クルマで走行中、後方からサイレンとともに救急車が来ました。タイミングを見計らって路肩にクルマを停車させ、救急車を先に行かせます。

　このとき、ハザードランプを点灯させるべきなのでしょうか。

　道路交通法第40条（緊急自動車の優先）によると、緊急自動車に対する避譲の方法等は下記のとおりです。

「第40条　交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両（緊急自動車を除く。以下この条において同じ。）は交差点を避け、かつ、道路の左側（一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。）に寄つて一時停止しなければならない」

「第40条-2 前項以外の場合において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない」

　このように、交差点やそれ以外の場所とでは、停止の違いはあれど、基本的には左によって道を譲る必要があります。

　ただし、特にハザードランプの使用については言及されていないことが分かります。

　しかし実は、自治体によっては「緊急車両に対して道を譲る際、ウインカーまたはハザードランプを点灯させ安全に追い越しができるようご配慮ください」といった内容の文面を、各警察署などのホームページなどで公開しています。

　つまり、法的な義務はないものの「緊急車両を先に行かせる場合はハザードランプ（またはウインカー）を点灯させることが望ましい」といえるでしょう。

　なぜならば、ハザードランプを点灯させると、「今私は道を譲ろうという意思があります」ということを示せるからです。

　片側2車線であれば、とりあえず左車線に停車すれば緊急車両はスムーズに走行できます。

　しかし、片側1車線の場合。さらには道幅が狭く、緊急車両が対向車線にも侵入しなければならない状況だとしたら…。

　そこで対向車側のクルマも自車も、ハザードランプを点灯させて停車していれば、「あ、みんな停まって譲ってくれたんだな」と、緊急車両のドライバーも安心して目的地を目指すことができます。

　もちろん最終的な判断は個々のドライバーに委ねられますが、基本的にはハザードランプを点灯させる方がいいと考えるべきでしょう。

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　なかには緊急車両の「虎の威を借る狐」のように、緊急車両のうしろをピッタリつけ、みんなが避けたスペースを何食わぬ顔で走行してゴボウ抜きする連中もいます。

「ハザードランプを点灯して緊急車両を待っていると、後ろから追い越していく一般車がいるからあえて使わない」という人もいます。

　筆者（松村透）も実際にそれをされた経験がありますが、そういったドライバーはよほど急いでいるか、お腹が痛いなどの緊急事態ならいざ知らず、絡まない方がいいドライバーであることは明白です。

　ここで重要なのは「緊急車両に対して道を譲る明確な意思があること伝える」という行為です。そこさえクリアできていればいいのです。

　最近は後続から緊急車両が接近していても道を譲ることなく、そのまま減速せずに走行するクルマもいます。

　何かあってから「うっかりしていた」「急いでいた」と弁明しても遅いのです。

　いかなる場合でも、緊急車両を優先するという意識は（あたりまえのことですが）持ち続けたいものです。