世界中でSUVブーム継続中 ボルボ「V60」の登場でステーションワゴン時代再来なるか?
SUV全盛の時代において、その存在意義が問われているステーションワゴン。国産車ではレヴォーグが好調ですが、かつてワゴンの盟主と言われたボルボは今、どうなっているのでしょうか。同ブランドのコアモデル・V60を、東京から函館までドライブし、改めてワゴンの魅力を探りました。
ステーションワゴンブーム再来なるか?
四半世紀前に日本で起こったステーションワゴンブーム。スバル「レガシィ」などの国産ワゴンが飛ぶように売れ、輸入車ではボルボのエステートに乗ることが、当時のエッジーな人々のステータスになっていました。
ボルボは、イギリス・ツーリングカー選手権(BTCC)に、レースでは剛性の面で不利と言われたワゴン「850エステート」を敢えて出場させ、巧妙なイメージ戦略を展開。人々から『フライング・ブリック(空飛ぶレンガ)』の愛称と共に称えられ、ワゴンが決して実用性だけでないことを証明して見せたのです。
しかし、2000年代に入ってからのボルボ・エステートは、決して平坦な道を歩んできたとは言えません。日本のみならず、世界で“商用的”“実用的”なイメージがつきまとうステーションワゴンは、90年代ほどのアイデンティティを確立できなかったというのが事実です。
とくにSUVが世界的なトレンドのストリームになってからは、よりスペースユーティリティが高く、高級感があるSUVにユーザーを奪われてしまいました。
日本市場では、ボルボ「V40」のようなコンパクトカーが主力商品となり、「V60」や「V90」といった高額なワゴンは苦戦を強いられたのではないでしょうか。私見ですが、その要因は2010年代のボルボ・エステートに見られた、デザインの曖昧さだったように思えます。
初代「V60」なども含めて、ボルボ・エステート全般がクーペのような流麗なスタイリングに変わりはじめ、かつての「850エステート」や「V70」を代表とする“四角いボルボ”とはほど遠くなっていきました。たしかに、インテリアは北欧のモダンデザインを取り入れた洒落たものでしたが、外観を眺める『ワゴンを買う意義』というのが薄らいでしまったように思えたのです。
しかし、ボルボ・エステートは復活しました。2018年に登場した2代目「V60」は、かつての「850エステート」や「V70」のフォルムや使い勝手を、見事現代に復活させていたのです。
もちろん見た目は、新世代ボルボのデザインプロトコルに則っていますが、ふとナナメ後ろから見た時などに、かつてバブリーなオジさんたちを熱くさせてくれた、あのボルボの香りがフーッと漂っています。