ホンダ「次期型“Z”!?」におじさん世代歓喜! “6速MT”搭載&丸目の「昭和レトロ」デザイン完全再現! 初代“Z”モチーフで「水中メガネ」が奇跡の復活! “涙が出るほど懐かしい”斬新クーペ「Re:Z」とはどんなクルマだった?
毎年ユニークなカスタムカーが会場を彩る「東京オートサロン」。2018年にホンダアクセスが出展したカスタムカー「Re:Z」とは、一体どのようなモデルだったのでしょうか。
ホンダ「次期型“Z”!?」におじさん世代歓喜!
2026年1月9日から11日にかけて幕張メッセで開催される「東京オートサロン2026」では、毎年ユニークで個性豊かなカスタムカーが会場を彩ります
それとともに過去の出展車両を振り返ると、コンセプトの秀逸さと完成度の高さから、時間が経過しても今なお語り継がれる名作が存在します。

その代表例と言えるのが、ホンダ車の純正アクセサリー開発を手掛けるホンダアクセスが2018年に出展したカスタムカー、「Re:Z(アールイーゼット)」です。
「はじめての・ひさびさのデートカー」をコンセプトに掲げ、若いカップルには新鮮さを、長年連れ添った夫婦には懐かしさを提供するプライベート空間として提案されたこのクルマは、単なるショーカーの枠を超えた深いメッセージ性で来場者を唸らせました。
ベース車両として選ばれたのは、2010年に発売されたホンダのハイブリッドスポーツカー「CR-Z」です。
しかしその姿は、先進的なクーペスタイルから一変し、1970年に登場して「水中メガネ」の愛称で親しまれた名車「ホンダZ(初代)」を彷彿とさせるレトロフューチャーなデザインへと生まれ変わっています。
これは、開発デザイナー自身が抱いていた「初代Zへの強い憧れ」と、一方で故障リスクなどから来る「旧車維持の難しさ」というジレンマに対し、「現代の信頼できるクルマを使って、気兼ねなく乗れるホンダZを作ればいい」という発想で応えたもの。
CR-Zの特徴であるファストバックスタイルのリアセクションを大胆に作り変え、初代Zのアイデンティティである絶壁のようなリアハッチと、そこにはめ込まれた“水中メガネ”風のウインドウを見事に再現しています。
特筆すべきは、ホンダ車を知り尽くしたメーカー直系ブランドならではの「純正部品流用」の巧みさでしょう。
例えば、レトロな雰囲気を醸し出す横型のテールランプには、かつて販売されていたコンパクトミニバン「モビリオスパイク」の純正品が流用されています。
またフロント周りには軽自動車「N-ONE」のパーツを、フォグランプにはセダン「アコード」の部品をそれぞれ採用するなど、一見すると専用設計に見えるパーツの多くが、実は既存のホンダ車からの流用で構成されています。
インテリアにおいてもその手法は徹底されており、ステアリングホイールにはミニバンの「ステップワゴン」用を、エアコン吹き出し口にはN-ONE用を採用してリラックスした雰囲気を演出。
さらにシート表皮には、レジャーバイク「モンキー」の50周年記念モデルと同じチェック柄のファブリックを取り入れるなど、二輪・四輪の垣根を超えたホンダならではの遊び心が随所に光ります。
パワートレインはCR-Z譲りとなっており、1.5リッターi-VTECエンジンに当時最新のハイブリッドシステム「IMA」を組み合わせ、トランスミッションには6速MTを選択することで、環境性能と操る楽しさを両立しています。
ボディカラーにもこだわりが見られ、四輪用ではなく、バイクの「スーパーカブ110」などに設定されている「グリントウェーブブルーメタリック」が採用されました。
車名の「Re」には、「リノベーション」「リユース」「リバイバル」といった意味が込められています。あえて新車ではなく、生産終了モデルとなったCR-Z(中古車)をベースに選ぶことで、既存の資源を有効活用し、自分好みに仕立て直して愛着を持って長く乗るという、サステナブルで知的なカーライフの提案がなされていたのです。
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Re:Zは、いわゆる「おじさんホイホイ」的な懐古趣味の企画として注目を集めましたが、その本質は、自動車の使い捨て文化に対するアンチテーゼと、成熟した自動車文化における「大人の遊び方」を提示した、極めて現代的で知的なコンセプトカーであったと言えるでしょう。
市販化こそ実現しませんでしたが、その思想は今の時代のカスタムシーンにおいても、重要な示唆を与え続けているのです。
Writer: くるまのニュース編集部
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