアセダンの新型「フライングスパー」も登場
今回のイギリスツアーでは、まもなく登場する新型「フライングスパー(3代目)」に触れる機会も得られました。
フライングスパーは、ベントレーの主力車種のひとつである「コンチネンタルGT」の兄弟モデルで、共通の基本設計を用いながらコンチネンタルGTは2ドアクーペ、フライングスパーは4ドアセダンと作り分けられてきました。
ただし、一般的にいって4ドアセダンは2ドアクーペの影に隠れがちで、地味な存在と受け止められることが多かったといいます。
こうした悪しき慣習を打ち破るため、新型フライングスパーには多くの新機軸が盛り込まれました。とくに目を惹くのがそのデザインで、4ドアセダンの基本は守りながらもより華やかで心おどるスタイリングに仕上げられています。
たとえば、リアウィンドウを強く寝かすことでクーペ風のスタイリングを作り出し、軽快でスタイリッシュなイメージを打ち出しています。そのいっぽうでボンネットはコンチネンタルGTより高めに設定し、フロントマスクもより垂直に近く、より高く仕立てることでセダンらしい威厳も得ています。
内装はとても華麗です。センターコンソールにはフライングB(ベントレーのトレードマーク)をふたつ向かい合わせに並べた一種のマスコットが飾られていますが、まるで彫刻のように立体的で凝った造形です。
シートに施された刺繍は、上部がダイヤモンド型で、これが下にいくにつれて空から降る雨のようにまっすぐ伸びた直線になります。その優雅な形状から、ベントレーは“Cathedral Window(大聖堂の窓)”と呼んでいます。なるほど、古くて大きな教会で目にする巨大なステンドグラスのようにも見えます。
ベンテイガスピードは日本では20台だけが販売される限定モデルで価格は3086万円。フライングスパーの価格はまだ発表されていませんが2000万円は下らないでしょう。
「そんな高価なクルマが必要ですか?」と問われたら、「必要とはいえません」と答えるしかありません。
ただし、それは「100万円のスイス製高級腕時計」や「美しい毛皮のコート」が不要と考えるのと同じ。たとえ性能的には不要でも、人の心を豊かにするぜいたく品まで否定すれば、人々の営みがギスギスしたものになるように思います。
憧れの存在は憧れとして生き続けているほうが、人生に彩りを与えてくれるのではないでしょうか。
【了】
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