「EVトラックを販売して終わり」じゃない! 三菱ふそうが挑む「使用済みバッテリーの画期的活用術」とは?

三菱ふそうは2025年11月25日、eCanterの生産設備の公開と「バッテリーライフサイクルマネジメント」に関する説明会を、同社の川崎製作所で開催しました。EVトラックの使用済みバッテリーを再利用する技術を見てみます。

ディーゼルとEVが同じラインを流れる「混流生産」

 EV(電気自動車)の普及が進むなか、商用車の世界にも電動化の波は確実に押し寄せています。その筆頭といえるのが、三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)の電気小型トラック「eCanter(イーキャンター)」です。
 
 しかし、EVトラックの導入が進むにつれ、あるひとつの疑問が浮かびます。「使い終わった大量のバッテリーはどうなるのか」という問題です。

三菱ふそう・川崎製作所内で充電中のEVトラック
三菱ふそう・川崎製作所内で充電中のEVトラック

 2025年11月25日、川崎市中原区にある三菱ふそう・川崎製作所において、eCanterの生産設備の公開と「バッテリーライフサイクルマネジメント」に関する説明会が開催されました。そこで公開されたのは、トラックを作る技術だけでなく、使い古されたバッテリーに新たな命を吹き込む、画期的なエコシステムでした。

 まずはeCanterの生産現場から見てみます。

 工場内で目を引いたのは、同じ生産ラインを、ディーゼルエンジンのトラックとeCanterが交互に流れている光景です。これは「混流生産」と呼ばれる方式で、eCanterの第3世代モデル発売(2023年)にあたり、より効率的に生産するために導入されました。

 当然ですが、ディーゼル車へエンジンが搭載されるところでは、eCanterへはモーターやインバーターを含む「eAxle(イーアクスル)」と高電圧バッテリーが手際よく組み付けられていました。

使用済みバッテリーを手軽に再利用

 次に「バッテリーの行方」を見てみます。

 EVトラックは乗用車に比べて走行距離が長く、バッテリーへの負荷も大きくなります。車両としての役割を終えた後でも、バッテリーにはまだ電力を蓄える能力が残っていることが多いのだそう。

 三菱ふそうは、この使用済みバッテリーを単に廃棄・リサイクルするのではなく、二次利用させる取り組みを本格化させています。ここで協業するのが、京都のエネルギーソリューション企業であるCONNEXX SYSTEMS(コネックスシステムズ)です。

 通常、中古のEVバッテリーを蓄電池として再利用しようとすると、劣化度合いにばらつきがあるため、選別や組み直しに多大なコストがかかります。しかし、コネックスシステムズが開発した「EnePOND(エネポンド)」を用いると、劣化度合いや性能が異なる中古バッテリーをそのまま組み合わせても、システム側で制御(マトリクス結合)することで、あたかも1つの均質な蓄電池であるかのように性能を発揮できるそうです。

 会場では、eCanterの使用済みバッテリーを搭載したコンテナ型の蓄電システムや、EV用急速充電器の実証機が公開されました。トラックから取り出したバッテリーパックを、分解せずにそのまま棚に差し込むように再利用できるため、経済的かつ安全に、EV充電ステーションなどへと生まれ変わらせることができるのです。

【写真】使用済みバッテリーを“棚”へ戻す!? 公開された画期的な充電器とは

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