「知らなかった!」では済まされない! うっかりやりがちな交通違反5選
近頃ニュースを見ていると、あおり運転や横断歩道への無理な進入など、交通ルールが少し曖昧になっている事で起こる違反から、大きな事故につながるケースが多発しています。そこで、うっかり破ってしまいがちな交通ルールを5つおさらいしてみましょう。
曖昧な知識が大事故を誘発
クルマを運転していると、後続車が車間距離を詰めて来て威圧感を感じさせられる。そんな経験をする事も少なくはありません。あおり運転とまではいかなくとも、車間距離を詰められるとなんだか急かされているみたいで焦ってしまいます。
では、どこからが違反なのでしょうか。そんな、交通違反に関する素朴な疑問を5選として紹介します。
●歩行者がいる横断歩道への進入
街でよく見かける交通違反の1つに、歩行者がいる横断歩道への進入があります。何気なく行われているこの行為、実は交通違反。
横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合、その進行を妨げるのは『横断歩行者妨害違反』にあたるのです。
道路交通法の第三十八条には、以下のように明記されています。
『車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない』
この法令によると歩行者がいる横断歩道では、進入前に一旦停止が義務付けられているだけでなく、一旦停止を行ったとしても歩行者の前を横切ること自体が違反となります。
さらに第三十八条の二では、『車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。』との決まりも明記されているので、横断歩道は進入時だけなく道路を横断しようとする歩行者を見かけた場合は全てにおいて歩行者を優先するという意識を持つことが大切なのです。
ちなみに、横断歩行者等妨害等違反の罰則は、行政処分:基礎点数2点、反則通告制度:大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、小型特殊自動車6千円、原動機付自転車6千円となります。
●夕暮れ時や夜間の無灯火走行
陽が落ちて、あたりが薄暗くなってからの運転時、うっかりヘッドライトをつけ忘れたなんて経験はありませんか。
クルマのライトをつけ忘れても都会など場所によっては明るく、インパネに設置されたメーター類なども発光するので、違和感なく走れてしまうのが実情です。そのため、気が付けば何キロも無灯火で走ってしまっているクルマも少なくはありません。
しかし、無灯火違反もれっきとした交通違反。しかも他者からクルマを認識しづらくなるなど、大事故につながる危険な行為。無灯火違反について定められているのは道路交通法第52条です。
『車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする』
また、この場合の無灯火というのはヘッドライトのみではなく、スモールライトやテールランプなどのライト類も含まれる事が明記されています。
ちなみに無灯火違反の罰則は、行政処分:基礎点数1点、反則通告制度:大型車7千円、普通自動車6千円、二輪車6千円、小型特殊自動車5千円、原動機付自転車5千円です。
●後席のシートベルト未着用
運転席及び助手席のシートベルト着用が罰則付きで義務付けられてから30年以上が経過し、前席でのシートベルトの着用は当たり前となっています。実は後席でのシートベルトの着用も義務化されている事を知っていますか。
後席においての義務化は高速道路に限ってのものだと思っている方も多いと思います。
実際は、2008年の道路交通法改正で、運転者は自身を含むすべての同乗者にシートベルトを着用させることが義務づけられたのです。後席のシートベルト装着義務についての法律が定められているのは、道路交通法第71条の三の2。
『自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない』と明記されています。
ちなみに、座席ベルト装着義務違反の罰則は、行政処分:基礎点数1点ですが、違反者がどの席に座っていたとしても罰則を受けるのは運転者となるので、その点もしっかり留意しておきましょう。