“マイナ免許証”の保有率は「たった3.6%?」 導入から1年あまりで課題が浮き彫りに… なぜ普及しないのか 「マイナ免許証のみ保有」を選ぶ人が少ない理由とは
「マイナ免許証」が導入されてから1年あまりが経過しました。導入時は大きな反響がありましたが、現在、マイナ免許証の保有状況はどうなっているのでしょうか。
「紛失時が不安」「レンタカー問題」…利用者が感じる大きなハードル
2025年3月24日にマイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」の運用が開始されてから、1年あまりが経過しました。
マイナ免許証はマイナンバーカードのICチップに免許証番号や免許証の有効期間、免許の種類・条件などの免許情報が記録されたもので、マイナ免許証を保有するか否かは自由に選択できます。
そのため、現在は以下の3つの免許証の持ち方が可能です。
1. マイナ免許証のみを保有する(1枚持ち)
2. マイナ免許証と従来の運転免許証の両方を保有する(2枚持ち)
3. 従来の運転免許証のみを保有する
なおマイナ免許証のみを保有している場合、引っ越しや結婚などに伴う住所・氏名の変更手続きは市区町村役場で完結し、警察に行く必要がないため、手続きが容易になるというメリットがあります。
さらにマイナ免許証を持っていれば、免許更新時の運転者講習(優良運転者・一般運転者のみ)を場所や時間を問わず、パソコンやスマートフォンなどからオンラインで受講できます。
オンライン受講をした場合の講習手数料は優良運転者、一般運転者ともに200円であり、会場において講師と対面して受講する場合と比べて優良運転者は300円、一般運転者は600円安くなります。
オンライン化するのはあくまで講習部分のみで、視力検査や写真撮影といった手続きは警察でおこなう必要があるものの、小さな子どもを持つ家庭からは「子どもが寝てからゆっくりと受講できる」といった好意的な声が上がっています。
免許更新手数料についてもマイナ免許証のみを保有するケースが2100円と最も安く、従来の運転免許証のみを保有するケースが2850円、両方を保有する2枚持ちのケースが2950円となっています。
加えて、マイナ免許証を持っていると、転勤や家庭の都合などで免許証の住所地以外に住んでいる人でも免許更新の手続き(経由地更新)がしやすくなるというメリットもあります。
マイナ免許証が導入される以前は優良運転者しか経由地更新ができなかったうえ、免許更新期間も通常より1か月短い状況でしたが、現在は一般運転者も経由地更新ができるようになったほか、マイナ免許証を持っていれば通常と同じ免許更新期間で手続きができます。

マイナ免許証の取得には上記のようなメリットがありますが、マイナ免許証の導入から1年以上が経過した今、その保有状況はどうなっているのでしょうか。
2026年4月に警察庁が公表した「令和8年(2026年)3月末時点のマイナ免許証保有者数」によると、マイナ免許証の保有者数は全国で293万1492人でした。
2024年時点の運転免許の保有者数が約8174万人であることを踏まえると、マイナ免許証の保有率は全体の3.6%程度にとどまると推測されます。
またマイナ免許証保有者のうち、マイナ免許証のみを保有する人は84万945人(全体の約29%)、従来の運転免許証との2枚持ちをする人は209万547人(全体の約71%)であり、2枚持ちが主流といえます。
ちなみに、くるまのニュース運営会社の社内で独自におこなったアンケートでは、実際に「マイナ免許証のみ保有」を選んだ人と「従来の免許証のみ保有」を選んだ人から次のようなコメントが寄せられました。
●マイナ免許証のみ保有
「私の場合は、単純にペーパードライバーで免許として実用していない&万が一乗ることになったとしてもマイナカードを常に財布に入れている派で不携帯が起こらないため、マイナ免許証のみ保有を選びました」
「江東試験場(東京都)では、海外で運転する人は従来の運転免許証を持っていた方がいいですよという案内しかなかったので、仕組みとして本当にこれで良いのか? とは思っています。ただ、改姓の手続きがとても面倒だったので、住所や名前の変更手続きがワンストップ化されることは大歓迎です」
●従来の運転免許証のみ保有
「本当は両方にしたかったのですが、予約サイトの質問がわかりづらかったため、結果的に従来の免許証のみになってしまいました。当日窓口での変更は受け付けてもらえませんでした」
警視庁の運転免許手続予約サイトでは、免許更新ハガキに記載された予約用IDや講習区分、更新する免許証などを選択する画面があります。
この「更新する免許証」の選択では、更新後の免許証の種類を選ぶことになっていますが、これから更新する免許証(現在保有している免許証)を選ぶものと勘違いしてしまったことで、本来望んでいた免許証を取得できなかったという声がありました。

そのほかSNS上では、免許証の持ち方に関して「万が一紛失してもフォローがしやすい」「一体化するとゴールド免許って分かりづらくなる」「レンタカーが借りられなくなると困る」などの理由から、2枚持ちを選択する人が多くみられました。
マイナ免許証のみを保有する人がマイナンバーカードを紛失した場合、「免許証不携帯」として自動車の運転ができなくなります。
仮に紛失後、再びマイナ免許証を取得する場合は、マイナンバーカードを市区町村役場で再発行してもらった後、警察でマイナンバーカードのICチップに免許情報を記録する手続きをしなければなりません。
マイナンバーカードの再発行には「特急発行・交付制度」を利用したとしても1週間程度かかり、マイナ免許証の再取得に一定の期間を要することを懸念して2枚持ちを選ぶ人が多いといえるでしょう。
ただし、マイナ免許証を紛失後すぐに運転しなければならない場合は、従来の運転免許証の即日発行を受けるという手段もあります。
また上記にあるレンタカーの使用に関して、マイナ免許証でクルマを借りる際はスマートフォンの「マイナ免許証読み取りアプリ」で読み取った免許証の情報をレンタカー会社のスタッフに提示する必要があります。
しかし、現在はマイナ免許証のみでの利用ができず、従来の運転免許証の提示を求めるレンタカー会社も少なくありません。免許証の持ち方については、クルマの使用頻度や自分に合った免許証の管理方法などを十分に検討したうえで選択した方が良いでしょう。
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マイナ免許証の運用が開始されて1年あまりが経過していますが、その保有率は免許保有者全体のわずか3.6%程度にとどまります。
今後マイナ免許証が広く普及するためには、スムーズな再発行や費用面での有利性など、利用者にとっての大きな利点が求められそうです。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。


























