お礼のはずが「あおり運転」を招くかも!? 慣習化した「サンキューハザード」の落とし穴! 安全を優先するなら“無理に点けない”のが正解?

道を譲ってもらった際のマナーとして定着している「サンキューハザード」。しかし、このお礼についてSNSでは否定的な声も少なくありません。中には、お礼がなかったことに腹を立てた後続車から「あおり運転」を受けるケースや、操作に気を取られて事故を起こす「サンキュー事故」も発生しています。一体どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

必須の行為ではない「サンキューハザード」! 点けるのは余裕がある時に

 車線変更や合流時にハザードランプを点けて、譲ってくれた車に対して「ありがとう」を伝える「サンキューハザード」。一般車両や街中を走るバスなども使うことがありますが、道路交通法で定められているわけではありません。

 サンキューハザードは点けたほうがいいのでしょうか。

「サンキューハザード」に賛否両論! どんなことに注意すべき?(画像はイメージ、kitthanes/PIXTA)
「サンキューハザード」に賛否両論! どんなことに注意すべき?(画像はイメージ、kitthanes/PIXTA)

 車線変更や合流時にハザードを複数回点滅させて、譲ってくれた車に対してお礼を伝えたことがある人は多いでしょう。先を譲ったクルマが、ハザードランプを複数回点滅させてお礼を示してくれると、「マナーが良い」と思う人もいるかもしれません。

 このようなハザードランプを複数回点滅させてお礼を示す行為を「サンキューハザード」と呼びます。運転中は、直接相手にお礼を伝えるのが難しい状況です。そのため、非言語で感謝の意を示す手段として、ハザードを複数回点灯させる人は少なくありません。

 JAF(日本自動車連盟)が行った調査では、「あなたは道を譲ってもらったときなどに点灯する、通称『サンキューハザード』をしていますか?」の問いに、全体の85.6%のJAF会員が「はい」と回答しています。

 サンキューハザードは、1980年代頃に高速道路を長距離走行するトラックドライバーの間で広まったと言われています。夜間走行時に、感謝や情報共有の手段として活用されており、少しずつ一般ドライバーの間でも広がっていきました。

 なお、「サンキューハザード」という名称は、ハザードランプを複数回点滅させて感謝の意を示す行為が世間で浸透していくとともに、メディアなどで取り上げられて、このような名称が定着したと考えられています。

 道路交通法においてハザードランプは「非常点滅表示灯」とされており、「道路または車道の幅員が5.5m以上の道路に停車、または駐車しているとき」に使用するものです。

 基本的に、「危険の告知」や「異常の表示」の際にハザードランプを使い、夜間の駐停車や通学バスの停車、故障車の警告などの際に活躍します。

 ただし、上記のような状況以外で「非常点滅表示灯を使用してはいけない」とは、明確に書かれていないため、ハザードランプでお礼を伝えたとしても、違反になる可能性は低いでしょう。

 強いて言えば、道交法第70条では安全運転義務として「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とあるため、これに違反していると思われた場合は、「安全運転義務違反」になります。

 サンキューハザードが周囲を惑わす危険な行為だと判断されて、安全運転義務違反で取り締まられたというケースは稀でしょう。ただし、仮に事故が起きて、サンキューハザードが原因だと判断されてしまうと、安全運転義務違反で検挙される可能性はあります。

 ハザードランプを複数回点滅させる行為は、サンキューハザードのほかに、高速道路などで渋滞の末尾に差し掛かった際、「後続車に減速および停止を知らせる手段」として使われることがあります。

 また、濃霧で視界が悪い時に、クルマがいることを周囲に知らせるために、ハザードランプを点灯させたまま走行することも少なくありません。

 このようなハザードランプの使い方は、文字通りハザード(危険)を知らせる行為であり、事前に事故を防ぐ手段として有効でしょう。

 SNSでは、サンキューハザードなどのハザードランプの点灯に関して、好意的な意見が多く上がっています。一方で、「サンキューハザードを出せば何でも許されると思うな」「そんなルールないんだから必要ない」などの意見も少なくありません。

 サンキューハザードを点灯する側は、お礼をするのはもちろんのこと、何もしないで「あおり運転」されるのを防ぐための行為だと考えている人もいるでしょう。

 道を譲ってもらった際にサンキューハザードを怠って、それに怒った相手が無理に車間距離を詰めてきたりなどした場合は、あおり運転に該当します。あおり運転をされた場合は、慌てずに「駐車場など安全な場所」に避難しましょう。この際、できるだけ人が多い場所だと安心です。

 そのあとは、しっかりドアロックをして110番通報しましょう。脅されたり挑発を受けたりしても相手にしないで、車外に出ないようにしましょう。

 必ず、警察官が来るまで車内で待機して、身の安全を確保できるようにしてください。ドライブレコーダーで実際にあおり運転を受けた映像を残しておくことも重要です。これは、JAFでもあおり運転を受けたときの対処法として推奨されているので覚えておきましょう。

 なお、そもそもサンキューハザードの意味を知らず、「なぜ前のクルマがハザードランプを点灯したのか」理解していないケースも少なからずあります。

 相手がサンキューハザードの意味を理解していないとなると、混乱を招いてしまう可能性があり、思わず事故に繋がることもあるかもしれません。

 また、道を譲ってもらった後に「サンキューハザードを点けなければ」と焦って、事故が起きてしまうケースもあります。これは「サンキュー事故」と呼ばれることもあり、お礼のためにハザードのスイッチを押す際、周囲の安全確認が疎かになることで起きる事故です。

※ ※ ※

 サンキューハザードは、法律上違反でも義務でもありません。暗黙のマナーとして、道を譲ってくれたクルマに対してお礼を示すのは大切なことだとも言えるでしょう。

 しかし、もっとも重要なのは「安全に運転すること」です。そのため、サンキューハザードを点ける際は、慌てずに周囲の安全を確認したうえで行いましょう。合流時などは、会釈や手を挙げてお礼を示すことも可能です。

「ありがとう」と伝えたい気持ちは悪いことではありませんが、まずは安全運転を優先して、余裕があればサンキューハザードを点けましょう。

【画像】「えぇぇ!」 これがサンキューハザードに代わる「あいさつ装置」です!画像を見る(24枚)

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Writer: マツ

2022年からフリーのWEBライターとして活動開始。上場企業からの依頼で、SEO記事を中心にVOD・通信系(WiFi・光回線など)などのジャンルを執筆して経験を積む。現在も企業が運営する複数のメディアで記事を執筆。読者に役立つ内容を、わかりやすく執筆することを心掛けている。

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