ホンダ斬新「観音開きドア」セダンが凄い! 「NSX」のデザイナーが手掛けた“流麗ボディ”&「豪華内装」がカッコイイ! 乗員に寄り添った“画期的システム”搭載! 米国で公開の「アキュラ プレシジョン コンセプト」とは?
電動化や自動運転が進む中、自動車ブランドには明確なアイデンティティが求められています。2016年に登場した「アキュラ プレシジョン コンセプト」は、デザインと思想の両面からアキュラの未来像を示した重要な一台でした。その意義と影響を振り返ります。
NSXを生んだデザイナーが描いた高級セダン
自動車業界はいま、「100年に一度の大変革期」と称される激動の時代にあります。電動化の急速な進展、自動運転技術の高度化、さらにはソフトウェアを中心とした価値観の転換により、クルマは単なる移動手段ではなく、利用者に新たな体験を提供する存在へと変貌しつつあります。
このような環境下で自動車メーカーに問われているのは、最新技術を搭載しているかどうかだけではなく、「そのブランドは何を大切にし、どのような未来を描こうとしているのか」という根源的なアイデンティティです。
特にプレミアムブランドにとって、デザインはブランドの思想や価値観を視覚的に語る重要なメディアであり、その方向性を示すコンセプトカーの役割は、これまで以上に大きな意味を持っています。

そうした流れの中で、ホンダが北米市場を中心に展開する高級車ブランド「アキュラ」が描く未来像の原点として欠かすことのできない存在が、2016年に発表された「アキュラ プレシジョン コンセプト」です。
同車は、当時やや停滞感が指摘されていたアキュラブランドが、再び輝きを取り戻すための強い意志を体現したコンセプトカーでした。
2016年のデトロイトオートショーで世界初公開されたこの近未来的セダンは、カリフォルニアに拠点を置くアキュラ・デザインスタジオによって開発され、ブランドの核となる「Precision Crafted Performance」という価値観を、造形そのものによって表現することを目的としていました。
単なるショーモデルではなく、今後のアキュラ車全体のデザイン指針を示す“青写真”として位置づけられていた点が大きな特徴です。
ボディサイズは全長5180mm×全幅2135mm×全高1320mm、ホイールベースは3100mmとされ、全高を抑えたワイド&ローのプロポーションが強烈な存在感を放っています。
22インチの大径ホイールと堂々としたスタンスの組み合わせは、4ドアでありながらスーパーカーのような迫力を感じさせます。
フロントには、新世代アキュラの象徴となる「ダイヤモンド・ペンタゴン」グリルが採用され、これをきっかけに同デザインは市販モデルへと一気に展開されました。
ジュエル・コンステレーションLEDヘッドライトや浮遊感のあるリアLEDランプなど、細部に至るまで未来的な表現が徹底されています。
さらに象徴的なのが、Bピラーを廃した観音開きのコーチドアです。前後ドアが大きく開く構造により、乗員を迎え入れる動作そのものが特別な体験として演出されています。
これは演出にとどまらず、「クォンタム・コンティニュアム(量子の連続体)」というデザインテーマを体現する重要な要素でもあり、ドアパネルからインテリアへと素材や構造が途切れることなく連続することで、内外装が一体となった空間を生み出しています。
インテリアは、従来の高級セダンとは一線を画す世界観が広がります。薄く浮かぶように配置されたリアシートや二層構造のインストルメントパネル、異素材を組み合わせた豊かな表情のサーフェス処理は、モダンなラウンジを思わせます。
一方でドライバーズエリアはレーシングカーのような設えとなり、コンパクトなスポーツステアリングやヘッドアップディスプレイ、湾曲したワイドスクリーンによって高い没入感が演出されています。
乗員を認識して設定を最適化する新たなHMI(ヒューマン マシン インターフェース)コンセプトも提案され、未来のユーザー体験を強く印象づけました。
このコンセプトの説得力を支えているのが、デザイナー陣の存在です。エクステリアを担当したミシェル・クリステンセン氏と、インテリアを率いたジョン・ノーマン氏はいずれも2代目「NSX」のデザインに携わっており、本モデルがリアルなパフォーマンス思想に裏打ちされた存在であることを示しています。
そして2022年に発表された「アキュラ プレシジョンEV コンセプト」へと、その思想は確かに受け継がれました。
パワートレインが内燃機関からEVへと変化しても、「精密に仕立てられたパフォーマンス」を追求するアキュラの哲学は一貫しています。
アキュラ プレシジョン コンセプトは、ブランドの過去と未来をつなぐ重要な節目として、今後も語り継がれていく存在と言えるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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