日産の電気自動車（EV）「リーフ」は、同社が目指す「ゼロエミッション」「インテリジェントモビリティ」を象徴するモデルです。

　2017年に登場した現行モデルは、航続距離拡大に加えて1ペダルドライブが可能な「e-Pedal」、より進化した運転支援システム「プロパイロット」＆「プロパイロットパーキング」の採用も相まって、クルマの未来、つまり「電動化」と「電脳化」をより身近にさせる存在といっていいでしょう。

　しかし、インテリジェントな要素を“視覚的”に感じにくいのが残念なところでもあります。

　リーフには「電動車を普及させる」というミッションが与えられていますが、筆者（山本シンヤ）はそれだけに留まらず「先進性を持ったクルマを所有する」歓びや満足感を与えるプラスαも必要だと考えます。

　そんなリーフに追加されたスペシャルバージョンが、「AUTECH（オーテック）」です。

　リーフには、モータースポーツ直系でパフォーマンス重視の「NISMO」がすでにラインナップされていますが、「AUTECH」はプレミアム性の高いクラフトマンシップを感じさせる仕立てが特長です。

　ミニバンの「セレナ」を皮切りに、コンパクトカーの「ノート」、SUVの「エクストレイル」に「AUTECH」が設定されていますが、リーフはその第4弾になります。今回、リーフAUTECHの魅力を探るために、ショートトリップへ出かけました。

　待ちあわせ場所のアクアラインの海ほたるPAに着くと、そこにリーフAUTECHが待っていました。実車は何度か見ていますが、パッと見たときの“いい物感”が明らかに違います。

　エクステリアは、AUTECHブランドのアイコンである「ドット柄」を左右に用いたガーニッシュとAUTECH専用ブルーのシグネチャーLEDが追加された特別なデザインのバンパーが印象的です。

　シグネチャーLEDは、このために新開発された淡いブルーの発光で、遠くから見てもAUTECHとしてのアイデンティティを主張します。

　さらに、フロント／リア／サイドに配置されたメタル調フィニッシャーやAUTECHの「A」がデザインモチーフの11本スポークの専用アルミホイールなどが、洗練された質の良さを感じさせます。

　まず一つ目の目的地「九十九里浜」まで向かいますが、その前に海ほたるPAで急速充電をしてみました。

　リーフは電気自動車なので、当然充電しないと走行できません。かつては充電設備が少なかったこともありましたが、最近では高速道路のSA・PAをはじめ、コンビニやショッピングモール、ホテルなどさまざまな施設で充電ができるようになりました。

　電気自動車やプラグインハイブリッド車を販売する、日産、トヨタ、ホンダ、三菱などのディーラーでも、急速充電器を備えており、利便性が向上しています。

　これだけ多くの充電器が設置されていれば、戸建て住宅でなくても、集合住宅の人も電気自動車を所有できる時代になったといえます。

　海ほたるPAでは、30分の急速充電で80％まで回復。ガソリンの給油は数分で完了する一方、電気自動車の充電は30分かかるので長く感じるかもしれませんが、パーキングエリアで休憩しながらの30分はあっという間に過ぎてしまいます。

　また、日産のEVを所有しているオーナー向けのアプリで充電の進行状況や充電完了時間の目安などを確認できるので、完了する前にクルマに戻ることが可能です。

　さらに、月額2000円の定額制で、全国の急速充電器が使い放題になるプランが用意されているのもポイントです。

　電気自動車はガソリン車よりも航続距離が短いので、充電の頻度が多くなりがちですが、ガソリン車を満タンにするときに、1回の給油であっても2000円以上かかることはよくあります。

　それがリーフであれば月々2000円なので、ガソリン車よりもかなりお得に利用できるのもメリットのひとつです。