「下町ロケット」で話題になったトランスミッション 走りを滑らかにしている技術とは
2018年に話題となったテレビドラマ「下町ロケット」に登場したトランスミッションは、トラクターの性能を左右する大切なパーツでした。では、私たちが普段から乗っているクルマのトランスミッションは、どのような進歩を遂げているのでしょうか。
多段化していったトルコン式AT
2018年に放送され話題となったTVドラマ「下町ロケット」に登場したトランスミッションは、トラクターの性能を左右する大切なパーツでした。では、私たちが普段から乗っているクルマのトランスミッションは、どのような進歩を遂げているのでしょうか。
1991年にAT(オートマチックトランスミッション)限定免許が設定されてから、2019年でそろそろ30年経とうとしています。もはや日本で売っているクルマのトランスミッションは、98%以上がATです。そのATも近年では多段化がトレンドになっています。
ATの仕組みは、もともとはステップATやトルコン式ATとも呼ばれる、トルクコンバーター(流体継手のひとつ)と遊星ギヤを組み合わせたものが以前から主流です。
日本で最初のステップATは1957年に発売された岡村製作所(現・オカムラ)の小型車「ミカサ」で、その後トヨペット「クラウン」などの中型車にも採用されると、本格的な普及が始まります。
初期のATは2速でしたが徐々に多段化が進み、現在は6速以上が標準で、高級車では8速や10速のATが採用されるようになってきています。
多段化する要因としては、エンジン回転数のつながりを滑らかにして乗り心地を改善することはもちろん、上段ギヤの減速比を低くし、エンジン回転数を低く抑えることで騒音や燃費を低減することとされています。
また、多段化によってエンジンの燃料消費率が一番良くなる領域を使う頻度を上げることでも、燃費向上につながります。
しかし、ギヤの段数が増えることで構造が複雑化し、重量が増すという問題も生じます。そこで、現在、国産メーカーの小・中型車を中心に普及しているのがCVT(無段階変速機)です。