昭和天皇、今上天皇に愛された史上最強、最大のVIP車「プリンス・ロイヤル」とはどんなクルマ

プリンス・ロイヤルはどのような行事に使われた?

第13回(1966年)東京モーターショーでお披露目。巨大なボディとエンジンが観衆を圧倒(写真提供:日産自動車)

 赤坂離宮に展示されていた御料車の横には、これまで迎賓館赤坂離宮で使用されてきた例が掲載されていました。これによると、

●平成3年4月 ソビエト連邦共和国大統領の接遇
●平成8年4月 アメリカ合衆国大統領の接遇
●平成8年11月 フランス共和国大統領の接遇
●平成9年4月 ドイツ連邦共和国大統領の接遇
●平成11年4月 ルクセンブルク大公国大公の接遇

 また皇室での行事では、退役となる直前の平成17年には1年間で50回使用されました。その内訳をみてみると、

●国賓への差し回し 20回
●国賓以外の外国賓客(元首)への差し回し 13回
●天皇皇后両陛下行幸啓関係 7回(天皇陛下国会開会式御臨席、天皇皇后両陛下全国戦没者追悼式御臨席、天皇皇后両陛下外国御訪問のため東京国際空港など)
●その他、天皇皇后両陛下宮中行事等関係 6回、皇太子殿下御名代関係 1回、紀宮殿下御結婚関係 2回
●故高松宮妃殿下御喪儀関係 1回

となっています。

 平成元年2月24日に行われた昭和天皇の葬儀(大喪の礼)においては、プリンス・ロイヤルを改装した寝台車が使われました。

プリンス・ロイヤルの後継はセンチュリー・ロイヤル

 プリンス・ロイヤルの後を継いで平成18年7月よりも御料車として使用されているのはトヨタ「センチュリー・ロイヤル」です。当時、宮内庁ではプリンス・ロイヤルが御料車としての役目を終えることに関して以下の発表を行いました。

「現在の御料車『ニッサン・プリンス・ロイヤル』5両は導入後40年近くを経過し、車両本体の老朽化、部品補充が困難となってきたこと等からその維持が限界に近づいており、運行に支障を来すおそれがあることから、去る(平成18年)7月7日に後継車として新御料車『センチュリー・ロイヤル』(トヨタ)1両を導入しました」(宮内庁管理部)

 宮内庁の公開データによりますと、新御料車センチュリー・ロイヤルの価格は5250万円。陪乗席を備えた8人乗りの大型車であり、国会開会式、全国戦没者追悼式および国賓接遇などで使われています。

 プリンス・ロイヤルは5台が使われていましたが、センチュリー・ロイヤルは合計4台が宮内庁に納入されています。その理由を宮内庁では「国の財政事情が厳しい折から」としています。

 なお、プリンス・ロイヤルは昭和天皇記念館(東京都立川市)に展示されている他、搭載されていたW64型エンジンは、日産自動車横浜工場ゲストホール「日産エンジンミュージアム」で見ることができます。

【了】

プリンスと日産の融合の歴史を見つめてきた「プリンス・ロイヤル」を画像で見る(10枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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