国道4号「12kmもの超ロング4車線化」43年越しに開通! 冬季の「超ノロノロ大渋滞」が一気に解決へ! 「交通の要衝」通過する“東北の大動脈”北上拡幅 6日に全通
2025年12月6日、岩手県北上市で進められていた国道4号北上拡幅区間が全線開通しました。
頼みの綱である陸送の円滑化に期待
2025年12月6日、岩手県北上市内の国道4号「北上拡幅」区間が全線開通しました。
事業化が決定した1982年(昭和57年)から約43年を経て完成を迎えた道路の拡幅工事は、周辺地域にどのような影響をもたらすのでしょうか。

国道4号は、東京日本橋から青森市までに至る道路です。東北地方における主要なルートのひとつで、「東北の大動脈」といっても過言ではありません。
このうち岩手県北上市付近では、東北道の北上金ヶ崎IC、北上JCT、北上江釣子ICとアクセス。さらに岩手県の太平洋側と秋田県の日本海側を結ぶように通る国道107号、同様なルートをたどる秋田道と釜石道も接続する、「交通の要衝」です。
周辺には、北上工業団地、北部産業業務団地、北上流通基地などがあります。北上市は自動車・半導体の関連企業数は岩手県内でトップを誇り、日本の生産業において重要な地域の1つとなっています。
道路沿いにさまざまな生産工場や物流センターなどが立ち並び、中にはトヨタ輸送や三菱製紙といった大手の名も連なります。
このような内陸部にある工業地域において、トラックなどの車両を使った陸上輸送はとても重要で、国道4号は当該地域において最重要アクセス路を担っています。
しかし、地域の発展に伴って交通量は増加の一途をたどり、また雪国ならではの降雪による走行性の悪化という問題も抱え、「物流の遅滞によって生産が遅れる」といった問題も起きていました。
そうした問題を解決するべく、混雑の緩和・冬期交通の確保・沿線自治体の産業支援を目的として進められたのが北上拡幅事業です。
北上拡幅事業では、北上市内のJR東北本線 村崎野駅近くの北上工業団地口交差点と、六原駅近くの六原口交差点を結ぶ延長12.2kmの区間で当初の2車線から倍以上の広さを持つ4車線への拡幅を行います。
事業化された1982年から1995年にかけての工事で延長6.2kmが開通した後、1998年から2010年に行われた工事で延長3km、さらに2023年の工事で延長0.5kmが開通しています。
12月6日に開通したのは、2025年に工事が行われた延長2.5kmの区間です。
これまで12.5m幅だった2車線道路を、26m幅の4車線道路に広げる工事が行われました。中央に2mの分離帯が設けられ、3.25mだった車道は7mに拡幅、0.5mだった路肩が1.5mに拡幅されています。
また、2.5mだった歩道は3.5mに広げられ、地域で暮らす人や働く人にとっても安心安全な道路になりました。
国交省東北地方整備局・岩手河川国道事務所の資料によれば、すでに開通している区間の調査で、同区間の車線が増えたことで交通量は1.6倍から1.8倍に増加。
いっぽう、混雑度を示すデータでは事業前と比べて大きく減少しており、2023年に開通した区間では走行車両の平均速度が、上り34km/hから40km/h、下りも37km/hから41km/hへ向上したと報告されています。
また冬季は東北道の通行止めによって、多くの交通が国道4号に集中。同区間の交通量は1.8倍まで膨れあがるそうです。この混雑によって発生する陸上輸送の遅滞が地域産業の悩みとなっており、2車線区間では平均速度が約10km/hまで低下していました。
しかし、すでに開通している4車線区間では約20km/hに向上しており、交通障害が発生しても、交通の円滑化に一定の効果を発揮するでしょう。
交通がスムーズに流れ、地域住民も安心して利用できるような道路となることで、北上市のものづくり産業の活性化に大きな期待が寄せられています。
Writer: 春山優花里
フリーランスの編集記者。WEB媒体を中心に15年以上メディア業界で働くなんでも屋。幼少期に叔父の書斎で見た膨大なミニカーコレクションに圧倒され、クルマやバイクに興味を持つ。漫画やアニメ、ゲームが好き。









