まだSUV続く? ミニバン・コンパクトカーなど過ぎゆくトレンドの次なるクルマ業界の一手とは
自動車業界のトレンドは複雑な変化を見せる
一方で、違う見方もあるようです。前出とは別の自動車メーカー関係者は、「日本において、という前提ですが、ますますシンプルで安いクルマが求められるかもしれません。クルマ好きとしても自動車メーカーの社員としてもさみしいですが、移動道具に徹するという考えですね」といいます。
2019年4月に開催された、上海モーターショーでは、SUVの多さに圧倒されるともに、電気自動車のスーパーカーの多さに驚きました。なかにはSUVクロスオーバーのスーパーカーまであるのだから驚きです。
こうして平成を振り返ってみると、販売ランキング上位のメインストリームとしてはセダンで始まり、ミニバンが大流行した後にコンパクトカーとハイブリッドカーが定番化したのが平成のクルマ界におけるトレンドの変化です。
また、2001年から2012年までは、販売ランキングトップ20のうち7モデル以上はミニバンという時代も。小さなモデルから大きなモデル、背の低い車体から背の高い車体まで数多くのラインナップが用意され、まさにミニバン百花繚乱の時代といえます。
そのため、自動車業界的には多様化していくSUVはトレンドですが、販売台数では、トップ20に3台とミニバンのときのようにトレンドと人気は比例しないのかもしれません。
さらに、乗用車販売における軽自動車比率は1989年時点では約25%だったのに対して、2019年では35%程にまで上昇するなど、軽自動車比率が高まっているのも平成における自動車ニーズの変化といえるでしょう。
自動車のトレンドは、景気や世の中の考えなど時代を映す鏡です。これから始まる令和という時代は、果たしてどんなジャンルのクルマがブームとなるのでしょうか。
【了】
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
いい加減、無駄にデカくて邪魔な「ミニバン」の呼び方を改めませんか?
「デカバン」もしくは「送迎バン」と呼ぶのがふさわしい。