フォルクスワーゲン新型「Tクロス」に先行試乗 これは想像以上にイイクルマ?
フォルクスワーゲンのコンパクトカー「ポロ」をベースにした新型SUV「Tクロス」。国際試乗会にて一足早く体感した様子を自動車ジャーナリスト・今井優杏さんがレポート!
ポロベースのコンパクトSUV登場
世界的に爆発的人気を誇るSUVの勢いは、未だ留まることを知らないようです。コンパクトから大型までみっちりと競合のひしめくラインナップには、今や隙間がほぼないという、まさに雨後のタケノコ状態。
これからSUVを買おうと思っているユーザーは、その選択肢のあまりの多さに嬉しい悲鳴が止まらない状態がまだまだ続きそうです。
そんななか、堅実で実直なクルマづくりで人気の高いフォルクスワーゲンから、同社でもっとも小さなSUVがお披露目され、スペイン・マヨルカ島にて試乗会が開催されました。
それがポロをベースにした新型SUV「T-Cross(ティークロス。以下Tクロスと表記)」。これがまた、嬉しい悲鳴に拍車をかけそうな素晴らしい仕上がりになっているのです。
ボディーサイズは、全長4108mm×全幅1760mm×全高1584mm。本家ポロよりもほんの少し背が高く(+138mm)、ほんの少し長い(+54mm)という数字的にはわずかな差異ながら、ルックスはしっかりと“SUVしている”のがデザインの巧いところ。
サイズで見れば、直接のライバルは国産勢ならホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX-3」、日産「ジューク」あたり。輸入勢ではプジョー「208」、ジープ「レネゲード」、ルノー「キャプチャー」です。どれもこれも個性的かつ実力派揃いの強敵ばかり。
しかし、個人的にはTクロス、このような多彩なライバルを相手に、相当いい戦いをしそうだぞと。もっと直球で言えばこりゃ売れるぞと、直感的に思いました。
まずはデザインです。フォルクスワーゲンのSUVに共通したデザインソースはしっかりと継承されて、しっかりと分厚いボンネットにヘッドライトを両サイドに組み込んだ横一線基調のラジエターグリルで上質かつ実寸以上に大柄な雰囲気を醸し出しています。
さらに、印象的なのはリアビュー。ボディー横幅いっぱいに取られた水平基調のラインはリフレクター(反射板)で、その上下がブラックトリムされて、両端はテールランプと一体化するように繋がっているのです。
実際に、ブレーキを踏んだときに点灯するのは左右のライトのユニットだけで、このライン自体に発光体は埋め込まれておらず、先述の通りリフレクターに留まっていますが、それでも十分に存在感を示しています。
この、“リアのズバッと一本線”は、レクサスの「UX」なんかにも採用されていて、どうやら最近のSUVデザインの中ではひそかなブームのようです。左右の発光する部分であるリアライト自体の意匠もかなり凝っていて、後ろ姿にはかなりのコダワリのあとが見て取れます。
内装は、やっぱりポロとの共用部品が多く、質実剛健なフォルクスワーゲンのイメージを存分に反映したもの。しかし“デザインパッケージ”と呼ばれる上級パッケージや、スポーティーな“Rライン”を選択すると、上質かつポップなキャラクターをまとうのがまた魅力的です。
メインディスプレイは、8インチの最新世代のものが備えられ、また、試乗車にはメータークラスターの中にもナビやインフォテイメントを表示させられるデジタルメーターも用意されていました。おそらく日本導入モデルにもオプション設定されるはずです。
センターコンソールには、スマートフォン用非接触充電トレーも備えられUSBポートは4つ。ガジェットに親和性の高い若年層にアピールしまくっています。