147万円安い! 「“3列7人乗り”高級SUV」がスゴかった! 3リッター「直6」ターボで「360馬力超え」! “コスパ×実用性”が最強バランスのメルセデス・ベンツ「GLE」の実力とは
輸入車の価格上昇が止まらないなか、装備を見直して価格を抑えた“コア”グレードが注目を集めています。メルセデス・ベンツの高級SUV「GLE」に新設定された「GLE 450d 4MATIC Sports Core」は、どのような価値を備えた一台なのでしょうか。
価格上昇時代に登場した「GLE」の戦略グレードとは
みなさんご存知のとおり、ここ数年はクルマの価格がどんどん上昇しています。これはコロナ禍に端を発する半導体不足やロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンへの影響、円安、世界的な物価および賃金上昇など、理由はさまざまです。
とくに輸入車は国産車を上回る勢いで値上がりしており、コロナ禍以前と比較すると3割程度高くなった印象を受けます。

そもそも輸入車は割高と思われがちですが、実は必ずしもそうではありません。20世紀はその傾向が強かったものの、2000年以降、とくに2010年代になると、多くの輸入車は本国とほぼ同等、あるいは装備内容を考えれば割安と感じられる価格設定となっていました。
しかし近年は、極端な円安ドル高およびユーロ高の影響もあり、国内販売価格が急激に上昇。インポーターが価格改定を発表するたびに「また値上げか……」と感じてしまうのも無理はありません。
このままでは、せっかく身近になってきた輸入車が再び“高嶺の花”になってしまいます。そこで最近のインポーターは、重要度の低い装備を簡略化することでコストを抑え、価格とのバランスを重視した仕様を用意するようになってきました。
今回試乗したメルセデス・ベンツの「GLE 450d 4MATIC Sports Core(GLE 450d 4マチックスポーツ コア)」も、そうした考え方から生まれたモデルです。
2025年3月に同社のミドルSUV「GLC/GLCクーペ」に追加された「GLC 220d 4MATIC Core/同クーペCore」と同様に、GLEの“コアバリュー”を維持しながら装備内容を見直し、戦略的な価格を実現した新バリエーションとなっています。
既存の「GLE 450d 4MATIC Sports」との主な変更点は以下のとおりです。
・「AMGラインインテリア」を廃止
・「本革巻きスポーツステアリング(ナッパレザー)」を「本革巻きステアリング(ナッパレザー)」に変更
・「本革シート(本革/ナッパレザー)」を「レザーARTICOシート」に変更
・「アンスラサイトオークウッドインテリアトリム」を「ブラウンウォールナットウッドインテリアトリム」に変更
・「ドアクロージングサポーター」を廃止
・外装色を「オブシディアンブラック(メタリック)」と「MANUFAKTURオパリスホワイト(メタリック)」の2色に厳選
これらの見直しにより、車両価格(消費税込)は3列シート7人乗りのSUVが1379万円、5人乗り仕様のクーペが1393万円となり、従来モデルよりそれぞれ147万円、148万円安く設定されました。約1割の価格差は非常に大きなポイントです。
しかし実際に乗ってみると、そんなコストカット感は全く感じられません。確かにAMGラインのスポーティな雰囲気や、ナッパレザーならではのしっとり上質な感触はありませんが、ウォールナットのトリムは十二分に上質で、ARTICOの手触りも申し分ありません。
シート表皮はむしろナッパレザーより合成皮革のARTICOの方が、汚れにくく手入れもしやすいので、頻繁にアウトドアレジャーに行くようなユーザーには好まれるでしょう。見た目の上質感が本革と遜色ない点も魅力です。
エクステリアもGLEらしい堂々とした存在感は健在。21インチのAMG製アルミホイールは、標準モデルの22インチより1インチ小さいですが、フロント275/45R21、リア315/40R21のピレリPゼロとの組み合わせにより、SUVらしい力強さを際立たせています。
ボディサイズは全長4925mm×全幅2020mm×全高1780mm、ホイールベースは2995mmです。
ボディカラーがホワイトとブラックの2色のみというのは、低価格の実現のためには仕方のないところです。
とはいえGLEは元々有償カラーのMANUFAKTUR以外はシルバーやグレーなど控えめなカラーが大半なので、多くの顧客は不満を感じることはないはずです。

装備面では、ドアクロージングサポーターが省略されていますが、実際に乗り降りしてみても、特に不便を感じることはありません。MBUXはもちろん標準装備で、ARナビゲーションも搭載。Burmesterのサラウンドシステムも標準です。ADASも当たり前のように全て搭載されています。
走りも申し分ありません。今回試乗したGLE 450d 4マチックスポーツコアのSUVモデルは、最高出力367馬力・最大トルク750Nmを発揮する3.0リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載します。
これに、20馬力と200Nmを発揮する電気モーターを備えたマイルドハイブリッドシステムのISGを組み合わせた9速ATのパワートレインは、発進時から非常にトルクフルかつ滑らかで、2.5トンに迫る重量級の車体をスイスイと走らせます。
Eアクティブボディコントロールは備わらないが、エアマチックサスペンションは標準で備わり、高いフラット感のある上質な乗り心地も実現しています。
アッパーミドルクラスのプレミアムSUVに相応しい静粛性の高さも大きな魅力です。
またエアサスは、4段階に車体を昇降させることも可能で、乗降時やオフロード走行時などに威力を発揮してくれます。
GLE本来の上質感やプレミアム性をしっかり確保しながら価格を抑えたGLE 450d 4マチックスポーツ コアは、絶妙な匙加減で装備内容を厳選し、GLE本来の上質感やプレミアム性をしっかり表現しながら価格を抑えた、とても魅力的な一台です。
購入時に膨大なオプションリストを見ながら悩む必要がない点も、嬉しいポイントと言えるでしょう。
Writer: 竹花寿実
自動車専門誌やWeb制作スタッフを経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使して現地で最新モデルや最新技術、クルマ文化、交通政策などを取材する。2018年に帰国後は、国内をベースに欧州車を中心に各種メディアに執筆。ヨーロッパのサッカー事情にも詳しい。

































