ハンドル取られて怖い道路の「わだち」なぜ出来る? 実は交通量よりも渋滞の影響が
車が通ることでできる車輪の跡、いわゆる「わだち」は多くの車道で見かけることが出来ます。では、あれだけの固いアスファルトを使用しているのにどうして跡が残ってしまうのでしょうか。
「わだち」の一番の原因は渋滞にあり
まっすぐの道にも関わらず、車の運転中にいきなりハンドルを取られたり、オートバイの場合には急に車体が傾いたりといった経験をお持ち方は多いでしょうが、その原因のひとつに挙げられるのが「わだち」です。
ではこの「わだち」はどのようなことが起因となってできるのでしょうか。ここでは「知って得する? 川と道の豆知識」をweb上で展開する国土交通省 東北地方整備局 秋田河川国道事務所に話をうかがってみました。
――道路ではあれだけ固いアスファルトを使用しているのになぜ「わだち」ができるのでしょうか?
そもそも日本の道路の種類は大きく分けて、アスファルト舗装とコンクリート舗装の二つが存在しています。維持費も含めたトータルコストが安いため、開発途上国などではコンクリート舗装が主流となっていますが、日本の国道では約90パーセントがアスファルトを採用しています。コンクリート舗装は、セメントを道路に敷き固めてつくるので剛性に優れる反面、走行時に路面から受ける衝撃も増します。また、施工に時間が掛かる点もデメリットとして挙げられます。
対してアスファルトは継ぎ目がないため走行音が静かで、固まるまで時間が短いためクルマを通しながら行う工事にも適していますが、弾力があるのでスムーズにクルマが流れていればすぐに元の形状に戻るのですが、渋滞が発生してじわじわとクルマの重みが掛かると粘弾性という性質によって変形が生じてしまいます。
――「わだち」になりやすい場所やシチュエーションについて教えて下さい。
特に路面温度が高くなる夏場や、車が停滞しやすい交差点などは「わだち」になりやすい傾向にあります。
――厚みを増すなどして「わだち」ができないように対処できないのでしょうか?
道路を新たに作る場合、公益財団法人 日本道路協会の発行する「舗装設計施工指針」などに記載された規定に基づき工事を行います。
当然、交通量や地盤の状態などを検討してから施工しますが、アスファルト舗装の場合は目安としては大体10年程度をライフサイクルと考えることが一般的です。
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「わだち」ができるまでの過程には交通量よりも渋滞などによる車両の停滞が大きく関係していることが分かりましたが、事前にそうしたシチュエーションを想定することでそれが起因となったトラブルを未然に防ぐことも可能になります。
高速道路の渋滞が起きやすい区間や、交通量の多い交差点など注意深く観察してみるのもいいでしょう。
【了】