自宅に「見知らぬクルマ」が! 怒りの「勝手にレッカー」「タイヤロック」は絶対NG!? 泣き寝入りしない「無断駐車」の正しい対処法とは
自宅駐車場に見知らぬクルマが堂々と停められている「無断駐車」。外出もできず怒りに任せて勝手にレッカー移動したり、タイヤロックをかけたくなりますが、これらは逆に自分が罪に問われる可能性もある「絶対NG」の行動なのです。泣き寝入りしないための正しい対処法と、トラブルを防ぐ自衛策について解説します。
「公道」か「私有地」かで大違い! まず確認すべきポイントとは
行楽シーズンや連休中など、気持ちよく晴れ渡った週末には多くの人がクルマで出かけ、各地の観光地や商業施設周辺の道路は激しく混雑します。
こうした時期に決まって多発し、私たちの平穏な日常生活を突如として脅かすのが「無断駐車」や「違法駐車」といった迷惑駐車のトラブルです。
自宅の駐車場に見知らぬクルマが堂々と停められていたり、車庫の出入口を塞ぐように駐車されていて自分のクルマが出せなかったりした経験を持つ人もいるでしょう。
外出の予定が狂い、急いで近くのコインパーキングを探し回る羽目になるなど、被害者が受ける経済的・時間的な損失、そして何より「自分の敷地を勝手に侵害されている」という精神的なストレスは計り知れないものがあります。
単なる場所の間違いから、「少しの時間ならバレないだろう」という極めて自己中心的な確信犯まで理由は様々ですが、怒りに任せて誤った対応をとってしまうと、本来被害者であるはずのあなた自身が法的なトラブルに巻き込まれる危険性が潜んでいます。
迷惑駐車に直面した際、最初に確認すべき重要なポイントは、そのクルマが停められている場所が「公道」であるか、「私有地」であるかという点です。
もし自宅の車庫前であっても、そこが公道であれば道路交通法が適用されます。法律では車庫などの自動車専用の出入口から3m以内の場所は駐車禁止と定められており、これに違反した場合は明確な交通違反となります。
普通車の場合、駐停車禁止区域であれば違反点数3点と反則金1万8000円、駐車禁止区域であれば違反点数2点と反則金1万5000円が科されます。この場合は速やかに警察に通報し、取り締まりを求めることが最も有効な解決策となります。
ただし、警察が現場に到着する前にクルマが移動してしまうと違反の立証が難しくなるため、スマートフォンなどでナンバープレートや駐車状況がわかる写真を証拠として撮影しておくことが推奨されます。

一方で、自分の契約している月極駐車場や、戸建て住宅の敷地内といった「私有地」に無断駐車された場合は、事態が大きく異なります。
公道での駐車違反とは違い、私有地における駐車トラブルに対しては、警察は「民事不介入」という原則に基づいて基本的に介入することができません。
警察が強制的にレッカー移動などの対応をしてくれないとなると、被害者としては「自分の土地なのだから、自分でレッカー業者を呼んで強制的に排除してやる」「二度と動かせないようにタイヤロックをかけてしまおう」あるいは「腹いせに車体にベタベタと警告の張り紙をしてやる」といった強硬手段に出たくなる気持ちも十分に理解できます。
SNSなどでも、無断駐車車両を別のクルマで塞いで物理的に出庫できなくした画像が投稿され、賛同を集めるといった私刑を容認するような空気が見受けられることがあります。
しかし、こうした実力行使は日本の法律において「自力救済の禁止」という原則に抵触するため、絶対に避けるべき行為です。
自力救済とは、裁判所などの公的な法的手続きを経ずに、自分の実力行使によって侵害された権利を取り戻そうとする行為を指します。
もし相手が悪質な無断駐車であったとしても、勝手にレッカー移動をして車体に傷をつけてしまったり、タイヤロックによって相手がクルマを使えず仕事で損害が出たりした場合、逆に相手から器物損壊で訴えられたり、多額の損害賠償を請求されたりするリスクがあります。
粘着テープで窓ガラスに警告文を貼り付ける行為も、剥がす際に跡が残ったとしてトラブルに発展するケースが後を絶ちません。
また、インターネット上やSNSでまことしやかに囁かれている対抗策に「『見知らぬ不審なクルマがある。盗難車かもしれない』と警察に通報すればすぐに対応してくれる」というものがあります。
たしかに、盗難車の疑いがあるとして通報すれば、警察は事件の可能性があるため現場に駆けつけ、ナンバーを照会するなどの積極的な調査を行います。本当に盗難車であれば、証拠品として警察の手でレッカー移動されます。
しかし、実際には大半が単なる無断駐車であり、盗難車ではないことが確認された時点で警察の対応は終了してしまいます。せいぜい所有者に電話をかけて移動を促す程度の対応にとどまり、強制的な排除は行われません。
さらに問題なのは、近隣住民のクルマであるなど「明らかに盗難車ではないと知っている」にもかかわらず、警察を動かしたいがためにウソの通報をした場合です。
このような行為は、刑法の偽計業務妨害罪や軽犯罪法の虚構申告罪に問われるおそれがあります。自らが加害者になるリスクを孕んだ虚偽通報はやってはいけない行為です。
では、被害者はただ泣き寝入りするしかないのでしょうか。過去の裁判例を見ると、極めて稀ではありますが自力救済が例外的に認められたケースも存在します。
1988年の横浜地裁の判決では、マンションの敷地内に3か月間もの長期間にわたって無断駐車が放置され、再三の督促にも所有者が一切応じなかったため、最終的に住民がそのクルマを処分したという事例がありました。
このケースでは、長期間の放置と繰り返された警告という極限状態が考慮され、住民側に「法律の手続きを待っていては著しく困難な特別な事情がある」として処分が適法と認められました。
しかし、これはあらゆる手段を尽くした末の例外的な事案であり、日常で発生する数時間から数日程度の無断駐車には適用されません。
無断駐車に対して私たちが取るべき正しい行動は、まず決して感情的にならず、冷静に証拠を残すことです。
クルマのナンバープレート、車種、色、そして駐車されている状況を写真や動画で記録。その上で、クルマに一切の損傷を与えないよう、ワイパーに「ここは私有地につき駐車をご遠慮ください」と書いたメモをそっと挟む程度にとどめるのが賢明です。
直接話をする機会があったとしても、感情的な衝突は思わぬトラブルに発展しやすいため、あくまで冷静に状況を伝えるか、第三者を交えることを推奨します。
現状の法令下では、無断駐車に対して即効性のある強制的な排除を行うことは非常に困難です。だからこそ、自分の駐車スペースにはあらかじめカラーコーンやポールチェーンを設置するなど、物理的にクルマを停められないようにする予防策に力を入れることが最も確実な防衛策となります。
理不尽な迷惑駐車に対して怒りを感じるのは当然ですが、正しい法律の知識と冷静な対処法を身につけ、トラブルを未然に防ぐ工夫を凝らすことこそが、平穏なカーライフを守るための近道と言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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