電車の「逆走」は車でも起きるか? シーサイドラインと車の「自動運転」違いとは
サービスカーはより公共性の高い乗り物
オーナーカーに対してサービスカーとは、米グーグルの子会社「ウェイモ」やトヨタの「e-パレット」などに代表される、タクシーや小型バスの代替手段になるような公共性の高い自動運転車のことです。こちらは自動運転レベル4、またはレベル5を想定しており、完全自動運転と呼ばれます。
レベル4は、専用レーンや走行時間帯を限定する考え方で、レベル5はいつでもどこでも走行できる究極の自動運転を想定しています。
つまり、シーサイドラインは、クルマに例えるとレベル4の状態での自動運転に相当します。ただし、電車においては、クルマでいう自動運転レベルをそのまま当てはめて考えることは一般的にしません。
現在、技術的にはレベル4やレベル5でも、オーナーカーと同じような先進的なセンサーなどを複合的に使うシステムが研究開発されています。
そのなかで、電車に近い形でのクルマのレベル4の自動運転としては、ヤマハ発動機の「ランドカー」というゴルフカートを用いた自動運転車による実証試験があります。
地中に電線を埋設して、そこに電気を流すことで生まれる磁気を車体側で検出して自動運転を行う仕組みで、これを電磁誘導型の自動運転といいます。遠隔で走行状態を常に監視することで、無人走行も可能となります。
電磁誘導型の自動運転のメリットは、導入コストの安さです。インフラの整備コストはシーサードラインのような新交通システムに比べてかなり低く抑えることができます。
一方デメリットは、走行する範囲が電車の軌道のように限定されてしまうことです。また、大量の人を輸送するためにはカートを複数連結させる必要があるなど複数あります。
このように、電車の自動運転とクルマの自動運転には似ている部分と似ていない部分があるのです。
【了】
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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