画期的技術採用の「スタイリッシュなミニバン」を展示 「人に寄り添うモビリティ」を東海理化が提案

「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」にて、東海理化は「人に寄り添うモビリティ」を体現する技術を披露しました。内装に溶け込む操作系から、体調を見守るバイタルセンシング、竹繊維を活用した環境配慮型素材まで、これからのクルマと人の関係性を再定義する技術を提案しています。

東海理化が描く未来の車室空間 人とくるまのテクノロジー展2026inYOKOHAMAで見えた提案とは

 クルマが単なる移動手段から安全で快適な居住空間へと役割を広げる中、ユーザーインターフェースも大きな転換期を迎えています。
 
 パシフィコ横浜で5月末に開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」にて、東海理化は次世代のモビリティライフを見据えた技術を披露しました。
 
 テーマの「人に寄り添うモビリティ」が示す通り、直感的な操作システムや乗員の変化を捉えるセンサー技術など、人とクルマの新しい関係性の提案とはどのようなものなのでしょうか。

「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」のブースではスタイリッシュばミニバンを展示(撮影:くるまのニュース編集部)
「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」のブースではスタイリッシュばミニバンを展示(撮影:くるまのニュース編集部)

 まずエクステリア関連製品において、ユーザーへの貢献と地球環境への配慮を両立させる提案展示がありました。空力性能の向上にもたらす安全と安心をテーマに、超薄型の電動格納アクチュエータを採用した「電格式薄型CMS」や、そのミラー用アクチュエータを活用したメカミニマムな機構で様々な車型に展開可能な「アクティブリアスポイラー」などです。

 展示ブースの車両を見ると、フロントフェイスは凹凸のない滑らかな造形で、中央にはボディと一体化したような薄型発光エンブレムが配置されています。このような高輝度のロゴランプや外装照明は、夜間における車両の存在感を高めるだけでなく、オーナーに対するパーソナライズされた演出と愛着を提供します。

 足元には「WFO(ホイールフルオーナメント)」が装着されており、より簡単な取り外し構造により手軽にデザイン変更が可能となっています。展示品は空力性能を意識した幾何学的なスリット加工が施されたシャープなデザインです。

 環境対応の面で特筆すべきは、車両リアビューに採用されている「BAMBOO+(バンブープラス)」を用いたガーニッシュとエンブレムです。BAMBOO+は、日本の竹を有効活用した射出成型用材料であり、独自の工法によって竹繊維を最大55%配合することに成功したといいます。

 この素材を採用することで、従来の石油由来原料の使用量を削減でき、持続可能な社会の実現に直接的に貢献します。展示車両のリアゲートには、このBAMBOO+素材が持つ唯一無二の独特な陰影模様を活かした黒色のガーニッシュが水平方向に配置されており、「BAMBOO+」の文字ロゴとともに外装での使用が可能であることが示されています。環境配慮という概念が新しい意匠としてエクステリアデザインに自然に融合していることがわかります。

東海理化の人に寄り添うモビリティとは(撮影:くるまのニュース編集部)
東海理化の人に寄り添うモビリティとは(撮影:くるまのニュース編集部)

 車室内のインテリアデザインにおいて、無数に存在する物理的なスイッチ類はその存在感をどう処理するかが長年の課題でした。その課題に対して東海理化が提案する「Hidden Light Effect」は、シームレスな内装表面に操作スイッチと車室内の照明演出を物理的な凹凸なく統合するものです。

 一般的に、加飾層に有彩色を用いると、裏面から照射される照明光源の色が加飾層の色の影響を受けてしまい、意図しない色ズレを起こすという技術的な難点があったといいますが、東海理化は透過機能を持つ表皮と裏面印刷の技術を高度に組み合わせることで、この色ズレを効果的に抑制。これにより、カラー加飾やグラデーション加飾を施した大面積のパネルであっても、正確な色味で光を透過させることが可能となり、キャビン全体へ拡張するなどデザインの自由度を大幅に引き上げることに成功しています。

 操作を行った際のフィードバック機構についても、ユーザー体験を損なわない工夫が見られます。各法規などに対応した操作方式が考慮されており、従来の物理スイッチのような確実な操作感を提供する「押込メカ方式」と、パネルそのものを振動させることで意匠の自由度や触感のカスタマイズ性に優れる「振動方式(振動アクチュエータを使用)」の2種類を用意。

 車両の仕様や適用されるエリアに合わせて、操作方式を含めて一体での提案が可能に。なおこれらの機能は単なるスイッチの代替としてだけでなく、例えばエアコンの温度調整時には赤や青の光で直感的に状態を伝え、スポーツモード選択時やリラックス誘導時など、シーンや乗員のバイタル状態に応じた空間演出を可能にしています。この技術は2027年3月の開発完了を目指しているといいます。

