トヨタ“新型”「ハイエース」!? “200系”級「4ナンバーサイズ」&「ガソリンエンジン」採用!? 20年超え“全面刷新”実施に向け「ハイエースコンセプト」公開…トヨタの新たな商用シリーズとは
「ジャパンモビリティショー2025」のトヨタブースでは「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」を筆頭に5台もの商用車コンセプトが並んでいました。なぜ、そんなにもたくさんのモデルが並んだのか。また、それぞれの狙いなどをレポートします。
トヨタのブースで大きな存在感を放つ商用車たち
「ジャパンモビリティショー2025」のトヨタのブースは、入口が左右に広く、入り口半分だけが奥に伸びるという格好をしています。左右に広い入口には古い自動織機や、トヨダG1型トラックなど、トヨタのルーツとなる存在が飾られており、その奥に伸びるステージにコンセプトカーが並んでいます。
そこで驚いたのが、コンセプトカーを展示するステージの半分近くが商用車コンセプトであったことです。最奥は左右に商用コンセプトが並び、4台以上の商用車コンセプトが用意されていました。

「商用車はもともと少数多品種を特徴としています。同じハイエースでも、車高や全長がいろいろと異なる仕様が用意されています。今回、トヨタは『TO YOU』をキーワードに、アナタのためのクルマを用意することを提案しています。そのため商用車でも、数多くのバリエーションを用意して、いろいろなユーザーに向けて発信しようとなりました。今回は、そうしたコンセプトカーに、どのようなフィードバックがあるのかを知るのが狙いです」と、トヨタの商用車コンセプトの担当者は説明してくれました。
物流を支えるKAYOIBAKO
そんな商用車コンセプトのひとつが「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」です。前回の2023年の「ジャパンモビリティショー」にも登場した商用車コンセプトが、より進化した形で登場しました。
トヨタは「お客様のもとにサービスを届ける社会インフラ・モビリティ」「好きな時に・好きな場所で・好きなことができる」「仕事も遊びも自由に使えるスペースの原単位を提案」と説明しています。
サイズ的には、他の2台の商用車コンセプトよりは小型です。キュートなデザインはそのままに、ディティールがより量産車に近づいています。左側のドアが前後に開く観音開きになっており、非常に低床であることも特徴です。
メーター周りのデザインはシンプルそのもので、フロントウインドウ下に上下に短く左右に長いメーターディスプレイが配置されています。
異形のステアリングにはアクセルとブレーキ操作機能が備わっており、手だけで運転操作が可能。つまり、足の不自由な人でも運転できるのです。今回のコンセプトでは、三脚の個人用モビリティ「walk me」を使って車内に乗り込み、運転と配達を行うことが展示されていました。
2つHIACE CONCEPT
KAYOIBAKOの隣と向かいに展示されたのが2台の「HIACE CONCEPT(ハイエースコンセプト)」です。名前の通り、商用バン「ハイエース」の未来を示唆するコンセプトカーです。
エクステリアとインパネ周りのデザインはKAYOIBAKOと同じテイストが採用されていました。
ステージのHIACE CONCEPTは、現場工事向けの仕様で、ドライバー1人乗りで、最大3mものハシゴなどの長物を搭載することができます。ルーフに積まれたキャリーケースにはドローンが積まれています。
トヨタは「商用バンから始まるサスティナブルな世界」「現場を変える、働くをもっと楽に楽しく支える」「効率的で使いやすい空間とインフラの新提案」と説明しています。働く人のためのツールのようなクルマです。
もう1台のHIACE CONCEPTの狙いは医療です。「いつでも、どこでもあなたのケアのためにやってくる」「地域と健やかな暮らしをつなげる健康のハブ」「集える空間の実現とリモートコミュニケーションが可能」と説明されています。車内を立って歩けるハイルーフ仕様で、車内で診療や治療を行います。
また、通信機能を持たせることで、医者が乗っていなくても、遠隔医療できる…必要なところにフットワークよくやってきてくれる移動クリニックです。
ちなみに、ハイエースコンセプトの具体的なボディサイズについては非公開ですが、「比較的小さいロールーフモデルは“200系”ほどの4ナンバーサイズ、比較的大きいハイルーフモデルは“300系”ほどのサイズ」とのことです。
日本での現行モデルである5代目(200系)は2004年より発売されているロングセラーモデルで、近い将来フルモデルチェンジを迎えるとなれば20年以上ぶりのモデルチェンジとなるため、多くの注目を集めることでしょう。
人の移動を支える「KAGO-BO」
最後のトヨタの商用車コンセプトは、人流を支える「KAGO-BO」です。「安全・安心な移動を楽に楽しく」「すべての人に移動の自由を提供できるNEW TAXI」「超快適広々空間!人に寄り添うクルマ型ロボット」とトヨタは説明します。
これは、言ってみれば完全なる自動運転のロボット・タクシーです。観音開きのドアから入る室内空間には、対面式の座席しかありません。
運転席がそもそも存在しないのです。ですから、クルマの屋根の上にはLiDARやカメラなどのセンサーを搭載する場所が用意されています。また、このスタイルだと、エンジンを載せるのは無理ですから、当然のように電気自動車として充電している写真も公開されています。
ちなみに、他のKAYOIBAKOとHIACE CONCEPTのパワートレインは、マルチパスウェイ戦略に則り、エンジンもハイブリッドもモーターも可能と説明されていました。
数多くのバリエーションが提案されましたが、そのデザインのテイストは統一されています。ちょっと先の未来の商用車は、このようなモダンで親しみやすいデザインになるのではないでしょうか。
働くクルマである商用車は、街の風景を形作り重要なパーツのひとつです。未来の日本の風景は、こうした商用車が作っていくはず。興味深いコンセプトカーと言えます。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。




































































































