日産の「最大・最上級クーペ」に大注目! 全長5m級で「V8エンジン」搭載の「4シーター」モデル! 超豪華「革張りソファシート」も採用する幻の高級車「TRI-X」どんなクルマ?

日産はかつて「最高級クーペ」のコンセプトモデルを開発していました。市販化も期待されたそのクルマとは、いったいどのような仕立てだったのでしょうか。

市販化も目指していたとの噂も聞かれる「幻の最高級クーペ」とは

 1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本は、空前のバブル景気に沸き、自動車市場でも高級車やスポーツカーが飛ぶように売れる活況を呈していました。

 各自動車メーカーは潤沢な開発費を背景に、最新技術と贅沢な素材を惜しみなく投入したモデルを次々と発表します。

 なかでも日産は、高級パーソナルサルーン「シーマ」の大ヒットにより高級車ブームを牽引しており、その勢いのまま1991年の「第29回東京モーターショー」で披露したのが、究極のパーソナルクーペを具現化したコンセプトカーである「TRI-X(トライエックス)」です。

 当時の日産が掲げていた「技術の日産」というスローガンを体現するような、持てる先進技術のすべてを注ぎ込んだフラッグシップクーペの提案でした。

 コンセプトは21世紀のラグジュアリークーペであり、環境や安全への配慮とクルマ本来の走る楽しさや美しさを高次元で両立させる「レスポンシブルラグジュアリークーペ」という壮大なテーマをもとに開発されました。

 TRI-Xの最大の特徴は、見る者を圧倒する堂々たるボディサイズと流麗なスタイリングにあります。

 全長4995mm×全幅1900mm×全高1380mmという寸法は、当時の基準としてはもちろん、現代の水準で見ても極めて大柄でワイドかつローなプロポーションを誇ります。

 外観は空気抵抗を極限まで減らすためのフラッシュサーフェス化が図られており、余計なキャラクターラインを排した滑らかな面構成が優雅さを際立たせています。

 特に長く伸びたノーズと滑らかに下降するルーフラインは、古典的なスポーツカーの美しさと未来的な雰囲気を高度に融合させたものでした。

ふっかふかな「豪華革張りシート」もスゴい!
ふっかふかな「豪華革張りシート」もスゴい!

 長く低いボンネットの下に収められているのは、当時の日産が持てる技術を結集した次世代のパワーユニットである「VHX」型エンジンです。

 これは排気量4.5リッターのV型8気筒DOHCエンジンであり、最高出力は当時の市販車における自主規制値を大きく超える320psを発揮しました。

 特筆すべきは、このエンジンが単なるハイパワー志向ではなく、ガソリンに加えて代替エネルギーとして期待されていたメタノール混合燃料でも走行が可能な設計となっていた点です。

 ラグジュアリークーペにふさわしいダイナミックなパフォーマンスを維持しながら、当時の社会問題となっていた環境負荷の低減にも真摯に向き合った画期的なメカニズムでした。

 駆動方式は大型高級クーペの王道である後輪駆動を採用しています。

 足回りには、前方カメラとレーダーによって路面の凹凸を事前に検知し、それに応じてサスペンションを瞬時に制御する「プレビューアクティブサスペンション」が搭載されました。

 路面状況を先読みして車体のフラットな姿勢を保つこの先進技術により、魔法の絨毯と称されるほどの極上の乗り心地を実現していたといいます。

 また、内装に目を向けると、そこには運転志向のクーペというよりも最高級のラウンジを思わせる空間が広がっています。

 乗車定員は4名で、全席が本革を贅沢に使用したシートとなっており、自動車の座席というよりも高級家具のソファのような仕立てが目を奪います。柔らかな座り心地で乗員を優しく包み込む仕立ては、実際に試してみたかったものです。

 インパネ周りはラップアラウンドデザインを採用して乗員に安心感を与えつつ、質感の高い木目パネルや金属パーツを精巧に組み合わせることで、派手さを抑えたモダンで上品な仕上がりとなっていました。

 メーター類は視認性に優れたアナログとデジタルの融合型が採用され、長距離の高速クルージングでもドライバーの疲労を最小限に抑える工夫が随所に凝らされています。

 大柄なボディの恩恵により後席の居住性も極めて高く、4人が快適に長距離移動を楽しめる真のグランドツーリングカーとしての要件を完璧に満たしていました。

 このようにTRI-Xは、当時の日産が持てる技術とデザイン力を結集させた、まさに夢のスーパーラグジュアリークーペでした。

 一説には、実際に日産の高級ブランド「インフィニティ」での販売も目論んでいたとの話もあるようです。

 しかし、バブル崩壊後の急激な経済情勢の変化により、市販化への道は残念ながら閉ざされることとなります。

 仮に販売されていれば、当時の価格設定を考慮しても1000万円を軽く超える日本車最高峰の超高級車になっていたと予想されます。

※ ※ ※

 世に出ることはなかった幻の名車ですが、TRI-Xに込められた環境への配慮と最上の移動空間という思想は、その後も日産の高級車作りにおいて静かに受け継がれていきました。

 日本の自動車産業が最も熱気を帯びていた時代を象徴する歴史的なコンセプトカーとして、TRI-Xの存在は今なお多くのクルマ好きの記憶に深く刻まれています。

【画像】超カッコいい! これが日産の「最大・最上級クーペ“TRI-X”」です! 画像で見る(30枚以上)

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Writer: くるまのニュース編集部

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