トヨタが新型「GR GT」世界初公開か 「LFA」の“秘伝のタレ”盛り込んだ!? CM撮影は「魂が生まれた場所」にこだわり!? 12月5日に期待高まる!
2025年10月13日の「トヨタイムズ」生配信で“制作中”とされていたGRブランドのTVCMが、ついに放送開始。高速周回路を走行する「2000GT」や「LFA」を追い抜く、謎の黒いスーパーカーが登場。12月5日のワールドプレミアに向けて大きな期待が高まっています。このモデルが、トヨタのスポーツカーの歴史をどのように継承し、進化させるのか、ジャーナリストの山本シンヤ氏が予測します。
「魂」の継承! 「GR GT」が示すトヨタのスポーツカー哲学
2025年12月2日にトヨタは予告ページ&ライブ配信予告を公開しました。
その題目は「新型スポーツ車両ワールドプレミアライブ中継」。これはかねてから言われていた、トヨタ(TOYOTA GAZOO RacingとLEXUS)から登場する新型車のワールドプレミアの予告。
では、その新型車とはどのようなものとなるのでしょうか。この記事では、そのなかでTOYOTA GAZOO Racingから登場する“新型スポーツカー”について自動車ジャーナリストの山本シンヤ氏が予測します。

2025年10月13日に行なわれたトヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」における生配信で、「Japan Mobility Show 2025(JMS2025)に向けた各ブランドのCM」が発表されました。しかし、GRブランドのみ現在鋭意制作中のため、お披露目は「もう少し待ってね」でした。
そのGRブランドCMが11月27日朝からTV局各局で放送されています。
内容をチェックしてみると、高速周回路を走行する「2000GT」(速度記録車)をレクサス「LFA」(ニュルブルクリンクパッケージ)が追い抜き、さらにその2台を黒い謎のスーパーカーが追い抜いていきます。
その後、3台のランデブー走行の空撮から謎の黒いスーパーカーの前後シーンが一瞬映し出されると同時に「2025.12.05 WORLD PREMIERE」のテロップ、そして最後はGRのロゴで締めくくられます。
このモデルこそが、豊田章男会長が生配信の内で「年末に私がワールドプレミアをしますから」と公言した、トヨタの“次期トップ・オブ・スポーツ”です。
リアビューのナンバープレートには「GR GT」と記載されています。7月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでデモランをした偽装モデルは「トヨタGTコンセプト」でしたが、これが正式名称なのでしょうか。
なお、GR GTのシルエットを見ると、今年夏にアメリカのペブルビーチで世界初公開、秋のJMS2025でもお披露目されたコンセプトモデル「レクサス・スポーツ・コンセプト」と近似性がありそうですが、その関係性も非常に気になるところです。
豊田氏は「スポーツカーの開発は伊勢神宮の式年遷宮みたいなものだと思います。将来を見据えて技術や技能の伝承を続けることは、とても大切なこと」と語っていますが、このモデルは2000GT(1967)、LFA(2010)に続く、トヨタのトップ・オブ・スポーツの最新作。まさにキーワードの通り「THE SOUL LIVES ON.(魂は生き続ける)」というわけです。
ちなみに関係者に聞くと、このCMの撮影場所はJARI(日本自動車研究所)の高速周回路だそうです。トヨタには下山、士別に高速周回路を持っているにも関わらず、この場所を選んだのでしょうか。
この高速周回路は2005年に茨城県の城里に移設されましたが、それ以前は同県の谷田部にありました。ちなみに今から59年前の1966年10月1~4日、ここで日本車初のスピードトライアルにチャレンジしたのが2000GTでした。筆者(山本シンヤ)は「魂が生まれた場所」にこだわったのかな…と分析しています。
このクルマと並行してレーシングカー(FIA-GT3車両)が開発されているのは、皆さんもご存じのことでしょう。今から3年前、2022年の東京オートサロンでこのクルマの源流とも言えるコンセプトモデル「GR GT3コンセプト」がお披露目されましたが、この時豊田章男社長(当時)からの指示は「勝てるクルマを作れ!」の一言のみ。
それに対して、GRカンパニーの佐藤恒治プレジデント(当時)は「GT3と本格的に向き合う」「ユーザーに選んでいただけるクルマする」「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりをさらに推進」と語りました。
つまり、「GRヤリス」と同じく「レースに勝つために、普段お客さまが乗るクルマとはどうあるべきか?」と言う発想で開発が行なわれています。
モータースポーツ系メディアでは「来年から参戦か?」と言うウワサ話も出ていますが、関係者によると「現在、2026年の途中にスポット参戦の可能性を模索しています。WECのスポット参戦は規定上不可能なので、他のレースや国内レースでの出走を検討しています。
もちろん、マスタードライバー(=モリゾウ)にもドライブしてもらうプランも視野に入れています」とのことでした。
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メカニズムなどに関してはワールドプレミアムで発表されるのでここでは言及しませんが、LFAの評価を担当したマスタードライバー・成瀬弘氏の「トヨタが作るクルマは、最後の最後にドライバーを裏切ってはいけない」という考えを今まで以上に色濃く反映しているのは間違いないでしょう。
つまり、LFAの“秘伝のタレ”の継ぎ足しに加えて“ドライバーファースト”なクルマになっていると信じています。
ちなみに筆者は11月29〜30日に愛知県豊田市で開催された「TGRラリーチャレンジ特別戦 豊田」に取材に行きましたが、ここで出会ったGRカンパニーの高橋智也プレジデントにこのクルマについて聞いてみると、「今は何も言うことはありません、12月5日を楽しみにしていてください!」の一言のみ。
ただ、ニコニコ笑顔だったので「この顔から察してね」と言われているような気がしました。
筆者は発表会にリアルに参加する予定ですが、この模様は12月5日(金)11:00~11:30にトヨタの公式YouTubeチャンネルおよびトヨタニュースルームにてライブ配信(英語/日本語)されます。
豊田章男会長とサイモン・ハンフリーズChief Branding Officerが登壇することも明らかになりました。みんなで「生きる喜び」を体現した新時代のトップ・オブ・スポーツのデビューを見届けるとしましょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

















































