ホンダ斬新「“2列6人乗り”ミニバン」に注目! 「シエンタ」サイズのボディに「前列3人掛けシート」がスゴイ! 前のめりな“前傾デザイン”も特徴的! “クセ強”モデル「エディックス」って?
コンパクトミニバンの定番といえばトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が思い浮かぶなか、20年前のホンダには、それらとはまったく異なる発想で作られた“異端ミニバン”が存在していました。時代を先取りしすぎたその設計思想が、いま再び注目されています。
挑戦的なレイアウトと前傾デザインが目を惹く
国内市場では依然としてトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」といったコンパクトミニバンが高い人気を誇っていますが、その背景には「狭い街中でも扱いやすく、多人数で快適に移動できるクルマ」への需要の高まりがあります。

こうした中で思い出されるのが、かつてホンダが挑戦した独創的なミニバン、「エディックス」の存在です。
エディックスは2004年に登場し、2009年まで販売されたモデルです。見た目こそ一般的なコンパクトミニバンに近いものでしたが、その設計思想は当時としては極めて先進的でした。
全長4285mm×全幅1795mm×全高1630mm前後というサイズは、現行シエンタやフリードとほぼ同等。
街中での取り回しがしやすく、ファミリー層が日常的に使うクルマとしての利便性を重視していました。
しかしエディックスが特に注目を集めたのは、その独創的なインテリアレイアウトです。
最大の特徴は、前列にも3席を並べた「3+3」の6人乗り構成を採用したことでした。一般的なミニバンが2列5人または3列6~7人乗りであるのに対し、エディックスは2列で6人という新しい発想を提案しました。
これにより、全長を抑えながらも多人数乗車を実現し、家族全員が近い距離で座れる「親密な空間」を提供しました。
また、6つのシートすべてが前後にスライド可能で、状況に応じて柔軟にアレンジできる点もユニークでした。
前列3席を少しV字型に配置することで、隣り合う乗員の肩がぶつからないよう工夫されており、中央席に座る人の快適性にも配慮されています。
さらに、ルームミラーを運転席寄りにオフセットするなど、視認性と安全性を両立させた設計も特徴でした。
こうした細やかな設計思想は、当時のホンダらしい「人中心のクルマづくり」を象徴していたといえるでしょう。
外観も個性的でした。低く構えた「クラウチングスタイル」と呼ばれる前傾姿勢のデザインは、まるでアスリートが走り出す瞬間のような動感を表現。
ショート&ワイドなボディラインはスポーティでありながらも、日常使いに馴染む親しみやすさを兼ね備えていました。デザイン面でも機能性と感性を融合させたモデルといえます。
エンジンラインナップは、登場当初が1.7リッターと2.0リッターの直列4気筒で構成され、後期には2.4リッターエンジンも追加されました。
2.4リッター仕様は余裕のある加速を実現し、高速走行時の安定感も向上。日常の街乗りからロングドライブまで、幅広いシーンでの快適な走行を可能にしました。
一方で、エディックスの革新的な設計はすべてのユーザーに受け入れられたわけではありませんでした。
3人掛けの前席は確かに新鮮でしたが、中央シートがドアから遠く、乗り降りにやや不便を感じるという声もありました。
また、当時の市場ではスライドドアを備えた3列ミニバンが主流となりつつあり、より多人数を乗せられるモデルへの需要が高まっていたことも販売不振の一因となりました。その結果、エディックスは2009年に静かに生産終了を迎えることになります。
しかし近年、EV(電気自動車)の普及によって自動車の基本構造は大きく変化しています。
モーター駆動によるコンパクトなパワーユニットとフラットな床面設計が可能になり、車内レイアウトの自由度がかつてないほど高まっています。
こうした技術進化は、エディックスが提案したような「前席3人掛け」という発想を再評価する土台を作りつつあるといえるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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