日産「新型エルグランド」世界初公開! 伝統の「二段ヘッドライト」に斬新グリル採用! 全高・全幅も拡大で「さらに大型化」! 担当デザイナーに“狙い”を聞いた!
ダイナミックさと緻密さと
【Q】日産デザインとしては「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」は強調すべきところですね。エルグランドではどのように表現しているのですか。
佐藤氏「現在、韓国や中国メーカーの勢いがありますし、スペックや価格だけではなかなか戦っていけない時代になってきています。
そこでデザインで特徴を出していくとすれば、日本の歴史と先進性をデザインで表現できるところだと考えました。
日本の建築や日本庭園、そして組子細工などからインスピレーションを得ているのです。
例えば隈研吾さんのデザインした建築は、ダイナミックでありながら、緻密な木の並びなどを持っています。
そこでエルグランドでは、プロポーションでダイナミックに見せておいて、その中に緻密な日本らしい所作を入れています。
大きなクリーンな面でダイナミックさを感じさせて、グリルや、ランプ、ホイールなどから緻密なディテールを見せる。
それらのコントラストで日本らしい高級感を醸し出しています」

【Q】そういった精緻さから、日本的なところを感じさせたいのですね。
佐藤氏「例えば欧米のご飯は、お皿にもりもりにご飯を盛ったりしますよね。
でも日本料理はお皿に少し間があって、そこに美味しいものがぎゅっと凝縮して盛られている。そんな考えです」
【Q】因みに、佐藤さんがこのエルグランドでやりたかったことは、どんなことですか。
佐藤氏「ライバルに戦える強い塊感と、モダンで先進的なデザインですね。
プロポーションやシルエットはガチっと強いものにしておいて、細部はクリーンで先進的に見せることで、欧州車からも買い替えてもらえるような、そういうクルマにしたかったのです」
欧州車からの乗り換えも想定して
【Q】インテリアはいかがでしょう。
佐藤氏「こういったミニバンの場合、様々な部署から『こういうものを入れられるようにして欲しい』などの要望が強く出て来るのです。
例えばゲームソフトや、長財布を置けるようにしたいといったファンクションの要求です。
しかしあまりにもファンクショナルにしすぎると高級感が出せないんですね。
なので、そこは結構戦いました。そうすることで、コンソールはあまり凸凹がないようにしてシンプルなデザインにしましたし、助手席側にあるカップホルダーにリッドを付けるなどで、高級感とシンプルさを表現しました」
【Q】インテリア全体では、広々感とともにつつまれ感もあるように見えますね。
佐藤氏「そうですね。まさに昔のミニバンはウォークスルーができることもあり、ちょっとスカスカしていました。
もちろんそれなりにドライバーオリエンテンテッドではあるのですが、やはり欧州車から乗り換えてもらうことも考えると、ドシッとして立派なコンソールなども必要になって来ます。
そうすることでつつまれ感や安心感もあると思います。
以前、私はサンディエゴスタジオに4年くらいいたんです。
そこで見たアメリカのピックアップトラックはコンソールがすごく大きくて、パワフルな奴が乗ってるぜ!みたいな感じがあって(笑)。
そういう塊できちんと見せる必要があるところは意識しました」
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2026年夏に発売が予定されている新型エルグランド。
3代目で全高とともにヒップポイントが低くなったことで、ユーザーからは「ライバル車から見下ろされる」というフィードバックがありました。
そこで今回はサイズ的にも競合と比較し、ひとまわり大きいくらいのサイズ感になっているそうで、全高は現行車より90mm以上高く、全幅は40mm近く拡大したとのこと。
それによってインテリアスペースの拡大だけでなく、エクステリアで使えるデザインしろが大幅に増えています。
そこで“威風堂々”というキーワードを持つ、今回の新型エルグランドのデザインが完成したのです。

































































