トヨタとレクサスは2025年12月5日、新型スポーツカー「GR GT」「GR GT3」とコンセプトカーの「Lexus LFA Concept（以下、LFAコンセプト）」3台を世界初公開しました。

　かつてトヨタとレクサスが販売した名スポーツカーの系譜を継ぐ、フラッグシップモデルだといいます。

　なぜ今回、3台のフラッグシップスポーツカーが登場したのでしょうか。

　新型GR GT、新型GR GT3、LFAコンセプトの3台は、「トヨタの式年遷宮」として、「クルマ屋が残していくべき技能を、次の世代に受け継いでいかなければならない」という、マスタードライバー“モリゾウ”ことトヨタ自動車会長の豊田 章男氏の想いの下に生み出されたといいます。

　式年遷宮とは、日本の神社で行われる伝統行事で、一定の年数ごとに神社の社殿を新しく建て替え、神様を新しい社殿に遷す儀式です。伊勢神宮では、約20年ごとに社殿を新しくすることで、建物の維持や技術の継承を行っています。

　今回発表された3台は、トヨタが1960年代に販売し、「国産車初のスーパーカー」とも称されるスポーツカー「2000GT」、およびレクサスが2010年に限定発売したスーパーカー「LFA」に続くフラッグシップスポーツカーの位置付けです。

　スポーツカーづくりを通じ、長年培ってきたクルマづくりの基本となる技を守り、新技術を採り入れることで次世代に受け継いでいくという「トヨタの式年遷宮」を体現しました。

　3台は、「低重心」「軽量・高剛性」「空力性能」の追求という、3つのキー要素を核とする共通の思想のもと、一緒に開発が進められています。

　新型GR GTは、トヨタのモータースポーツ部門TOYOTA GAZOO Racingが掲げる「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を、さらに深化させたGRブランドのスポーツカーです。

「公道を走るレーシングカー」をコンセプトに、かつての2000GTがそうであったようにトヨタ初の新技術を積極的に取り入れ、高い運動性能や“ドライバーファースト”を追求した一体感のある走りを実現。

　パワーユニットは新開発の4リッターV型8気筒ツインターボエンジンに1モーターを組み合わせるハイブリッドで、システム出力650馬力以上・最大トルク850Nm（いずれも開発目標値）を発生。駆動方式はFRです。

　エンジンはレーシングカー同様のオイル供給方式であるドライサンプとしたほか、ドライブトレインにはCFRP（炭素繊維強化プラスチック）製トルクチューブや重量配分に優れたトランスアクスルレイアウト、機械式LSDを搭載し、高いパフォーマンスを発揮。

　また、トヨタ初となる軽量・高剛性のオールアルミニウム骨格や、徹底した低重心化、空力性能を重視したエクステリアなども採用したことで、走りを極めています。

　新型GR GT3は、このGR GTをベースとしたレーシングカーで、市販車をベースとするモータースポーツカテゴリ「FIA GT3」規格を満たし、「勝ちたい人に選ばれる、誰が乗っても乗りやすいクルマ」を目指したといいます。

　新型GR GTおよび新型GR GT3は2027年頃の発売が予定され、詳細については開発が進み、準備ができ次第、公開されます。

　いっぽうのレクサス LFAコンセプトは、BEV（バッテリー電気自動車）スポーツカーのコンセプトカーです。

　8月に米国で開催された格式ある自動車イベント「モントレー・カーウィーク2025」、10月30日に開幕した「ジャパンモビリティショー2025」で披露されたコンセプトカー「LEXUS Sport Concept」の名称と諸元を変更したものとなります。

「トヨタの式年遷宮」を体現し、「低重心」「軽量・高剛性骨格」「空力性能の追求」という、GR GT・GR GT3と同じ思想のもと、BEVスポーツカーの可能性を示すために登場しました。

「Discover Immersion」をキーワードに、BEVとしての最適なパッケージングを追究し、GR GTやGR GT3由来の走行パフォーマンスと、次世代においても色褪せない価値を宿すデザインを実現しています。