ついに“スライドドア”採用のダイハツ「ムーヴ」! 対するスズキ新「ワゴンR」は“希少なMT”継続!? 軽ハイトワゴンの二大巨頭はどう違う?
11年ぶりのフルモデルチェンジで注目を集めるダイハツ新型「ムーヴ」と、一部改良を受けたスズキ「ワゴンR」。30年もの歴史をもつ両車は、それぞれ現在も軽自動車市場を牽引する存在ですが、どのような特徴があるのでしょうか。両車を比較し、解説します。
最新モデルを比較! デザイン、スペック、使い勝手など特徴は?
2025年6月に11年ぶりの全面改良を受けたダイハツの新型「ムーヴ」は、2025年10月の軽自動車販売ランキングで首位に立ち、好調なスタートダッシュを決めました。
同じ軽ハイトワゴンのスズキ「ワゴンR」は2025年12月に一部改良を受けています。ムーヴとワゴンR、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

●7代目となったダイハツ「ムーヴ」
1993年9月登場の初代ワゴンRから遅れること約2年、ダイハツが送り込んだ初代ムーヴは、「ミラ」をベースに背高パッケージを与えるとともに、「裏ムーヴ」と呼ばれた「カスタム」を追加。初代から5代目まで横開き式バックドアを採用してきたのも特徴です(6代目から上開き式)。
2025年6月に7代目に移行しましたが、ダイハツの検査不正問題がなければ、2023年夏頃には登場する予定でした。
約2年遅れのデビューとなった現行ムーヴは、基本的には約2年前に設計されたままで、ベースは2代目「ムーヴ キャンバス」。型式はキャンバスと新型ムーヴも同じです。
新型ムーヴのボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmで、ホイールベースは2460mm。なお、キャンバスも同値です。
新型ムーヴ最大の特徴は、車体を共有するキャンバスと同じ両側リヤスライドドア化です。エクステリアは、横基調のフロントグリルとロアグリル、比較的スクエアなヘッドライトによるシームレスで、キリッとした顔つきを採用。「ムーヴ=スポーティ」というイメージを抱く男性ユーザーを中心とした層にアピールしています。
さらに、「カスタム」を廃止し、「L」「X」「G」「RS」を設定。初代から受け継いでいる縦型リヤコンビランプは、若干「L」字型になり、その下のプレスラインとともに変化を与えています。
インパネは、水平調で広がり感を抱かせるキャンバスに対し、ムーヴは中央のエアコン吹き出し口下にトレーを設け、運転席と助手席をキャンバスよりも独立させた形状になっています。
シート表皮は、「RS」と「G」がシルバーステッチ付のネイビーになり、大人の上質感を演出。「X」と「L」は、明るさの中にも落ち着きも感じられる「グレージュ」が組み合わされています。
後席は左右別々に240mmのロングスライドが可能で、リクライニングにも対応。シート設計も基本的にはキャンバスと同じですが、キャンバスにある後席座面下の「置きラクボックス」がないため、後席座面下にスライド用レバーを配置しています。
主な装備は、リヤ両側スライドドアに加えて、ドアロックを事前に予約できる「タッチ&ゴーロック機能」、自動でパワースライドドアが作動して開く「ウェルカムオープン機能」を設定(RSに標準。Gは左のみ標準で右はメーカーオプション)し、施錠と解錠を容易にしています。
パワースライドドアとスライドドアイージークローザーは「L」が未設定で、「G」と「X」の電動スライドドアは左側が標準、右側はオプションです。
「RS」と「G」には、オートブレーキホールド機能付電動パーキングブレーキ、USBソケット(インパネ1口、電源用)も用意。ディスプレイオーディオは、メーカーオプション設定になります。
そのほか、プッシュボタンスタートとキーフリーシステムは、「L」以外に標準で、「L」はスマートエントリーが標準装備。
衝突被害軽減ブレーキや前後の誤発進抑制機能などからなる先進安全装備の「スマートアシスト」の衝突回避支援は、全車に標準装備。全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールと「レーンキープコントロール」は「RS」に標準、「G」にオプション設定です。
