「軽自動車のナンバープレート」なぜ“真ん中”じゃない? 運転席側にちょっとズレて配置するのが大多数! 「ちいさいクルマ」ならではの意外な事情とは?
軽自動車の前面に装着されるナンバープレートは、たいてい運転席側に少しズレて配置されています。一体なぜなのでしょうか。
「軽自動車のナンバープレート」なぜ“真ん中”じゃない?
ボディサイズや搭載エンジンの排気量に上限はあるものの、税金などの維持費を安く抑えられることで、「軽自動車」は人気となっています。
近年では軽自動車も装備の充実化が進んでおり、ファーストカーとしても十分実用に耐えうる機能を持った車種も珍しくなくなってきました。
そんな軽自動車ですが、多くの車種でフロントのナンバープレートの取り付け位置が車体のセンターから左右にズレて取り付けられているのですが、これにはどんな意味があるのでしょうか。

現在、販売されている多くのクルマは、基本的に左右対称のフロントデザインを採用しており、ナンバープレートも中心に位置しているのがほとんど。
一方、軽自動車に関しては多くの車種でナンバープレートが中央ではなく、オフセットして装着されていますが、これはボディサイズに制限のある軽自動車特有のものであり、その大きな要因が“冷却効率”なのです。
自動車のエンジンは運転中に非常に大きな熱を発生させるため、オーバーヒートを防ぐためにラジエーター(冷却装置)が不可欠です。
一般的な軽自動車で多く採用されている横置きエンジンレイアウト(エンジンとトランスミッションが横並びに配置される形式)の場合、ラジエーターは通常、エンジン側に隣接して配置されます。
登録車など、エンジンルームに比較的スペースの余裕がある車両では、ラジエーターは冷却効率を最大化するため、車両の前面(中心部)に装着されます。
しかし、軽自動車は規格上エンジンルームのスペースが限られているため、ラジエーターを車体中央に配置する余裕がなく、必然的にエンジン側に寄せて装着されることになります。
これは、限られたスペースの中で冷却性能を確保するための軽自動車特有の工夫と言え、そうとなると効率の良い冷却のためにはラジエーターがある側の開口部を広く採りたいので、ナンバープレートをトランスミッション側に装着しているというワケなのです。
ちなみに、車種によってはフロントのナンバープレートを外すとエンジンのオイルフィルターにアクセスできるようになっているものもあり、限られたスペースの中でいかに効率的なものにするのかというのもメーカーの腕の見せ所となっています。
ただ近年ではデザイン性を重視するために、設計段階からセンターにフロントナンバープレートを装着しても冷却効率に影響が出ないようになっている車種もあるほか、そもそも熱源となるエンジンを搭載しないBEV(バッテリーEV)モデルなどはセンターにフロントナンバープレートを装着するケースも増えています。
今後は、軽自動車だからフロントのナンバープレートがオフセットされているという図式は当てはまらなくなるかもしれません。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。










