バイパスわきに落ちている「謎の液体入りペットボトル」 中身は一体なに? 汚い「謎ボトル」発生の原因は「トラックドライバー」の劣悪な労働環境が由来… どういうことなのか

高速道路や一般道のバイパスなどに中身の入ったペットボトルが入っていることがあります。その正体には、深いワケがありました。

「謎のペットボトル」 発生の原因は「やむにやまれない事情」も

 高速道路や一般道のバイパスなどに落ちているペットボトル。

 空っぽかと思いきや、中身には変な液体が。その正体とは…。実はドライバーを取り巻く「社会問題」のすべてが詰まっていました。

道路に落ちている「中身入りペットボトル」の正体とは(画像:PIXTA/イメージです)
道路に落ちている「中身入りペットボトル」の正体とは(画像:PIXTA/イメージです)

 高速道路に乗るときや降りるとき、はたまた交通量の多い片側2車線の国道などにペットボトルが捨てられている光景をしばしば見かけます。

 しかもよく見ると中身が入っていることも珍しくありません。

 食事中の方やこれから食事する予定の方、ここでいったん離脱してください(ホントは困るんですが)。

 ここからは「いったん離脱した」という体で話を進めます。

 道路わきやガードレール下に「液体入りのペットボトル」が落ちているのを見かけますが、中身はほとんどの場合、お茶などの飲み物ではなく「尿」です。

 ではなぜ、道路に「汚水入りペットボトル」が捨てられるのでしょうか。

 長距離ドライバーやトラックドライバーなど、特に大型のクルマは一般道はもちろんのこと、高速道路においてもクルマを駐停車してトイレに行くという行為自体が容易ではありません。

 PA/SAでも時間帯によって止める場所の確保にかなりの苦労を要します。乗用車は空いていても、大型車は満車という光景を見たことがあるはずです。

 さらには大型車用のスペースに乗用車が停まっていて使えない…なんてことも。

 トイレを我慢してやっとの思いでPA/SAに着いたと思いきや、空いているスペースがない…。次のPA/SAまでは少なくとも数十キロ先で、そこまで我慢できない…。

 このときの絶望感たるや、大型車に限らず乗用車のドライバーでも経験したことがあれば容易に想像できるはずです。

 また、下道であればコンビニ…といいたいところですが、トラック用の駐車スペースを用意しているところが限られており、皆考えることは同じなので、すでに他のトラックドライバーが停車しているなど「分かっちゃいるけどどうにもならない」ことが常態化しています。

 そこで道の駅のトイレが頼みの綱となるわけですが、夜間や深夜は閉鎖されているところもあり、開いているところは他のトラックが休憩していて動かない=止める場所がないというわけです。

 つまり、ペットボトルがトイレ代わり…は、やむを得ない、まさに最終手段であることも知っておく必要があります。

 ちなみにこうした「駐車場事情」だけでは話は終わりません。トラックドライバーたちの「劣悪な労働環境」も原因のひとつです。

 荷主から厳しい時間指定があり、搬入先も「搬入時刻」が分単位で定められ、常に時間に追われながら走行しなければなりません。

 そうなると、おちおち「トイレに行きたいから高速を降りてどこかでゆっくり用を足すか」なんていうことはできないのです。

 こうしたトラックドライバーならではの「極限のストレス状態」も、汚水入りペットボトルを発生させていることを考えておかなくてはなりません。

 ただし、いちど汚水が入ってしまったペットボトルはリサイクルができず、廃棄処分するしかありません。

 中身(汚水)が入ったまま捨てるわけにはいかないし、処理に困ってそのまま路上に投棄してしまう、という結末となります。

 路上に捨てられている液体入りのペットボトルの中身全てが「それ」だとは言い切れませんが、液体の色が黄色っぽい、濁っている場合はほぼ確実にそれ(汚水)だと思ってください。

 それ以外にも、ペットボトルを灰皿代わりにして、茶色く濁った液体にフィルターが浮いていることもあります。

 もちろんこのペットボトルも廃棄処分です。

 そして、言うまでもなく路上投棄は「廃棄物処理法違反」や「軽犯罪法違反」となり、見つかれば処罰対象です。

 たまたま処罰されなかった謎の液体入りペットボトルが路上に放置されているというわけです。

 とはいえ、このゴミを誰かが処分しなければ永遠のそのままです。

 その多くは高速道路会社や市町村、ボランティアが定期的に路肩のごみを回収・処分しています。

 素手ではなく、手袋を着用するのはもちろんですが、処分する際にはフタを外し、中の液体を捨てる必要があります。

 どこかで誰かが嫌な思いをしながら後始末をしています。そのことを肝に銘じておきたいものです。

 100円ショップや大型車の利用が多いコンビニ、またPA/SAでも携帯用トイレが売られています。

 トイレが近い、いざというときにトイレが見つからず苦労した経験のある人はクルマに常備しておくことをおすすめします。

 そしてなにより、トラックドライバーの皆さんの労働環境が、早急に改善されることを願いたいものです。

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Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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