「Motion+(モーション認識技術)」(出典:東海理化)
「Motion+(モーション認識技術)」(出典:東海理化)

 自動運転技術の進展に伴い、将来の車室内空間はシートレイアウトを含めてより自由で広々としたものへと変化していくと考えられています。しかし、シートを倒してリラックスした姿勢をとると、ダッシュボードやドアパネルに配置されたスイッチに手が届かなくなるという新たな問題が生じます。この姿勢変化による操作への負荷を解消するのが「Motion+(モーション認識技術)」です。

 本システムは、車室内に設置された単眼カメラを用いて、乗員の全身骨格と指先の細かな動作を同時に高精度で検知。例えば、リラックスした姿勢のまま手元の動きだけで遠くのディスプレイを操作し、「開けて」といった短い音声ワードと指差しの動作を組み合わせることで、対象物を直接触らずに操作することが可能に。

 システムの根幹をなすAIアルゴリズムは、関節点の時系列情報から動作を推定し、手指の関節点座標から適した特徴量を設計しています。また、ディープラーニングを用い、最適なハードウェアで高速化を実現しています。人数の増加によって処理が遅くなる高精度な姿勢検知AIと、人数に関わらず一定の速度で処理可能な高速姿勢検知AIを用途に応じて使い分けている点も特徴です。

 これらのAIモデルの学習には、商用利用に制限のあるオープンデータセットに頼らず、自社で独自に収集したデータセットを活用することでクリアなライセンス形態を実現しています。

 車載システムとしての構成案では、マップランプやカメラを組み込んだオーバーヘッドモジュールに搭載され、170×130×25mmの専用SoC搭載ECU(開発中)を用いて処理を行います。応用範囲は多岐にわたり、エンターテインメント領域ではディスプレイと連動したゲームや教育コンテンツへの活用が想定されています。

 同時に、チャイルドシートにおける子供の姿勢逸脱検知や、乗員が動けなくなった異常姿勢を検知して緊急通報を行うなど、安全機能としての役割も担います。車室外においては、既存のカメラモニタリングシステムのアウターリアビューカメラと骨格検知を連携させ、乗員が乗り込みやすいように自動でシートを調整したり、ハンズフリーでドアを開閉したりする乗車支援機能の開発が進められています。空中操作の実用化は2029年を見据えています。

バイタルセンシング(出典:東海理化)
バイタルセンシング(出典:東海理化)

 日常の移動時間を、ココロとカラダを整える習慣の時間へと変える。そんな新たなモビリティの価値を具現化しているのがバイタルセンシング技術です。

 ドライバーの異常を表情や行動として表面化してから検知する従来の方法では、実際の事故予防への対応が遅れる場合があります。東海理化が開発したシステムは、IRカメラを用いて皮膚表面の血流量の増減を明るさの変化から捉え、乗員に意識させることなく非接触で脈波を常時モニタリングします。

 顔のキーポイントから特定領域の平均色で脈を推定するAI非搭載の従来手法は、動きや光の変化に弱いという弱点も。本技術では、ノイズの少ない脈波の特徴をAIが長時間学習し、脈波の周期性に整合したエリアを自動抽出することで、車載特有の外乱光や振動環境下でも安定したセンシングを実現しています。30代男性の夜間走行データを用いたテストでは、接触型の計測機と同等の精度を50分間にわたって維持していることが確認されています。

 取得された脈拍数やそのゆらぎから、システムは乗員の疲労、眠気、イライラといった内面状態を推定します。居眠り運転防止においては、カロリンスカ眠気尺度の研究に基づき、強い眠気に襲われてからでは外部刺激の効果が薄いという特性を考慮。そのため「無自覚の初期眠気」の段階で最適介入のタイミングを図り、光、音、香り、シートの振動を組み合わせて持続的に覚醒を誘導。イライラや不安を検知した際には、自律神経に働きかける「火の呼吸法」や、4秒吸って7秒止め、8秒吐くことで副交感神経を優位にする「478呼吸法」などをガイドし、コンディションを整えます。これらの機能は、ECUとしての提供やソフトウェア単体での提供など、柔軟なシステム構成が用意されています。

※ ※ ※

 これに関連して、クルマの高機能化による操作の煩雑化を防ぐ「機能提案ステアリング」も展示されました。

 走行状況やドライバーの傾向に応じて、AIが推奨機能をステアリング上のディスプレイに提案します。路面からの視線移動を最小化し、ステアリングから手を離さずに操作できるこの仕組みは、2027年の実用化を目指しています。

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Writer: くるまのニュース編集部

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