「MAX」シリーズの末弟の実力や如何に? ヤマハ「NMAX155」徹底試乗

ヤマハ「NMAX155」は、従来から設定されていた125ccモデルの排気量を拡大し、グローバルスクーターとして追加されたモデルです。

MAXシリーズの末弟世界展開へ

 125ccクラスの車体に、155ccのエンジンを組み合わせたヤマハのグローバルスクーターが「NMAX155」です。今年4月から日本でも発売が開始され、軽さと安定感、快適性を兼ね備えた万能モデルとして注目が集まっています。

「NMAX155(エヌマックス)」に試乗中の筆者(伊丹孝裕)

 NMAX(エヌマックス)は「TMAX(ティマックス)」や「XMAX(エックスマックス)」といったMAXシリーズの末弟として、2016年にデビューしたモデルです。最初にラインナップされたのは125ccでしたが、新しくこのたび155ccモデルが追加され、ワールドワイドに展開されることになっています。

 注目すべきポイントはやはりエンジンにあり、125ccのシリンダーボアを52.0mmから58.0mmに拡大して、プラス30ccの余力を獲得。12psから15psに向上したパワーもさることながら、トルクの厚みがグッと増し、スロットルを大きく開けなくてもグングンと車速が上乗せされていきます。

 実際、最大トルクをスペックで比較してみると、NMAX125の1.2kg-m/7250rpmに対し、155は1.4kg-m/6000rpmというもの。より低回転で力を発揮していることが分かります。ちなみにこの数値自体は、ヤマハの同一排気量車であるマジェスティSやトリシティ155と同じですが、それらと比べても明らかにパワフルに感じられ、ホンダのPCX150といった他メーカーのモデルが相手でもスタートダッシュ時のレスポンスは一枚上手です。

 その秘密は車重にあり、NMAX155は128kgという軽量ボディを誇っている一方、マジェスティSのそれは145kg、トリシティ155は165kg、PCX150は131kgと明確な差があることが大きな要因でしょう。

新世代エンジン「BLUE CORE(ブルーコア)」搭載

 また、NMAX155の新世代エンジン「BLUE CORE(ブルーコア)」はエコとスポーティさを両立しています。最大の特徴は低速域と高速域でバルブタイミングが変化するVVAと呼ばれる機構で、これによって力強さと爽快な加速フィーリングを両立。しかもアルミの鍛造ピストンやオフセットシリンダーといったヤマハ独自の技術によって、冷却性能の向上とフリクションの低減も達成しています。発進・停止・加速などを盛り込んだWMTCモードでの燃費は41.7km/Lと発表され、経済性のよさもうかがえます。

 車体中央にフロアトンネルが設けられ、足もと部分を荷物の積載に利用することはできません。この点に関してはマジェスティSに分があります。NMAX155は燃料タンク容量も0.8リットルほど少なくなりますが、反面車体の剛性感は高く、ハンドリングは安定しています。アベレージスピードの高い道路やギャップが多い場所でも不安なく走れるはずです。

 この安定性は街中でも際立っています。軽い車体にもかかわらずヒョコヒョコとした動きはなく、前後13インチのワイドタイヤがしっかりと路面を追従。ABSが標準装備され、もしもの時の安全性も確保されているため、状況が予測しにくい混雑した道路を走る時も安心です。

 前後に自由度があり、レザー調の表皮とステッチによって質感が高められたシートを開けると、そこには約24リットルのトランクスペースが確保されています。フルフェイスヘルメットとプラスαの荷物を収めることができ、収納力に不満はありません。

車体も軽く良好な足つき性で小柄なライダーでも不安はない

 シート高は765mmで、身長174cmのテスターがまたがると両足のカカトはほぼ接地するため、足つき性は良好な部類に属します。もっとも車体の軽さが功を奏し、小柄なライダーでも取り回しや極低速域の走行でも不安を覚えることはないでしょう。

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