新型「フォレスター」を北海道で乗ってみた!荒れた道で光るスバルの「総合安全」北の大地で感じた“安心と楽しさ”の真髄【試乗記】
スバル新型「フォレスター」。その核となる「総合安全」の思想は、航空機メーカーとしてのルーツにあります。新型モデルに息づくスバルならではの安全思想とは。雪が残る北海道の公道とテストコースで、その実力を確かめてきました。
安心が「走る楽しさ」を生む。北の大地で感じたフォレスターの懐の深さ
スバルは「2030年に死亡交通事故ゼロ」という高い目標を掲げています。その目標達成に向けた最新技術が盛り込まれているのが、新型「フォレスター」です。
航空機メーカーをルーツに持つスバルならではの安全思想は、新型モデルにどのように息づいているのでしょうか。雪が積もる北海道のテストコースと公道試乗で、その「総合安全」の真価を体感してきました。

スバルが提供する価値の根幹には、常に「安心と楽しさ」があります。その「安心」を支えるのが、彼らが「総合安全」と呼ぶ独自の設計思想です。
スバルのルーツが航空機メーカーにあることはよく知られていますが、そもそも事故を起こすことが許されない航空機の設計思想が、現代のクルマづくりにもDNAとして受け継がれています。
スバルは、この総合安全を「0次安全」、「走行安全」「予防安全」、「衝突安全」、「つながる安全」 という5つの領域に分けて開発を進めています。
2030年までにスバル車が関わる死亡交通事故をゼロにするという目標に向け、過去の事故データを徹底的に分析し、技術開発にフィードバックしているといいます。新型フォレスターにも、その思想が色濃く反映されていました。
安全の第一歩は、危険に近づかないこと。そのためにスバルが最も重視するのが、事故を未然に防ぐ「0次安全」であり、その要となるのが「視界」です。新型フォレスターは、単に「見える」だけではありません。「見たいものが見える」「運転しやすいと感じる」、そして「開放感がある」こと。この3点が追求されています。
例えば、Aピラー(フロントガラス横の柱)の断面形状や配置を工夫し、ドライバーの死角を極力減らしています。フロントドア前側には大きな「三角窓」を設けることで、交差点での右左折時に横断歩道の歩行者や、巻き込みの確認をしやすくしました。
また、小さな交差点で信号を見上げる際に、体を大きく動かさなくても自然に視界に入るよう工夫されていたり、車線変更や合流時に目視確認がしやすいように後席後ろのガラスエリアが広く取られていたりと、日常のあらゆるシーンが想定されています。
さらに、ボンネットの形状も、ドライバーから見て両端が把握しやすくなっており、狭い道でのすれ違いや駐車時に、車幅感覚を掴みやすいよう配慮されています

こうした基本的な視界の良さに加え、夜間の進行先を賢く照らす「アレイ式アダプティブドライビングビーム(ADB)」 や、進行方向の歩行者や自転車を早期に発見しやすくする「LEDコーナリングランプ」 といった技術が、悪天候や夜間でも「見える」安心感を支えています。
どれだけ視界が良くても、ドライバー自身に予期せぬ事態が起きたらどうなるのでしょうか。新型フォレスターは、広角単眼カメラに加え、前側方レーダーや高性能な電動ブレーキブースターなどを採用し、「予防安全」の性能を大きく進化させています。
今回、その機能の一つである「ドライバー異常時対応システム」を体験する機会がありました。
これは、ドライバーの操作が一定時間ないことを検知すると、クルマが異常事態と判断する機能です。最初はメーター内の表示と音で警告がありますが、それでも操作がない場合、徐々に減速しながらハザードとホーンで周囲に異常を知らせます。
そして最終的には同一車線内に停止。停止と同時に、車外からの救助を容易にするためドアがアンロック。

こうした万が一の事態への備えは、予防安全技術「アイサイト」の進化にも表れています。
新型フォレスターでは、広角単眼カメラなどの採用により、プリクラッシュブレーキの対応範囲が、交差点での右左折時や見通しの悪い交差点での出会い頭など、より複雑なシーンへと拡大しています。
事故を起こさないための「0次安全」や「予防安全」と同時に、スバルが追求するのが「衝突安全」です。
万が一衝突してしまった場合に、被害をいかに最小限に抑えるか。新型フォレスターは、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を基盤に、エネルギーを効率よく吸収する「クラッシュゾーン」と、乗員の空間を守る「キャビンゾーン」を明確に分けた強固なボディ構造を採用しています。
高強度材を効果的に配置し、衝突エネルギーを車体全体へ分散させる骨格構造が、高い安全性を実現しています。
特にストロングハイブリッドモデルでは、後部に搭載される高電圧バッテリーを保護するため、法規で定められたオフセット後面衝突はもちろん、市場で起こりうるポールへの衝突も想定した設計がなされています。強固な固定点やケース構造で、バッテリー本体の変形を徹底的に抑制します。
さらに、死亡事故ゼロを目指す上で大きな課題である歩行者や自転車との事故にも対応。新型フォレスターには、歩行者だけでなく自転車(サイクリスト)まで検知し、衝突時に作動する「歩行者保護エアバッグ」が採用されています。
ドライバー異常時対応システムとも連動するのが「つながる安全」です。車載通信機「MySubaru」を通じて、専門のオペレーターとつながるサービスが提供されます。
前述のシステム作動時や、エアバッグが展開するような事故の際には、自動で通報する「先進事故自動通報(ヘルプネット)」が作動。さらに、急な体調不良時には「SUBARU SOSコール」、故障や車両トラブルの際には「SUBARU iコール(安心ほっとライン)」 など、ボタン一つで専門のサポートにつながります。こうした「つながる」機能が、万が一の際の安心感を大きく高めています。
スバルの安全思想は、こうした防御的な機能だけではありません。「走行安全」も重要な柱です。

今回は、雪が残る旭川市街から、山道や高速道路を経てスバルのテストコースがある美深試験場まで、北の大地を公道試乗する機会にも恵まれました。
1.8Lターボモデルとストロングハイブリッドモデル、いずれも雪道の不安を感じさせない安定した走りが印象的でした。
さらに、テストコースの滑りやすい路面で試乗すると、その懐の深さを一層実感。
スバルAWDの素性の良さはもちろんですが、新型フォレスターは車体や足回りがしっかりしたことで、AWDやブレーキの制御がより緻密に、そして違和感なく介入してきます。

ステアリングを切ると、アクセルを踏んでいてもいなくても、クルマはドライバーの意図したラインに向きを変えようとします。リアの駆動力を積極的に使うことで、姿勢を安定させる制御が、特に滑りやすい路面で絶大な安心感を生み出していました。
こうした高い走行安定性(走行安全)が、「0次安全」の視界の良さ や、「予防安全」のアイサイト と組み合わさる。だからこそ、ドライバーは自信を持って運転操作に集中できる。
それこそがスバルの目指す「安心と楽しさ」なのだと、新型フォレスターのハンドルを握りながら強く感じました。
Writer: くるまのニュース編集部
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