ガソリンスタンドで「給油できない」のはなぜ? “どうしても入れたい時”にやってはいけない危険行為とは? 必ず確認すべき“事故を防ぐための手順”って?
年末年始はドライブや帰省などで車の移動が増える季節です。寒さの中での燃料管理や、携行缶でのガソリンの取り扱いは、思わぬ事故につながることがあります。便利さを優先するあまり危険を見落とさないよう、正しい知識とルールを押さえて、安全なカーライフを心がけましょう。
セルフ式スタンドでの携行缶給油は原則禁止
年末年始の休暇中に家族や友人とドライブや旅行を計画している人も多いことでしょう。
寒さが厳しくなるこの季節は、愛車の燃料管理も重要ですが、特にガソリンを携行缶で持ち運ぶ場合には、十分な注意が必要です。
安全を軽視した小さな不注意が、大きな事故につながることを忘れてはいけません。

セルフ式ガソリンスタンドでは、自分で給油することが可能ですが、携行缶への給油は法律で厳しく制限されています。
かつてはポリタンクなどに自由にガソリンを移し替えることができましたが、近年では安全確保の観点から、個人が自由にガソリンを容器に入れることは許されていません。
現在、セルフスタンドで給油できるのは、ナンバープレートが付いた自動車や二輪車に限られており、農業用機械や発電機用の携行缶には給油できないのが原則です。
この制限は、ガソリンの性質と過去の事故の経験に基づくものです。ガソリンは「危険物第4類第1石油類」に分類され、極めて揮発性が高い液体です。
気温が低くても容易に蒸気を発し、わずかな火花や静電気で引火、場合によっては爆発する危険があります。こうした特性ゆえ、取り扱いには細心の注意が必要です。
実際、ガソリンを原因とした爆発火災が発生し、多くの死傷者を出す痛ましい事件となったことがあります。
過去には、この危険性が現実の悲劇につながった例もあります。2019年7月、京都市伏見区のアニメ制作スタジオで発生した放火事件では、加害者が大量のガソリンを携行缶で持ち込み、建物内に散布して火をつけました。
この事件では36人が死亡し、30人以上が負傷するという日本国内でも例を見ない大規模な火災となりました。
ガソリンの特性と大量の可燃物が組み合わさった結果、火災の広がりは非常に速く、多くの命が失われる痛ましい事故となったのです。
この事件をきっかけとして、行政や業界では、ガソリンなどの可燃性液体の取り扱いに対する安全対策の重要性が改めて強調されました。
特に携行缶での運搬や販売の際には、購入者の本人確認や使用目的の確認、販売記録の作成などの安全管理措置が推奨されるようになっています。
こうした背景は、セルフ式ガソリンスタンドでの携行缶給油禁止や販売制限の理解にもつながります。
さらに、容器自体にも厳しい規格が設けられています。灯油用ポリタンクでのガソリン給油は禁止され、金属製なら22リットル以下、樹脂製なら10リットル以下の容器でなければなりません。
これらの容器には「試験確認済証」のラベルが貼られ、安全性が保証されています。また、一般的な乗用車で運搬できるガソリン量も22リットル以下に制限されており、1つのスタンドでの携行缶販売は1日あたり200リットル未満と定められています。
こうした規制の強化により、携行缶への給油自体を取りやめるスタンドも増えています。
安全管理の手間や事故リスクの回避から、店舗ごとに「携行缶への販売は対応していません」と掲示しているケースが目立ちます。
そのため、農作業機器や発電機でガソリンを必要とする場合には、事前にスタンドに問い合わせることが必須です。
また、セルフ式スタンドで安全規格を満たした容器を持参したとしても、自分で給油することはできません。
給油の際には必ず従業員の立ち会いが必要で、ノズルを勝手に容器に差し込む行為は重大事故の原因となります。安全を守るためには、スタッフの指示に従い、慎重に作業することが求められます。
購入後の保管についても、ガソリンは長期保存に向かないため、できるだけ早めに使い切ることが望ましいです。
直射日光の当たらない風通しの良い場所に保管し、火気や電気製品の近くには絶対に置かないように注意しましょう。
不要になった携行缶は、自治体指定の処理業者やガソリンスタンドに相談して適切に処理することが安全です。
かつては「空のポリタンクに少量だけガソリンを入れる」といった行為も見られましたが、現在では完全に禁止されています。
便利さと安全のバランスを考えれば、正しい知識とルールの遵守が不可欠です。
年末年始は特に移動が増える季節です。愛車でのドライブや帰省の計画を楽しむためにも、ガソリンの取り扱いに関する正しい知識を持ち、事故のない安全なカーライフを心がけましょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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