シャープ“新”「コンパクト“ミニバン”」公開! “ちょうどいい”サイズ感&“広びろ”内装採用! ぐるぐるシートも搭載の「LDKプラス」どんなクルマ?
家電メーカーであるシャープが、「ジャパンモビリティショー2025」に参加し、EVコンセプトカー「LDK+」を発表しました。一体、どのようなクルマなのか…また、なぜ家電メーカーであるシャープがEVコンセプトを持ち込んだのか、レポートします。
スライドドアを持つコンパクトミニバンEV「LDK+」
家電メーカーであるシャープが、「ジャパンモビリティショー2025」でEVコンセプトカーである「LDK+(エルディーケープラス)」を持ち込みました。これはスライドドアを備えたコンパクトなミニバンタイプのEVです。
実は、シャープは昨年9月にLDK+すでに発表しており、今回のコンセプトカーは、その進化版となります。

そんなシャープのEVを理解する上で重要なのが、シャープの現在の状況です。シャープは「目の付け所がシャープ」で知られる、創業100年を超える老舗家電メーカーです。ところが、経営不振などを経た紆余曲折の末、2016年から台湾の鴻海グループの一員となっています。
そんな鴻海は、EV開発に熱心に取り組んでおり、すでに量産車の生産も行っています。つまり、鴻海のリソースを使えば、シャープもEV事業に参入することが可能となります。
実際に、2024年5月に発表されたシャープの中期経営計画では、AIへの注力と共に、EV事業への2027年参入も予告されているのです。ちなみに、今回、発表された「LDK+」は、鴻海グループの開発するEV「モデルA」をベースにしています。車体がすでにあれば、2年後の市場導入も、それほど難しくはないという考えなのでしょう。
小見出し:95%停まっているなら家電で勝負できる
とはいえ、クルマの開発に歴史のないシャープのEV事業参戦は、勝機があるのでしょうか? その点を「ジャパンモビリティショー2025」の現場にいたシャープの担当者に尋ねてみれば、「100年の歴史ある自動車メーカーに、走りの競争をしていては勝てるわけがありません」と言います。ところが、「クルマは1年のうち95%は駐車場で停まっています。それを家として見れば、シャープとしてできることがいろいろとあります」というのです。
つまり、「LDK+」は、走る/曲がる/止まるではなく、駐車中に部屋として使うことをコンセプトにしたEVだったのです。キーメッセージは「Part of your home」。つまり、「あなたの家の一部」がコンセプトカー「LDK+」という提案です。
具体的には、駐車中のシアタールームやリモートワークの部屋として車内を利用しようというのです。
そのために回転式のシートや、テーブルやプロジェクターを内蔵したコンソールボックスなどが採用されています。さらにシャープ独自のAI技術を使い、自宅の家電(空調や洗濯機)などとクルマを連携させることも可能とします。
また、EVにはソーラーパネルが装備されており、V2H機能で、EVを住宅用蓄電池として使用することも想定されています。
走る/曲がる/止まるだけではなく、新たなEVの利用価値を提案するのがシャープのLDK+だというのです。まさに「目の付け所がシャープ」という文言どおりの鋭いコンセプトカーと言えるでしょう。量産モデルは、家電メーカーならではのお手頃価格で登場することも期待のひとつです。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。























