「日本三大酷道」をハーレーで走るのは無謀か!? 奈良・下北山村から三重・尾鷲まで 国道425号を走ってみたら“初心者レベル”だった

「日本三大酷道」のひとつ、紀伊半島を横断する国道425号を奈良県下北山村から三重県尾鷲市まで、ハーレーの大型ツアラー「ロードグライド」で走ってみました。じつは初心者レベルだったようです。

“酷道”初チャレンジにはうってつけ?

 毎年、ゴールデンウイークに「二輪睦 八咫烏(にりんむつみ やたがらす)」というクラブの熊野詣ツーリングに同行し、和歌山県の熊野三社などを参拝しています。2026年は1日目に奈良県天川村の「天川大弁財天」で奉納後に移動、午後に「速玉大社」、1泊して2日目の朝に「本宮大社」、昼前に「那智大社」を参拝して解散となりました。

 帰り道は、毎年違う道を走りたいと思うのですが、どうしても紀勢道から伊勢道を抜けて伊勢湾岸道で名古屋か伊勢湾フェリーで伊良湖岬に渡って帰ることが多いところ、今回は更に1泊し、紀伊半島の走ったことのない道に行こうと国道169号を東に走ります。

 この辺りは、三重県、奈良県、和歌山県が入り組んでいます。「道の駅おくとろ」で一休みしようとピットインすると、「日本唯一の飛び地村にある道の駅」だそうです。ここ和歌山県北山村は、三重県熊野市と奈良県下北山村に囲まれています。

「なかなかの秘境だなぁ」と、ツーリングマップルでこの先どこを走ろうかと見ていくと、「日本三大酷道」の文字が目に飛び込んできました。

「日本三大酷道」は、四国山地を徳島から高知まで横断する「ヨサク」こと「国道439号」、岐阜から福井に抜ける「国道418号」、そしてこの「国道425号」です。

 紀伊半島の険しい山地を東西に伸びる国道425号は、和歌山県御坊市から紀伊半島を横断して三重県尾鷲市まで続いています。その一番東側の区間、約40kmを走ることにしました。

「日本三大酷道」のひとつ、国道425号へ。下北山村から尾鷲市方面への入口は池原ダム(貯水池)。この近辺は道幅が広く、舗装も綺麗でまだ酷道らしさはない
「日本三大酷道」のひとつ、国道425号へ。下北山村から尾鷲市方面への入口は池原ダム(貯水池)。この近辺は道幅が広く、舗装も綺麗でまだ酷道らしさはない

 初めての道にワクワクしますが、今回乗ってきたのは、ハーレーダビッドソンのツーリングモデル「ロードグライド」です。車重が380kgある上に、荷物もかなり積載しています。そして時刻は17時過ぎ。暗くなるまで2時間もありません。

 この状態で酷道は無謀か? 林道じゃ無いから大丈夫か? と悩みます。ガソリンは2/3ほどあるので航続距離は300km近く、行ってみて厳しそうなら戻れば良いでしょう。

 国道169号が北に進路を変えて下北山村に入ると、国道425号の標識がありましたが、十津川村方面に向かう西行きです。ここは通過して池原ダム(貯水池)への入口が、尾鷲方面東行きの起点になります。

 ダム湖沿いでそこそこの道幅があるので、酷道という雰囲気ではありません。すぐに池郷川へのダム洪水吐があり、下を覗いてみるとあまりの高さに股間が縮みます。

 さらに進むと道幅が少し狭くなりますが、舗装も荒れておらずまだ酷道ではありません。ひたすらダム湖に沿って走ると、「備後橋」という大きな吊り橋が出現。途中「大型車通行止め」の注意看板があったので細い吊り橋かと思いましたが、かなり立派な吊り橋です。

 ロードグライドにはモニターが搭載されており、スマホと接続してナビアプリを表示しているのですが、この辺りまでくると5Gはもちろん4Gの電波も無いようです。

 一本道だから迷うことも無く問題ありませんが、ふと見ると「衛星」と表示されているではないですか。これを見たのは初めてで、本当にスターリンク衛星と繋がるんだ! と、ちょっと感動しつつ橋を渡ります。

