まさかのスポーティ仕様! トヨタ“新”「センチュリー“GRMN”」公開! 400馬力超え「V8ハイブリッド」搭載&“走行性能”強化!? 一味違う「2台のセンチュリー」何を示すのか
「ジャパンモビリティショー2025」で、最大の話題を集めているのは、トヨタが打ち出したセンチュリーのブランド化と、そのバリエーションとして追加されたクーペであることは間違いありません。しかし、そんなジャパンモビリティショー2025のセンチュリーのブースには、他にも白と黒の2台のセンチュリーが展示されていました。この2台は、いったい、どのような狙いがあるのかをレポートします。
ブースに登場した白と黒のセンチュリー
「ジャパンモビリティショー2025」で、大きな話題となったのが、センチュリーのブランド化です。ひとつの固有のモデルではなく、今後、センチュリーは、レクサスやGRと同様に、複数台を抱えるブランドになるという宣言でした。
そして、それにあわせてオレンジ色(緋色)のクーペがお披露目されたのです。現状ではコンセプトカーですけれど、そのうち、この量産モデルが登場することが確実視されています。

そんなセンチュリーの展示スペースには、実のところ、他に2台のクルマも展示されていました。それが白と黒の「センチュリー」です。白がセダンで、黒がSUVタイプとなります。どちらもすでに発売されている量産車ですけれど、よく見てみると、相当にカスタムされています。一体、この2台は、どのような狙いで、そして、どんな内容なのでしょうか。
そこでセンチュリーの広報担当者に、この2台のセンチュリーの内容を聞いてみました。
フルオーダーシステムの見本となる黒
黒いSUVタイプのセンチュリーは、トヨタのニュースルームにも「CENTURY TAILOR MADE」の名称で写真が公開されています。艶を消したマットブラックのエクステリアカラーが、ただモノではない迫力を生んでいます。ちなみに「TAIKOR MADE(テイラーメイド)」とは、洋服や家具などに対して、細かく内容を注文することを意味します。「オーダーメイド」と同じ内容ですが、「テイラーメイド」は洋服などに使われることが多いでしょう。
「そもそもセンチュリーは、フルオーダーシステムを採用しています。ボディカラーもインテリアも、お客様がお好きなようにカスタムすることができるのです。そのオーダーシステムの一つの例として、今回、作り上げたものが、黒のセンチュリーとなります」とセンチュリーの担当者は説明してくれました。
センチュリーといえば、鏡のように磨き上げたピカピカのブラック塗装が代名詞のようになっていますけれど、あえて反対のマット塗装に仕上げることで、「センチュリーは、どんな注文にも応えますよ」という姿勢を示しているのでしょう。
また、インテリアはマットのブラックに対照的なまでに派手な色になっています。クーペと同じ赤に近いオレンジの緋色です。ちなみに、バックドアにある「CENTURY」のエンブレムは、表面こそマットブラックですけれど、側面にはオレンジ(緋色)が使われていました。
さらに、後席の足元のマットは、ブラックに仕上げた畳! 細部にまで、こだわり抜く、センチュリーらしい1台と言えるでしょう。
章男会長の白モデルと同じGRMN仕様
もう1台は白いセダンタイプのセンチュリーです。白いセンチュリーのセダンといえば、トヨタ会長である豊田章男氏の愛車であるGRMN仕様が有名です。今回のジャパンモビリティショー2025のセンチュリーのプレスカンファレンスにも登場しましたし、過去に箱根駅伝の伴走車に使われたこともあります。
では、今回の展示車が章男会長のクルマかといえば、また違います。これは、白い章男会長のGMMN仕様のセンチュリーをベースに、さらなる追加カスタムを施したというものだというのです。
センチュリーは、フルオーダーシステムがありますから、「章男会長のGRMN仕様と同じに」という要望があれば、それも可能となるわけです。
ちなみに元のGRMN仕様と異なるのがスポイラーとGRのエンブレムです。スポイラーは、カーボンファイバーで作られていますが、よ~く見ると、なにやら模様が透けて見えます。なんと、西陣織をカーボンの糸で織りあげ、それをベースにカーボンファイバーに仕上げたというのです。“そんなことできるんだ!”という驚きの内容です。
また、GRのエンブレムは、黒と赤というブランドカラーで作られるのが通常です。ところが、この白のGRMN仕様のセンチュリーに使われるGRのエンブレムは、黒とグレーという組み合わせです。
「軽井沢のマクドナルドは環境に配慮して看板の色を変えている」ことにヒントを得て、同じようにセンチュリーに使うGRエンブレムの色も変えてみたというのです。ちなみにエンブレムそのものは七宝焼きであるとか。
ちなみに気になるパワートレインや足回りなどに手が入っているのかという点ですが、詳細は教えてくれませんでした。しかし、ベースとなるセンチュリーのシステム最高出力431馬力を発揮する5リッターV型8気筒エンジン+モーターのハイブリッドシステムには大きな変更がない点や、足回りのチューニングを見直し、“ドライバーも楽しめる”仕様になっていることは教えてくれました。
ショーファーなクルマだけにGRMNでも、大きな変更はされておらず、通常仕様に比べると“ほんの少し”後席の乗り心地は悪くなっているようですが、いずれにしても上質な乗り心地はキープされているようです。
日本だけでなく海外展開を視野に入れた展示
今回の2台のセンチュリーは、これまでの日本にあったセンチュリーのイメージから大きく逸脱しています。
従来のセンチュリーは、VIP向けではありましたが、あくまでも皇室関係や企業のトップなど、フォーマルな場で使うものというイメージです。非常に真面目で、お硬いクルマと言っていいでしょう。
ところが白と黒の2台のセンチュリーから受けるイメージは、もっと派手で、そして自由なもの。これは、ブランド化したセンチュリーが海外展開する中で、新たに出会う新しいユーザーに向けたアピールに違いありません。
ジャパンモビリティショー2025のセンチュリーのプレスカンファレンスで、トヨタ会長である豊田章男氏は、センチュリーを「日本の心、『ジャパン・プライド』を世界に発信していく、そんなブランドに育てていきたいと思っております」と言っていました。
新しいユーザーに向けて、センチュリーも変わってゆくのでしょう。そんな未来のセンチュリーが、この2台からは感じることができました。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。
























































