2018年に新型車が1台もなかった日産 それでも「ノート」「セレナ」が売れた理由

完成検査の不正問題やカルロス・ゴーン元会長の不正などのニュースが飛び交った2018年の日産ですが、国内では新型車の投入が1台もありませんでした。それでも「ノート」「セレナ」は年間販売ランキングでそれぞれ1位と4位を獲得したのですが、なぜ日産は「ノート」と「セレナ」をそんなに販売することができたのでしょうか?

悪いニュースが続いた日産ながら、販売ランキングでは「ノート」が首位に

 いま話題の日産のお話しです。2018年は完成検査不正問題からカルロス・ゴーン前会長の不正に至るまで様々な悪いニュースが飛び交いました。日産が設立してからこれまで、こんなにも不正に関する問題が取りざたされた年はなかったのではないでしょうか。

販売好調な日産「セレナ」「ノート」

 そんな日産ですが、新型車の話題はとんと聞こえてきませんでした。2018年を振り返ると、フルモデルチェンジや新規投入車は1台もありませんでした。

 それでも「ノート」や「セレナ」の販売は好調で、2018年1~12月期の登録車の販売ランキングでは、1位が「ノート」で13万6324台、「セレナ」は4位の9万9865台を記録しています。

 さらに年が明けても2車種の販売は快調で、2019年1月には、これまでランキングのトップに君臨していたトヨタ「プリウス」「アクア」を抑え、ノートが1位(1万1448台)、セレナが2位(1万110台)となりました(登録車、日本自動車販売協会連合会調べ)。

 このように、少し状況が変わった今の日産について、解説してみたいと思います。

日本だけじゃない グローバルでも新型車の投入が少なかった日産

 実はこれを論じるのに、今の時期は相応しくはありません。と、いうのも日産本体の決算は3月なので、今の時点で最新のデータがきれいに出そろってはいないからです。それでもある程度の傾向はわかります。

 さきほど、日本で日産は新車を出さなかったといいましたが、実はグローバルでも、この傾向は同じで、世界的に新型車の投入が少なかった時期にあたっていました。

 たとえば、アメリカでは「アルティマ(日本名:ティアナ)」が2018年3月に発表され、2018年9月に発売開始された程度。中国では、「リーフ」に続く電気自動車第2弾となる「シルフィ ゼロエミッション」が2018年4月に発表、同10月に発売されましたが、他に目玉となる新型車はありません。これは欧州も同様でした。

中国で発売された「シルフィ ゼロエミッション」

 日産自動車発表のデータでは、2017年度のグローバルでの台数は577万台と過去最高を記録。2016年度より2.6%増となりました。

 では、各リージョンではどうでしょうか。日本は2016年4月~2017年3月期で見ると、58万4000台と前年比4.8%増。中国は2017年1月~12月期で152万台となり、前年比12.2%プラス。そしてアメリカでは、2016年4月~2017年3月期159万3000台で0.7%増。最後に欧州ですが、2016年4月~2017年3月期で65万2000台と前年比4.6%減となっています。

 ここで注目したいのは、グローバルの台数に対して日本の割合が決して大きくないということ、というよりも明らかに小さいことです。これは何を指すのかというと、ビジネスとして見た時にそこにどれだけの開発資源を投下するかという判断において、決して大きな資源は投下できないということになるのです、あくまでクールに判断すると。

 それは当然です。台数がたくさん売れているアメリカや中国に魅力的なクルマを投入することで、さらに販売台数を増やして利益を生んでいくというのが企業としての本来の姿なのですから。

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