 しかし、まだまだダム湖畔を走ります。どんだけ広いんだろうと走って行くと、ようやく湖から離れたかと思いましたが、間髪入れずに坂本貯水池が出てきました。「1ダム去ってまた1ダム」という感じです。

酷道は西に流れる古川沿いを走っていたが、いつの間にか東に流れる又口川に沿って下っていた。木々の間から大きな滝が見えて歩いて近くまで行けそうな歩道があったが、途中で崩れていた
酷道は西に流れる古川沿いを走っていたが、いつの間にか東に流れる又口川に沿って下っていた。木々の間から大きな滝が見えて歩いて近くまで行けそうな歩道があったが、途中で崩れていた

 距離の標識を見ると、尾鷲市までの半分は走ったようです。ここまでは道幅はともかく舗装もそれほど荒れておらず、まだ酷道感は薄いです。

 ダムの上を通る道を北に行くと「サンギリ林道」との表記があります。オフロードバイクだったら寄り道したいところですが、ハーレーのツアラーでは行く気にはなりません。

 坂本貯水池は池原貯水池ほどの大きさはなく、吊り橋を渡ったりしているうちに山の中に突入です。道幅は1車線半くらい。ようやく酷道の雰囲気が色濃くなってきました。

 道の中央には、苔が生えていてグリーンのセンターラインのようになっている箇所が多いです。なるべく避けて走りますが、たまに踏んでしまうとズルッと滑ります。またまた股間が縮みます。

 道路の両側には砂や小石が浮いていて走りにくいですが、悪天候や悪路にワクワクしてしまう性分で、ヘルメットの中でニヤニヤしてしまいます。

 落石や舗装崩れと、酷道レベルも上がってきました。ところどころ滝が現れたりして冒険している気分アゲアゲです。などと思ったところで、いきなり人工的な石のスロープと石垣が出てきました。

 バイクを停めて歩いてみると、遺跡的な雰囲気にまた気分が上がります。しかし電線もあるし錆びて朽ちたドラム缶があったりで、それほど古い場所ではないようです。ダム建設の基地かな? と想像して再び走り出します。

 ちょっと薄暗くなってきたところで、道のすぐ横に何か動くものが見えました。もしやクマか? とスピードを落としながら接近すると、カモシカがこちらを見ています。カメラを構えると斜面を逃げていきますが、すぐに止まってこちらを伺っています。天然記念物のカモシカに出会えたのは貴重です。クマじゃなくて良かったと思いつつ、何枚か写真を撮って再スタート。

 しばらく行くと今度は鹿、そして猿も現れました。薄暗くなると野生動物と出会えるのが楽しいです。最後に見たのは道路を横断しようと連続ジャンプをするアマガエルでした。

 たまに砂や苔でリアタイヤがズリッとなったりしつつ、タイトコーナーが続く荒れた道を走り酷道満喫。

 だいぶ暗くなってきたし、そろそろ尾鷲に抜けないかな、と思ったところで大きな煙突が見えてきました。尾鷲市の清掃工場のようです。ここからは道も広く、舗装も綺麗になって酷道の終焉を感じます。

 数km走ると町に出て、紀勢道「尾鷲北インター」が見えて国道425号の終点です。時刻は19時、真っ暗になる前には抜けられて一安心して酷道旅は終わりました。

 宿に入って地図を見返すと、今回走った下北山~尾鷲の区間は、酷道としては初心者レベルだったようです。

 これは紀伊半島西側の、下北山から御坊市までも走ってみないといけません。今回はプロローグということにして、改めてリベンジ酷道旅に挑みたいとワクワクしてしまうのでした。

【画像】「酷道」初挑戦!! ハーレーで行く尾鷲市までの「国道425号」旅を画像で見る(30枚以上)

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Writer: くるまのニュース編集部

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