全長2.2m! ダイハツ新「ミゼットX」世界初公開! めちゃ斬新カワイイ「“3人乗り”ミニカー」に期待大! 「デザインの意図」や“今後の展開”についてデザイナーに聞いた!
ダイハツが「ジャパンモビリティショー2025」で世界初公開した「ミゼットX」について、同社のデザイン部長に語って頂きました。
全長2.2m! ダイハツ新「ミゼットX」世界初公開!
ダイハツは「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」にて、ひときわ小さなボディが目を引くコンセプトカー「ミゼットX」を世界初公開しました。
一体どのような狙いや特徴を持つモデルなのでしょうか。
「面白いもの」を作ろう
【Q】これはどういうクルマと考えればよいでしょうか?
皆川悟氏「現状のカテゴリーで言うと、軽自動車です。
今回ブランドの再生、それからトヨタのグループビジョンの“発明”から、ダイハツでいう発明は初代『ミゼット』だと考えました。
当時のミゼットはお客様の、特に街の小口配送や配達のニーズから生まれて、かつ人の移動も支え変えたクルマでした。
そういった発明精神を未来に受け継ぐクルマとして、コンセプトという形ではありますが今回の提案につながっています。
ではこのクルマの提案先は現代のどういったお客様か。もちろん小口配送も想定はしたいのですが、今回出展したモデルでは、特にお子さんと自転車に乗っているお母さんの移動時の安全や雨の時の不便さの解消が目的です。
いろいろインタビューをしていると、女性からいまの軽自動車でも大きいという声が多く聞かれるのです。
そこで短い移動であればよりコンパクトで、より簡便な移動の仕方があるんじゃないか、というコンセプトの提案です。
そういった困りごとや家族のコミュニケーションを変える、そういったところができるのではないかと考えています」
【Q】それであればもっと小さくてもいいかもしれませんね。
皆川悟氏「おっしゃる通りで、もう少しコンパクトなタイプもいろいろ検討しています。
現在は全長2.2m×全幅1.3mと、軽枠よりは小さいのですが、それでもそれなりの幅はありますよね。
もう一つ小さくして全幅1.1mとしたときにで何ができるのかも提案したいのですが、まず今回はコンセプトとして形にして、とにかく“面白いもの”を作ろうとしたのです。
こういうちょっとプリミティブな車両でプラットフォームみたいなものを整え、それをスケーラブルな考え方で、軽と『e-SNEAKER』の間にある可能性を探れないか。
将来的にそういう技術の会話ができる切っ掛けにしたいという思いを込めています」
【Q】デザイン的にも相当なこだわりが見られますね。
皆川悟氏「まずは初代ミゼットをオマージュして、ヘッドライトの丸目と、後ろヒンジのドアを採用しています。特にドアは子どもがワーッと自分から乗り込めるという動線を確保できることも、後ろヒンジにした理由です。
そしてインテリアも“ボルダリング風”にして、お母さんが乗れと言わなくても、子どもが乗りたいと思うような雰囲気を持たせました。
それからフロントシートのサイドには、お菓子を入れられるような収納ボックスを作りました。
短い時間ですが、車内でお母さんと子どもとのコミュニケーションの役に立てばという思いです。
とにかくお母さんは忙しい時間でも『クルマに子どもを乗せてベルトして』となると時間もかかるし、そうなるとストレスも感じてしまうでしょう。
ですから子どもが喜んで乗りたいなって思ってくれるような世界をどうやったらできるのかとデザインしていったのです。
普通車だとこんな感じにはしませんが、今回はとにかく入れられるアイデアを全部入れてしまえという勢いでした」

【Q】インテリアのカラーもワクワクさせますね。
皆川悟氏「そうですね。この辺は若いデザイナーがこんなのやりたいと一生懸命提案してくれましたので、その可能性を消さずに全部やろうと。
多少賑やかですけども、パッと見て子どもが喜ぶ、子どもが楽しそうって思ってもらえるところを目指しました。
それから私が一番面白いと思うのは、ドアを開いた状態で正面から見ていただくと、ちっちゃい虫が飛んでいるみたいなアイコニックな表情になるところですね」
【Q】ドアの内側にあるデザインは何ですか?
皆川悟氏「あれは傘をかけるところです。雨でびしょびしょの傘がそこのタオルで吸収してくれるのです。
これまでのクルマでは、子どもが傘を持ってきて『クルマの中でどこに置こう?』と言いながらビジャビジャになってしまって、お母さんが怒っちゃうみたいなシーンもあるじゃないですか。
それをデザインで解決しようと取り入れたのです。
実はこのデザインはドアからフロアに繋がっていて、デザイナーは“天の川”と呼んでいます。
また、できるだけ再生プラスチックのようなものを多く使っており、サスティナブルとともに軽量化に繋げることも考えています」
【Q】カラーといえば、ボディカラーも当時のミゼットをオマージュしていますね。
皆川悟氏「もともとは本当に後期型のミゼットのちょっと薄いグリーンをそのままやろうかなと思ったのですが、やはりノスタルティックになってしまうので、少し未来を感じさせる色味にチューニングしました。
でも醸し出す雰囲気や(人との)距離感は、当時のミゼットの親しみやすさに繋がりますから、そこは再現したくてこのカラーになったのです」
【Q】リアに背負っている箱は何でしょう?
皆川悟氏「アイデア的には、サイドのダイヤル状のものを回して開閉するのですが、その中に子育てグッズなどが収納できます。
小口配送であればもう少し容量の大きいものを選んでもらえるようにしたい。
そういったところも含めて、買って終わりではない形にできるといいですね」
【Q】因みに、なぜ車名がミゼット“X”なのですか?
皆川悟氏「ミゼットはこれまでコンセプトを含めて“4”までありましたので、じゃあ“5”じゃないかというところもありますし、未来・未知数ということで“X”になりました。
今回のミゼットXはお母さんと子供という想定ですが、ソロキャンプをやる方とか、個人で移動されて趣味に使う方、あとは移住されて農業をされる方々など、ミゼットIIの時には想定していなかったライフスタイルの方が結構いらっしゃることにも気付いています。
そういった方の移動は少人数で、でも何か運びたい、DIYで何かやるというとそれなりの荷物が積める必要があります。
なので、このクルマもそういう広がりを示せるいいなと思っています」
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このようにミゼットXは、まさにユーザーと最も近い距離感のメーカーである、ダイハツならではの提案と言えるでしょう。
使う身になった様々な提案がこの小さなボディに詰め込まれているのです。












































































