レクサスの「“新”ミニバン」登場! 全長5.5mの「ビッグボディ」×便利な「超“大開口”スライドドア」採用! 新たなフラッグシップモデル「LSコンセプト」とは
ジャパンモビリティショー2025にて「レクサス」は、次世代フラッグシップモデル「LSコンセプト」を世界初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか、工藤貴宏氏が解説します。
全長5.5m×全幅2mのビッグモデル!?
誰の真似もしない。ジャパンモビリティショー2025の開幕に合わせて「レクサス」はそんなメッセージを発信したわけですが、そこには2つの意味があるようです。

ひとつはトヨタの中での考え方。これまでは「レクサスは長男だからしっかりしないと」みたいな部分がどうしても否めず、型(かた)から大きくはみ出したクルマは作ろうとしても簡単にはできなかった。
しかし“さらに上”のセンチュリーブランドができたことによって、これまでよりも立ち位置が自由となり冒険ができるように。より自由な発想で自由にクルマが作れるようになったと考えていいでしょう。
さらに社内的ことをいえば、車種によってはトヨタブランドとの部品共用率を下げる方向になるかもしれません。それは車両価格上昇につながるでしょうけれど。
もうひとつの「真似をしない」は、他のプレミアムブランドが敷いてきた路線との決別。「メルセデス・ベンツ」も「BMW」も、そして「アウディ」も、こえまでは最上位のポジションにフラッグシップセダン(ベンツいう「Sクラス」、BMWでは「7シリーズ」そしてアウディ「A8」)があり、その下へEセグメント(ベンツでいう「Eクラス」)、さらに下にDセグメント(ベンツでいう「Cクラス」)を置くのがお約束でした。
レクサスもフラッグシップとして大型セダンの「LS」を展開してきたわけです。
しかし、今後はそれを無視。ラインナップ構成やクルマの作り方も型にはまらないというLSと名がつくものの大型セダンではないコンセプトカーが3台も投入された今回のモビリティショーは、まさにその決意表明といえるでしょう。
というわけで、ここからはそんなLSと名がつくコンセプトカーのうちの1台である「LSコンセプト」について3つの謎を考えていこうと思います。3つの謎とは「なぜ箱型なのか?」「LMとどう違うのか?」そして「6輪の意味は?」です。
まずは「なぜ箱型なのか?」から。結論からいえば自分で運転しない移動ツールと考えたときに、四角くて背の高いミニバンボディがもっとも車内が広くて快適だからです。
お伝えしたように、レクサスは型にはまるのをやめました。だから「LS」といってもこれまでのように大型セダンである必要は一切ありません。
いっぽうで運転手に運転を任せて自分は後席に座ることを考えたとき、セダンよりも空間の使い方が贅沢で快適なのはミニバン的なボディ。だからミニバン的なスタイルというわけです。
その背景にあるのはLMの大ヒットという成功体験。たしかにドイツのアウトバーンを200キロ近い速度で走るのであれば、セダンボディには車体安定性というメリットがあります。
しかし東京をはじめアジアの各都市など、渋滞が多くて高速道路でも120キロ程度しか速度を上げないのであれば、ミニバンボディのデメリットは皆無で居住性や乗降性などいい面ばかりが光る。だからアジアでLMが大ヒットし、「LSもその方向へ変化する」ことも自然な流れと言えるでしょう。
というわけでLSコンセプトにまつわるふたつめの疑問。同じくミニバンボディである”LMとどう違うのか?”です。
結論からいえば違いはふたつ。“サイズ”と“3列目の意味合い”です。LMのサイズは全長5.1m×全幅1.9mですが、LSコンセプトは5.5m×2m。ひとまわり大きく、そのぶん室内空間が拡大しているのは言うまでもありません。それがひとつめのLMとの違いです。
3列目の考え方に関しては、LMの3列モデルの場合は立派に作られた2列目がメインで、3列目は“それよりも劣る”と明確に差があります。
しかしLSコンセプトは、今回の展示車両は2列目が2人掛けで3列目が3人掛けと差がつけられていますが、筆者は「市販の際は2列目と3列目が平等の扱いになる」という噂も聞いています。
つまり「LMだと2列目までだけど、LSだと3列目も好待遇で超快適」というわけ。そこでLMとの差をつけるのがもっともわかりやすいLSのキャラクター作りとなることでしょう。
そしてもうひとつの疑問は「なぜ6輪車なのか」というもの。これに関して説明員に尋ねたところ「乗り降りのしやすさを求めて」と教えてくれました。「後輪を小さくしたほうがスライドドア開口部を広げられる」と言います。
いっぽう小径タイヤだと耐荷重などの問題もあるので、その分タイヤの数を増やして対応したのだとか。
もちろん、小径タイヤの6輪は操縦性や乗り心地など、解決しなければならない課題はいくつも存在します。開発関係者によると「6輪は難しいテーマだが実現したい。時間はかかりそうだが」とのこと。私たちが思う以上に、6輪の採用は本気なのかもしれません。
ちなみにレクサスはこのLSコンセプトについて「真のショーファーカー」と説明します。市販化に関しては、コンセプトについていえば私たちが思っている以上に本気かもしれません(もちろんスタイリングは変わるでしょうけれど)。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
































































