1番 “止まる”都道府県はどこ? 「信号機のない横断歩道」での一時停止率をJAFが公表! 全国平均では4割以上のドライバーが停止できていない現状も
JAFは、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとする際にクルマがどれだけ停止するかを全国で調査し、その結果を公表しました。10年連続の1位を獲得し、2位とも10ポイント以上の差をつけたのは一体どこの県なのでしょうか。
停止率全国1位は10年連続で長野県! その理由とは?
JAFは先日、2025年8月7日~8月28日に実施した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における一時停止状況全国調査」の結果を公表しました。
この調査は月曜日から金曜日の10時~16時の間、信号機のない横断歩道(各都道府県2箇所ずつ)において歩行者が渡ろうとする際、通行車両がどれだけ一時停止するかを調べたもので、2016年から毎年おこなわれています。

そもそも横断歩道や自転車横断帯がある場所では、道路交通法第38条の規定により、通行する歩行者や自転車を優先しなければなりません。
たとえば車両が横断歩道や自転車横断帯に接近する場合は、渡ろうとする歩行者や自転車がいないことが明らかな場合を除き、横断歩道の直前(停止線の直前)で停止できるような速度で進行することが義務付けられています。
加えて、横断歩道や自転車横断帯を横断中、または横断しようとしている歩行者・自転車がいる場合、車両は横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げないようにする必要もあります。
これらのルールを守らずに車両を運転すれば、歩行者や自転車をはねてしまう痛ましい事故につながりかねません。
今回のJAFの調査によると、全国の信号機のない横断歩道を通過した車両6226台のうち、歩行者が横断しようとする場面で一時停止した車両は3528台。全国平均では56.7%の停止率となりました。
これはJAFが2016年に調査を始めて以降、過去最高の停止率ではあるものの、依然として4割以上のドライバーが停止できていないという状況が浮き彫りとなっています。
なお一時停止率が高かったのは、以下の都道府県でした。
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1位:長野県 88.2%(前年調査の停止率は87.0%)
2位:岐阜県 78.0%(前年75.2%)
3位:福岡県 77.7%(前年74.3%)
4位:熊本県 77.4%(前年74.8%)
5位:宮崎県 76.5%(前年70.2%)
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その一方で、一時停止率が低かったのは山口県の34.3%、大阪府の35.5%、福井県の35.8%、沖縄県の36.9%、北海道38.1%でした。
特に長野県は、2016年に調査を開始して以来10年連続で全国1位という高い停止率を誇り、2位の岐阜県と比べても10.2ポイント高い結果となっています。
SNS上においても「長野のここがすき:信号のない横断歩道を渡ろうとしている時、ほぼ100%クルマが止まってくれる」「長野県引っ越して、横断歩道でほとんどのクルマ止まってくれるなーって思ってた」などの声が上がっています。
長野県内では子どもの頃から、横断歩道で停止してくれたドライバーに歩行者がお辞儀をする文化が根付いており、車両と歩行者の双方が気持ち良く通行できることが高い停止率の理由とも考えられています。
また、長野県警では2013年から標識の周りが光る「外周発光装置付き横断歩道標識」を本格導入しており、横断歩道標識がドライバーから見えやすくなったことも影響しているといえるでしょう。
そしてJAFが毎年この調査結果を公表することも、停止率アップに関係しているといわれています。
実は長野県の停止率は、調査が始まった2016年時点は48.3%でしたが、2017年に64.2%、2018年に58.6%、2019年に68.6%、2020年に72.4%、2021年に85.2%、2022年に82.9%、2023年に84.4%と増加傾向にあることがうかがえます。
そのほか2018年に停止率が全国最下位の0.9%を記録した栃木県では、官民を挙げて対策を実施したところ、2023年時に停止率45.1%で全国3位となり、2025年時点は停止率が67.8%にまで上昇しています。
ニュースで大々的に報じられたことがキッカケで、県民の安全意識が高まったといえそうです。
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信号機のない横断歩道の手前には、前方に横断歩道や自転車横断帯があることを知らせる「ひし形マーク」が設置されています。
ドライバーはひし形マークを見つけたら、「この先に歩行者や自転車がいるかもしれない」と意識し、安全運転を心がけることが重要です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。
























