「下町ロケット」で話題になったトランスミッション 走りを滑らかにしている技術とは
日本ではCVTが普及するも欧州では好まれない理由
CVTは、6速、7速といった決まった段数のギヤを持たず、主な構造は2枚1組でできた2つのプーリー(滑車状の円盤)に金属製ベルトを掛け、プーリーの幅を調節することで変速します。
ステップATと異なり変速時に起こるショックがなく、滑らかに加速ができることが持ち味となっています。 また、変速時にエンジンの回転数を下げる必要がなく、理論上のエネルギーロスが少ないというメリットもあります。
国内では、排気量2リッター以下のクルマの多くがCVTを採用していることで採用比率が高くなっていますが、大排気量・高出力のクルマや欧州ではあまり採用されていません。その要因としてはCVTの特徴のひとつである、金属ベルトにあります。
まず、エンジンの出力を大きくしていった際に、金属ベルトをギヤと同等の強度にすることが難しいとされています。
仮にギヤと同等の強度を持たせたとしても、大排気量・高出力のクルマにCVTを採用した場合、金属ベルトとプーリーの滑りを防ぐために強い張力が必要になり、摩擦によるエネルギーロスが増え、CVTのメリットがなくなってしまいます。
ほかにも、キックダウン時のもたつきや、プーリーの軸間距離によって変速比の上限が決められてしまうことで、副変速機を付けざるを得なくなるクルマもあるなど、CVTには物理的な限界が存在します。
欧州では変速時のショックやエンジン音の変化も含めて、ダイレクトな感覚が好まれる傾向があり、CVTの独特な変速フィーリングは好まれていないようです。
実際、欧州車のATはDCT(デュアルクラッチトランスミッション=2組のクラッチを自動操作して変速)が主流となっています。