三菱 新型「アウトランダーPHEV」はランエボXとの共通部品も! エボDNAを受け継ぐ理由とは
内面以外にも変わった点が随所に見られます
実際に、テストコースで従来型と新型を比較しながら乗ってみましたが、その違いは明らかでした。
従来型は、アクセルを踏み込んだ際に、エンジンが始動すると同時に高い回転数となるので大きめの音を発生して存在を主張しています。とても頑張っている感はありますが、乗員としてはもう少し静かなほうが快適です。
一方、新型はエンジンがかかってもそれほど音が大きくなりません。40~80km/hの日常領域では、エンジンが始動してもそれを感じさせないといっても過言ではありませんでした。
エンジンを始動せずにモーターだけで走る「EV走行」の満充電からの航続距離はJC08モード計測で60kmから65kmへ延長。日本の法定速度を超えた領域なので日本のユーザーにはあまり関係ありません(実はアウトランダーPHEVは日本よりも高速道路が多い欧州において日本の2倍以上販売されている)が、平たん路における最高速度も従来の125km/hから新型は135km/hまでアップされ、ここでもモーター走行の爽快感をより広範囲で味わえるように進化しています。
走行面で進化したのは、PHEVシステムだけではありません。駆動力を統合制御する『S-AWC』は、新たに『SPORT』と『SNOW』という2つのドライビングモードを追加。従来の『ノーマル』を含めて5パターンに増えています。
また、従来からある『LOCK』を雪や土でタイヤが沈み込むような激しい路面状況に特化するなど走行環境をより明確にし、前後の駆動力配分だけでなくモーターのレスポンスを前後独立に制御して最適化するなど、モード毎の特性を明確化しています。
今回の2019年モデルでは、内外装も一部変更されています。インテリアは、フロントシートが変更されてサイドサポートを大きくよりホールド性の高い形状になったほか、上級グレードではキルティング処理が施されて上質感が向上。
また、センターコンソール後方に後席用エアコン吹き出し口が追加され、パワーウインドウは全席にセーフティ機構(挟み込み防止)とオートアップ&ダウン機構を採用し、スイッチにイルミネーションを追加するなどユーティリティも向上。さらに、細かな部分では、センターコンソールに配置された『S-AWC』の走行モード切り替えスイッチがプッシュ式からトグル式に変更しています。
『S-AWC』スイッチは、かつて三菱「ランサーエボリューションX(通称:ランエボ)」のステアリングに取り付けられていたものと同じ部品。『S-AWC』の進化と相まって、ランエボのDNAが受け継がれました。
エクステリアは、ラジエターグリル、フロントバンパー、リアスポイラー、そしてアルミホイールなどエクステリアも洗練されています。一見したところ違いは分かりにくいですが、もっともわかりやすいポイントはフロントバンパーのフォグランプが丸型から角形に変わったことです。
今回の進化で、排気量は大きくなったエンジンですが、存在感は逆に「出して(出ちゃって)頑張っている感じ」から「できるだけ控えめに、なるべく裏方へ」へと変わったといえます。プラグインハイブリッドシステムは、これからも進化し続けている技術といえます。
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