ホンダの「小さい“MR”スポーツカー」! 215馬力の“高回転”「V4」&超軽量ボディ採用! 全長3mの本格スポーツモデル「Project 2&4」とは
ホンダがかつて、MotoGPマシンのエンジンをそのまま積んだ「究極のスポーツカー」を発表しました。今なお市販化を望む声が絶えない伝説のコンセプトカー、その正体とはどのようなモデルなのでしょうか。
“究極のライトウェイトスポーツ”
自動車メーカーが未来のビジョンや技術力をアピールする場であるモーターショー。そこでは数多くのコンセプトカーが発表され、来場者の夢をかき立てます。
なかには、市販化を前提としない実験的なモデルでありながら、そのあまりに過激なスペックと魅力的な提案により、伝説として語り継がれるクルマが存在します。
2015年9月のフランクフルトモーターショーで世界初公開され、翌10月の東京モーターショーでも披露されたホンダ「プロジェクト2&4(Honda Project 2&4 powered by RC213V)」は、まさにそんな一台でした。
このクルマのコンセプトは、その名の通り“二輪車と四輪車の価値の融合”です。
ホンダがグローバルで展開する社内デザインコンペティション「グローバルデザインプロジェクト」から生まれたモデルで、世界中のデザインスタジオから集まった80名以上のデザイナーによるコンペを勝ち抜いた意欲作でした。
目指したのは、人がクルマを操る楽しさと、バイクで風を感じる爽快感を極限まで追求することでした。
その開発には、埼玉県の朝霞市にある「二輪R&Dセンター」と、和光市にある「四輪R&Dセンター」の技術者が協力して取り組んでおり、まさに世界トップクラスのエンジンメーカーであるホンダにしか作れない“共作”モデルだったのです。

エクステリアデザインは、1960年代にホンダがF1で戦っていたマシンをモチーフにした、ホワイトを基調とするカラーリングが採用されています。
構造は極めてスパルタンで、フレームやメカニズムをあえて露出させる、ミニマムカバーデザインを採用し、機能美を追求。インテリアと呼べる空間は存在せず、キャビンも屋根もフロントスクリーンもありません。
ドライバーは、地面すれすれの低い位置に設けられたフローティングシートに収まり、路面の変化をダイレクトに感じながら走行します。
その感覚は、身体が車外に露出するという二輪車そのものでありながら、四輪車の安定したコーナリング性能を享受できるという、唯一無二の体験を提供するものでした。
ボディサイズは全長3040mm×全幅1820mm×全高995mm。全長は軽自動車よりも短いにもかかわらず、全幅はスーパーカー並みにワイド、そして全高は1mを切るという極端なパッケージングです。驚くべきはその車両重量で、わずか405kgしかありません。
この超軽量ボディに搭載されるパワートレインこそが、プロジェクト2&4の真骨頂です。ミッドシップに搭載されたのは、MotoGPマシン「RC213V」の公道仕様車「RC213V-S」用の999cc V型4気筒エンジンです。
二輪車用の超高回転型ユニットを四輪車用にチューニングし、1万3000rpmで215PSの最高出力を発生します。
トランスミッションには専用開発の6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が組み合わされました。
405kgの車体に215馬力というスペックは、パワーウェイトレシオの面でも世界屈指のハイパーカーに迫るレベルといってよいでしょう。
車体の骨格には、二輪車のフレーム構造を応用したシンプルなバックボーンフレームを採用。
ステアリングホイールの奥には透明なパネルを用いた先進的なデジタルメーターが配置されており、ここにもレーシングマシンのような機能美が見て取れます。
発表当時は、MotoGPマシンのエンジンを積んだ“究極のスポーツカー”として、世界中のメディアや愛好家から熱狂的な注目を集めました。
発表から時間が経過した現在でも、SNSなどでは「これ最高に楽しい!」「1000万円でも買います」といった熱烈なラブコールが絶えません。他社の軽量スポーツカーと比較し、「ホンダこそ、こういうクルマを出してほしい」という期待の声が根強く残っています。
しかし残念ながら、プロジェクト2&4は市販化されませんでした。理由は公式には明らかにされていませんが、フロントスクリーンやドアを持たない構造上、各国の衝突安全基準や保安基準をクリアして一般道を走行させるハードルが極めて高かったことなどが考えられます。
また、具体的な後継モデルや、このコンセプトを直接引き継いだ市販車も存在していません。
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幻のコンセプトカーとなった「プロジェクト2&4」。実車に乗ることは叶いませんが、現在ではドライビングシミュレーターゲーム「グランツーリスモ」シリーズに収録されており、その過激な走りをバーチャルで体験することが可能です。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。
















