トヨタ「ハチロク」に“ワゴン”があった!? 遊び心と技術への探求心から生まれたユニークな一台に再注目! 色褪せない魅力を放つ「86シューティングブレーク」豪州モデルとは?

2016年にトヨタのオーストラリア法人が企画したプロトタイプ「86シューティングブレーク コンセプト」について解説します。

走りを損なわずにワゴンの姿を実現

 トヨタを代表するFRスポーツカー「86」と聞けば、多くの人が流麗な2ドアクーペの姿を思い描きます。

 しかし、その歴史の中には、ステーションワゴンの実用性を組み合わせた異色のコンセプトモデルが存在していました。

 それが、2016年にトヨタのオーストラリア法人が企画したプロトタイプ「86シューティングブレーク コンセプト」です。

 このユニークな企画は、もともとトヨタ・オーストラリアのプロダクトデザインチームによる一地域のアイデアでした。

 しかし、当時の86開発責任者であった多田哲哉氏がそのデザインを一目見て高く評価したことをきっかけに、プロジェクトは本格化しました。

 多田氏の力強い後押しにより、このモデルは単なるデザインスタディに終わらず、実際に走行可能なプロトタイプとして製作されることになったのです。

 製作されたクルマは日本へ輸送され、開発チームによる走行テストが実施されました。

 注目すべきは、ボディ後方をワゴン形状に拡張したにもかかわらず、86の最大の魅力である卓越したハンドリング性能や操縦安定性が見事に維持されていた点です。テストの結果、FRスポーツとしての走りの楽しさは少しも損なわれていないことが証明されました。

2016年にトヨタのオーストラリア法人が企画したプロトタイプ「86シューティングブレーク コンセプト」
2016年にトヨタのオーストラリア法人が企画したプロトタイプ「86シューティングブレーク コンセプト」

 このモデルに冠された「シューティングブレーク」という名は、かつてヨーロッパの上流階級が狩猟に用いた特注馬車に由来します。現代においては、クーペの美しいフォルムとステーションワゴンの広い荷室を両立させた、趣味性の高いプレミアムカーを指す言葉として使われています。

 86シューティングブレークもその定義に違わず、ベースとなった初代86の引き締まったフォルムを保ちながら、後席のヘッドルームと荷室空間を大きく広げていました。

 当時のトヨタ・オーストラリアで国内マーケティング部門マネージャーを務めていたブラッド・クラム氏は、このクルマのコンセプトについて「アクティブなカップルや、他とは違う個性を求めるファミリーにとって、上品なセカンドカーの選択肢になる」と語っています。

 サーキットでの本格的な走りから週末のロングドライブまでこなせる、ユーザーの感性と理性の両方を満たす存在として提案されたのです。

 こうして誕生した86シューティングブレークは、オーストラリアや日本国内のイベントで一般に公開されると、スポーツカーファンから大きな注目を集めました。実用性と走りの楽しさという二つの価値を高次元で融合させた姿に、市販化を熱望する声が数多く寄せられましたが、残念ながらこのモデルが量産されることはありませんでした。

 市販モデルとして世に出ることはなかったものの、遊び心と技術への探求心から生まれたこのユニークな一台は、86というクルマが持つ新たな可能性を示した挑戦として、今もファンの記憶に深く刻まれています。

【画像】超カッコいい! これがトヨタ斬新「86ワゴン」です!(27枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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