道の駅が“怒り”の「電気ぜんぶ消します!」対策を実施! 休憩所の「走り屋集会所」「無料ホテル代わり」化で“迷惑極まりない行為”も多発 施設側が苦慮する「現状」とは
国土交通省 岡山国道事務所は道の駅「笠岡ベイファーム」で、迷惑行為に対する異例の対策を実施しています。しかし過去に道の駅でも、迷惑行為があったことから対策を講じたという事例がありました。いったいどういうことなのでしょうか。
深夜バイクやクルマでたむろする迷惑行為に対しては「全消灯」で対策も!
地域の振興に寄与する「道の駅」ですが、ゴミのポイ捨てや夜間の騒音といったトラブルに悩まされている現状があります。
年末年始に向けては利用者の増加が見込まれますが、どのような対策が講じられるのでしょうか。
全国各地には、ドライバーが休憩したり、地元住民が買い物や交流したりできる「道の駅」があります。
道の駅ではお土産や地元特産品が販売されているほか、なかには温泉施設や宿泊施設、レストランなどが併設されているケースもあり、地域の活性化に寄与しています。
また、基本的に道の駅は24時間無料でトイレを利用できるため、長距離運転のドライバーにとっても非常にありがたい施設です。
国土交通省によると、2025年6月13日時点で道の駅は全国に1230箇所あり、年々その数は増加しています。道の駅は外国人の観光や地域交流、防災の拠点となっていることもあり、そのニーズの高まりから増加しているものとみられます。
このように誰でも気軽に利用できる道の駅ですが、最近は利用客のマナーの悪さによって様々な問題に悩まされています。

たとえば道の駅の敷地内に大量のゴミがポイ捨てされるケースや、深夜に多くのクルマ・バイクが集まって大声で騒ぐといった騒音事案などが挙げられます。
ゴミ問題については、道の駅ではそもそもゴミ箱を設置していない場合や、設置していたとしても利用者のみがゴミを捨てられるというルールを設けている場合が多く、ゴミの持ち込みは許可されていません。
さらに、道の駅の駐車場で車中泊をした人がゴミを捨てていくというケースもみられますが、道の駅はあくまで休憩施設であり、「仮眠」は認められているものの、宿泊は原則として禁止されています。
そして車中泊に際して、エンジンをかけっぱなしにしたり、夜間に外でおしゃべりをしたりする行為に対しても、近隣住民から苦情が寄せられることがあります。
そのほか道の駅にクルマを駐車した後、他の人のクルマに乗って別の場所に行く「放置駐車」も発生しています。長時間放置駐車をされると、そのぶん他の利用客の駐車スペースがなくなってしまうため、問題視されています。
今後、年末年始シーズンには道の駅の利用者も増加することが見込まれますが、上記のようなトラブルに対しては、どのような措置が講じられるのでしょうか。
国土交通省 道路局企画課の担当者にトラブルの現状や対策について話を聞きました。
――現在、道の駅ではどのような問題が多く発生していますか。
「道の駅で発生している問題について網羅的に把握しているわけではありませんが、騒音や危険走行、ごみの散乱、長時間駐車等の迷惑行為があることは承知しています」
――年末年始に向けて、どのような対策をおこなっていますか。
「特別に年末年始の対策ということではありませんが、近年では、各『道の駅』の管理者等において、国道事務所・警察等も協力する形で、照明、警告看板、違法駐車の取り締まりなど様々な対策を講じています」
一例を挙げると、岡山県笠岡市にある道の駅「笠岡ベイファーム」では、深夜にクルマやバイクが集結し、大声で騒ぐといった迷惑行為が発生していました。
これに対しては、岡山国道事務所では警察による指導のほか、2025年11月14日から夜22時以降に駐車場の照明をすべて消灯するといった対策を講じています。
また、広島県東広島市にある道の駅「西条のん太の酒蔵」においても、改造車やバイクの集団が集まって騒音や危険走行、ゴミを散乱させるなどの迷惑行為をおこなっており、近隣住民などから「うるさくて眠れない」「怖い」といった苦情が寄せられていました。
これに対し、広島国道事務所は、2025年1月から夜22時以降に照明を全て消灯する措置をとったほか、集まる行為を抑制するための減速バンプや注意喚起看板などを設置しています。
その結果、2025年5月には対策を実施する前と比べて、クルマやバイクのたむろ回数が72%減少し、80デシベル以上の騒音の発生回数が18%減少するなどの効果があったということです。
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全国の道の駅ではゴミ捨てや騒音などの迷惑行為がたびたび問題視され、現在さまざまな対策が講じられています。
前出の担当者は、道の駅の利用者に対して「『道の駅』は、道路利用者が安心して自由に立ち寄ることができる休憩施設です。誰もが安全で快適に利用できるよう、マナーを守った上でご利用いただきたいです」と呼びかけています。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。
















