2018年に新型車が1台もなかった日産 それでも「ノート」「セレナ」が売れた理由

日産ディーラーはそろそろ息切れ!?「ノート」「セレナ」と軽自動車くらいしか売るものがない

 日産は日本市場をないがしろにしているのでしょうか?

 新型車が少ない、あるいは日本市場には1台もなかったというのは事実ですが、前述の通り、それはグローバルでも共通でした。

 本来は発表タイミングを平準化して毎年各リージョンで新型車(FMCもしくは新モデル)を投入するのが理想です。しかし、モデルチェンジのタイミングで、開発している技術をどう織り込んでいくか、さらにそれらをリージョンごとに…ということを考慮すると平準化していくのもなかなか難しい状況というのも事実です。2018年はたまたまそういう時期にあたってしまったといえます。

2018年の販売ランキングで1位を獲得した日産「ノート」

 そういう事情もあり、日産ディーラーでは必死になって売れそうな「ノート」や「セレナ」(そして軽)を販売したのです。これは裏を返すと、それ以外のクルマに力を入れなかったともいえます。

 とにかく売れそうなクルマを何が何でも売る、それがディーラーの現状です。なぜなら他に選択肢がないからです。

 ディーラー関係者に少し話を聞いてみたのですが、これが現実でした。そして、彼らは一様に、そろそろ息切れだともいっています。1年以上この2~3車種を重点的に販売しているのですから、それも当然です。

 しかも、商品としてみても、「セレナ」のプラットフォームは先代からのキャリーオーバーですし、「ノート」も2012年デビューですからすでに8年目を迎えます。どちらも電動パワートレインの「e-POWER」を搭載し、「セレナ」は高速道路同一車線自動運転技術の「プロパイロット」を前面に打ち出して新鮮味を確保していますが、それも限界に近付いているでしょう。

 というよりも、現状でこの台数を販売できているのはディーラーの努力のたまものといってもいいくらいです。

2019年は軽自動車をはじめとした新型モデルが登場する予定

 ではこれからの見通しはどうなのでしょうか。

 2018年は何とか前年比を上回るかもしれませんが、そろそろ限界でしょう。とくに日本市場は、この2台でこれまで以上の販売台数を期待するほうが無理というものです。ディーラーからも、買い替え時に顧客にオススメできるクルマがないので、日産に定着させにくいという声も聞かれました。

 しかし、2019年には新型の軽自動車が登場します。また、その後もいくつかの新型車が控えているようです。

 日産の広報部からも、「2018年は結果として新型車が少ない時期になってしまいましたが、今年以降、ご期待ください。また、日本のみ新型車が少ない、という状況は一時期たしかにありましたが、現在はもうその時期を脱したといえると考えています」とコメントをもらいました。

 日産はグローバル企業であるとともに、やはり日本の企業であってほしい。そのお膝元の市場をないがしろにすることはないと、ここは信じたいものです。

 そして、魅力的なクルマというものは結果としてどの市場でも受け入れてもらえるはずです。そういったクルマを積極的に日本にも導入してもらいたいものです。

【了】

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