打倒トヨタ「アルヴェル」か? メルセデス・ベンツの高級ミニバン「Vクラス」の魅力とは
メルセデス・ベンツの大型ミニバン「Vクラス」の新型モデルの試乗会がスペインで行われました。開発者によると、なんと「トヨタ」の高級ミニバンを意識して開発されたといいます。はたして、これまで以上の高級感を新型Vクラスは得ることができたのでしょうか。
高級ブランド「メルセデス・ベンツ」の新たな挑戦とは
メルセデス・ベンツ(以下、メルセデス)のミニバン「Vクラス」に初の大幅改良が行なわれました。Vクラスは1998年に初代が登場して以降、欧州のミニバン市場をけん引してきたモデルです。
ただ、どちらかというとビジネスユースで使われることが多いため、良くいえば「質実剛健」、悪くいえば「商用車ライク」のイメージから抜けだせていないのも事実でした。
その一方、日本ではミニバンは独自の進化を遂げており、特にトヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」(以下、アルヴェル)はセダンに代わる新たな高級モデルとして人気です。そのトレンドはアジア各国へも飛び火し、現地では日本以上のステイタスが与えられています。
このように欧州と日本/アジアではミニバンに対するニーズが異なっている、という話をVクラスの開発陣としたところ、なんと「新型Vクラスを開発する際に『トヨタ』を強く意識した」、「現地法人からのフィードバックを反映している」というのです。
筆者(山本シンヤ)はこれまで国内外でさまざまな輸入車ブランドのエンジニアと話をしてきましたが、日本のブランド、それもトヨタの名が出てきたのは初めてでした。日本のミニバン文化があのメルセデスを動かしたということに、正直びっくりしました。
では、新型Vクラスはどのような進化を遂げたのでしょうか? 日本導入は2019年ギリギリか、もしくは2020年初頭の予定ですが、ひと足お先にバルセロナ(スペイン)で開催された国際試乗会に行って乗ることができました。
●力強さを増した外装デザインを採用
外装はフロントマスクを中心に変更が行なわれています。最新のメルセデス・ベンツのデザイン言語が用いられ開口部が拡大したフロントバンパーや、LEDヘッドライト、新デザインのアルミホイールの採用などで、従来モデルより“力強さ”を増しています。
ただ、「どうだ」と迫り来るアルヴェルのような押し出し感ではなく、あくまでもメルセデスの域の中での“力強さ”です。さらにスポーティ仕様の「AMGライン」では、ダイヤモンドグリルやクローム装飾などで、より“華やかさ”も増しています。
ボディカラーは豊富に用意されていますが、新型ではグレー/シルバー/レッド/ブルーが新色です。
一方、内装はタービンルックのエアベントや装飾パネルなどにより、スポーティな印象が増したインストルメントパネルを採用しました。ただし、最新のメルセデスのようなフル液晶メーターやステアリングスイッチ、更に「ハイ! メルセデス」のウェイクワードでおなじみの「MBUX」は採用されていません。
開発陣に理由を聞いたところ、お茶を濁す返答しか得られませんでしたが、「高級セダンに代わるモデル=運転手付」ということから、優先度はそれほど高くなかったのだろうと筆者は想像します。
2列目から後ろ部分の仕様は用途に合わせて、片側スライドドア/両側スライドドア、ベンチシート/キャプテンシートなどさまざまなバリエーションが用意されていますが、今回の目玉はオプション設定の「ラグジュアリーシート」です。
大型アームレスト、エアクッション付ヘッドレスト、オットマン、シートヒーター&シートクーラー、マッサージなどが採用されていますが、これはアルヴェルに用意されている「エグゼクティブラウンジシート」をかなり意識しているはずです。
ただ、3列目へのアクセス性や機能の部分に関しては、アルヴェルに一日の長があると思います。
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