昭和から平成を駆け抜けたスペシャリティカー トヨタ「セリカ」7世代に渡る変遷

3代目セリカは、2代目XXの影に隠れた存在

 1981年(昭和56年)7月に、トヨタは3代目「セリカ」を発売します。同年2月に2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載する「ソアラ」がデビューしたことによって、3代目「セリカ」と一緒に発売された2代目「セリカXX」と共に若者向けのスポーティ路線へと舵を切りました。

1981年登場の3代目セリカ・リフトバックGT

 同時期の「カリーナ/コロナ」と基本シャーシを共通する3代目は、2.0リッター 4気筒DOHC/1.6リッター 4気筒DOHC/EFI仕様の1.8リッター OHV/新開発の1.8リッター SOHCの4種のエンジンを用意。

 ボディーバリエーションは、初代「セリカ」から続く2ドアクーペと3ドアリフトバックの2種でしたが、クーペは傾斜角のきついリアウィンドウが印象的で、対するリフトバックは「セリカXX」と近似する緩やかな傾斜角の直線的リアゲートを有したことで、同一車種ながら異なる個性が与えられました。

 前期モデルの特徴的なポップアップ式ヘッドライトは、その見た目から“平目・セリカ”と呼ばれましたが、1983年(昭和58年)8月のマイナーチェンジ後は一般的なリトラクタブル式に変更されています。

 また、1982年(昭和57年)9月には1.8リッター 4気筒DOHCターボエンジンを搭載する「GT-T」が発売された他、北米市場向けとして「セリカ・コンバーチブル」も用意することで、海外でも高い評価を得ていました。

駆動方式をFFに変更した4代目「セリカ」

 1985年(昭和60年)8月、トヨタは従来同様に「カリーナ/コロナ」と共通シャーシを利用することから、駆動方式がFFとなった4代目「セリカ」を発売。リトラクタブル式ヘッドライトと角を削り取ったような丸みの強いボディーラインを持ち、トヨタ自身も“流面系”と呼んでいたこのモデルは、3ドアのみの展開となっています。

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1985年登場の4代目セリカ2000GT-R

 トップエンドモデルには、自然吸気ながら最高出力160PSを発揮するDOHC16バルブヘッドを採用した2リッターエンジンを搭載。

 1986年にはターボチャージャーを備えることで最高出力185PSを発揮するパワーユニットと、手動デフロック付きセンターデフ搭載のフルタイム4WD駆動車「セリカGT-FOUR」を発売し、ラリーの世界で活躍を重ねることで、新しい時代のセリカが確立されていきます。

 また、1987年(昭和62年)10月には「コロナ・クーペ」と同様にトランクルームを持つ専用ボディの「セリカ・コンバーチブル」が国内ラインナップに追加。このコンバーチブルは6代目「セリカ」まで継続されました。

ラリーの世界で大活躍した5代目「セリカ」

 1989年(平成元年)9月、4代目をベースにしながら各部の補強やチューニングを施したシャーシを用いた5代目「セリカ」がデビューします。トップグレードとなるフルタイム4WDの「セリカ GT-FOUR」は、エンジンの高圧縮化や細部にわたるチューニングにより最高出力225PSを達成しました。

1989年登場の5代目セリカGT-FOUR

 さらに、クロスレシオのマニュアルミッションを標準装備し、エアコンやパワーウィンドウなどの快適装備を省いたラリー競技ベース車「GT-FOURラリー」もラインナップされ、『セリカ=ラリーに強い』と言うイメージを定着させていきます。

 1990年(平成2年)8月に「GT-FOUR」を前後ブリスターフェンダーでワイドボディ化した「GT-FOUR A」を、その翌年(平成3年)にはWRC用のホモロゲーションモデルとしてグループA規定の5千台を生産した「セリカ GT-FOUR RC(ラリー・コンペティション)」も登場しましたが、このモデルはラリーフィールドで活躍していたことから輸出モデルはTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)」が擁するトップラリードライバーの名前を用いて『カルロス・サインツ・リミテッドエディション』と呼ばれていました。

約36年続いたトヨタ「セリカ」の歴史を画像で振り返る(18枚)

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