スズキ本気の「“前後”2人乗り」軽スポーツカーが凄い! “660cc”エンジン搭載の「ミッドシップ」モデル! 斬新すぎる“タンデム”仕様の「4輪ビッグスクーター」!? バイクとクルマの“良いとこ取り”した「エスライド」とは!
スズキが「第37回 東京モーターショー」で世界初公開し、現在見ても非常に新鮮なパッケージングを採用している「S-RIDE(エスライド)」とは、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
スズキ本気の「“前後”2人乗り」軽スポーツカーが凄い!
自動車メーカー各社は、常に次世代のモビリティを模索しており、多種多様な試作モデルやコンセプトカーを送り出すことで、その存在の価値を世に問い続けてきました。
そのなかでも、時代背景を色濃く反映しつつ、現在見ても非常に新鮮なパッケージングを提案していたのが、2003年に開催された「第37回 東京モーターショー」でスズキが世界初公開した「S-RIDE(エスライド)」でしょう。
当時の日本、とくに大都市圏では、若者を中心に250ccクラスの大型スクーターであるビッグスクーターが一大ブームを巻き起こしていました。
スズキはこの流行に目を向け、二輪車の持つ軽快な機動性と、四輪車ならではの実用性や安定感をひとつの乗り物として融合させるという、極めてユニークなアプローチを試みたのです。
そんなエスライドの最大の特徴は、一般的な四輪車のように左右に座席を並べるのではなく、バイクと同じように前後に乗員が座るタンデム2シーターのレイアウトを採用している点にあります。
横幅を極限までスリムに絞り込んだコンパクトなボディは、渋滞が頻発する都市部でも機敏に動き回れる高い機動性を確保しています。

また、車体の構造そのものにも二輪車と四輪車の技術の融合が見られます。
骨格にはオートバイの設計思想を活かした軽量かつ高剛性なアルミフレームを採用し、その上から樹脂製の外殻シェルを被せるという特殊な成り立ちとなっていました。
エスライドの上部には雨や日差しを防ぐためのキャノピーが備えられていますが、一般的なクルマのように完全に密閉されたドアはありません。
腰から下はボディに覆われているものの、上半身の側面は外気に直接触れるオープンな構造となっており、バイクに乗っているときのような風や街の空気との一体感を味わうことができます。
まさに、「屋根を備えた四輪スクーター」と呼ぶべきスタイルでした。
この極めて細長い車体を駆動させる心臓部には、軽自動車の規格に収まる660ccのガソリンエンジンを採用。
パワーユニットを車体の中央寄りの後方にあたるリヤミッドに横置きで搭載し、無段変速機であるCVTを組み合わせています。
一般的にミッドシップレイアウトは本格的なスポーツカーに用いられる重心バランスに優れた配置ですが、エスライドではコンパクトで軽量な車体と相まって、都市部の交差点やカーブでもスポーティで軽快なハンドリングの実現に一役買っていました。
さらに、エスライドは単なる移動の道具にとどまらず、当時の最先端であったIT技術を取り入れた情報端末としての役割も持たされていました。
車内にはテレマティクスと呼ばれる情報通信システムが搭載されており、ナビゲーション機能はもちろんのこと、インターネットを通じてさまざまな情報にアクセスし、車外とコミュニケーションを取るという、現代のコネクテッドカーに通じる将来像がいち早く提案されていました。
移動中の時間そのものをアクティブに楽しむための都市型コミューターとして、極めて綿密に作り込まれていたのです。
結果的に、このエスライドがそのままの姿で市販化されることはありませんでしたが、極細のコンパクトな車体に二輪車のような手軽さを掛け合わせるというコンセプトは、現代の「超小型モビリティ」の構想にも繋がる部分があります。
ビッグスクーター全盛という2000年代初頭の空気感を色濃く反映しながらも、現代の都市交通におけるパーソナルモビリティのあり方を予見していたかのようなエスライドは、二輪車と四輪車の両方を製造するスズキならではの柔軟な発想力を象徴する一台として、今も多くの人の記憶に残っています。
Writer: くるまのニュース編集部
【クルマをもっと身近にするWEB情報メディア】
知的好奇心を満たすクルマの気になる様々な情報を紹介。新車情報・試乗記・交通マナーやトラブル・道路事情まで魅力的なカーライフを発信していきます。クルマについて「知らなかったことを知る喜び」をくるまのニュースを通じて体験してください。