パワートレインはマイルドハイブリッドなしで、NAとターボエンジンが設定されています。NAは最高出力38kW(52PS)、最大トルク60Nm。ターボは最高出力47kW(64PS)、最大トルク100Nmとなっています。トランスミッションはCVTのみで、駆動方式は2WD(FF)と4WDから選択できます。
グレードはNAエンジンの「L」「X」「G」とターボを積む「RS」の4つ。価格帯(消費税込)は、135万8500円〜202万4000円となっています。

●25年12月に一部改良したスズキ「ワゴンR」
一方のワゴンRは、1993年に車高の高いスクエアボディを備え、それまで女性が中心だった軽自動車に男性ユーザーも多く呼び込みました。2017年2月に全面改良を受けた現行型は6代目で、2025年12月15日には一部仕様変更されています。
当時のJC08モード燃費33.4km/Lは、軽ハイトワゴンでトップを誇っていました。軽自動車初のヘッドアップディスプレイ(HUD)を採用するなど、当時最新の装備も用意されています。
現行型は、モーター発進が可能なマイルドハイブリッドを搭載し、WLTCモード燃費は25.1km/Lとなっています(ZL 2WD 5MT、HYBRID ZX 2WD CVT)。
ボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1650mmで、ホイールベースは2460mm。2025年12月の変更では、それまで複数あった外観デザインが1つに集約されました。
従来の「カスタムZ」をベースに、立体感を強調するフロントグリルや3Dテクスチャーを用いた新デザインを採用し、精悍な表情へと一新されています。
なお、2021年8月に派生モデルでリヤ両側スライドドアを採用する「ワゴンRスマイル」がムーヴ キャンバスの対抗馬として投入されています。
ワゴンRは、後が斜めになるBピラーの形状が独特。前半分のパーソナルスペース、後半の実用スペースに分けるアイキャッチとなっています。
インパネは、いまでは少数派になりつつあるセンターメーターを採用。HUDに速度などを映し出すことで、視線移動を抑える設計となっています。
なお、2025年の変更で4.2インチカラーマルチインフォメーションディスプレイが標準装備となったほか、上位グレードにはステアリングヒーターも採用され、利便性が向上しました。
後席は、左右別々にスライドとリクライニングが可能です。シートアレンジは、スズキのお家芸である助手バックレスト完全前倒機構(助手席シートアンダーボックス付)により、長尺物の積載が可能になるほか、前席背もたれを寝かせたフルフラットにも対応しています。
装備でユニークなのが、リヤドア両側のアンブレラホルダー。置き場に困りがちな傘(全長約90cmまで)を縦に収納できるだけでなく、ホルダー下(ドアポケット)から溜まった水が車外に排出されるようになっています。
センターメーターを採用したことで、運転席前のインパネアッパートレーなど収納スペースも豊富に揃っています。
先進安全装備は、2025年12月の改良で最新の「デュアルセンサーブレーキサポートII」へ刷新され、全車に標準装備となりました。これにより検知対象や機能が拡大したほか、車線逸脱抑制機能も標準化されています。
パワートレインは、NAとマイルドハイブリッド仕様が用意されています。エンジンスペックは最高出力36kW(49PS)、最大トルク58Nm。マイルドハイブリッドのモーターは最高出力1.9kW(2.6PS)、最大トルク40Nmとなっています。
トランスミッションは、CVTのほかに、「ZL」に5MTを設定。5MTは一時廃止されていましたが、MT派や法人ニーズなどに応えています。駆動方式は、2WD(FF)と4WDから選択できます。
2025年12月の改良に伴い、グレード構成と価格も刷新されました。現在の価格帯(消費税込)は143万円〜182万9300円。グレードは、ガソリン車の「ZL」と、マイルドハイブリッド仕様の「HYBRID ZX」の2種類に集約されています。
Writer: 塚田 勝弘
中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー用品などのフリーライター/フリーエディターに。軽自動車からミニバン、キャンピングカーまで試乗記や使い勝手などを執筆。現在は最終生産期のマツダ・デミオのMTに乗る。










































