スズキ「“新”e-VanVan」はなぜ復活した? 「市販されたら最高だなと思って作った」 往年の「レジャーバイク」コンセプト登場 JMSで開発陣が語る想いとは

2025年10月31日に一般公開が始まったJapan Mobility Show 2025の会場で、スズキがコンセプトモデル「e-VanVan」(イーバンバン)を披露しました。どのような経緯で誕生したのでしょうか。

根強い人気の「VanVan」が電動車として登場

 2025年10月31日に一般公開が始まったJapan Mobility Show 2025の会場で、スズキがコンセプトモデル「e-VanVan」(イーバンバン)を披露しました。

 スズキが出展したe-VanVanは、「高揚感×個性をスマートに、移動が楽しくなる、新時代のカルチャーモト」をデザインテーマに掲げたコンセプトモデルです。

 VanVanシリーズは、1971年に発売された「VanVan90」を原点とする小型レジャーモデルです。特徴的な前後の極太タイヤと、一目で見る人を引きつける斬新なデザインで人気を博しました。1972年には125ccと50cc、1973年には75ccモデルが加わり、2002年にはそのデザインを踏襲した「VanVan200」が発売されるなど、長きにわたって支持されてきた歴史があります。

スズキのコンセプトモデル「e-VanVan」
スズキのコンセプトモデル「e-VanVan」

 e-VanVanの姿は、かつて同社が展開していたVanVanシリーズをモチーフにしており、「EVになってもバイクに乗る楽しさ、操るワクワクを感じたい」というユーザーの思いに応えるために開発されました。特徴的なのは「デジタル」をテーマにしたユニークなカラーリングとグラフィックで、先進的かつ独創的なスタイリングを演出する中空ヘッドライトや、スタイリッシュさを引き立てるバーエンドミラーも採用されています。

 また、快適な乗車姿勢を支える幅広のハンドル、ゆったりと座れるシート、そして迫力あるワイドタイヤが、このモデルの個性を際立たせています。

 今回の出展に際し、開発に携わったスズキ二輪事業本部の斉藤航平さん、大谷慎哉さん、高橋佳祐さんは、その開発経緯について語っています。「ありがたいことにメディアの皆さんから記事を配信していただいたおかげで、SNS含めて多くの反響を頂いております。実車を出すのは初めてなので、来場されるお客さんは反応が楽しみです」。

 デザインについては「“市販されたら最高だな”と思って、本気でやってきました」と述べ、その背景には既存のEVに対する考えがありました。「既存のEVは、少し華奢だったり、“ちょっとそこまで行く”という、あんまり所有欲を満たすようなものではなかったので、やっぱり持っていて楽しく、EVだけど面白いっていうところでスズキなら“バンバン”だろうということで、このモデルをEV化しました」。

 開発時にはモトクロスなど他の車種も候補に挙がったものの、「“普段の生活が楽しくなる”って言ったらバンバンだろう」という理由でこのモデルが選ばれたそうです。

 e-VanVanの車体サイズは「VanVan200」よりも少し小さく、原付二種クラスを想定しているため2人乗りも可能です。開発者は「原付二種相当のモデルであればで、若い人でも入りやすいでしょうし、なるべくハードル下げたいなっていうところは初代の考えに近いかと思います」と話し、デザイン面では第2世代よりも初代のVanVanをイメージしていることを明かしました。スペックについては「今回、出展しているe-Adress(原付二種相当の電動スクーター)に近しいものだと想像していただければ」とのことです。

 EVならではの設計上の課題にも工夫を凝らしています。「EVはデザイン上、やりやすい部分もありますが、やはりバッテリーはネックで、うまく処理しないと冷蔵庫みたいになってしまい(苦笑)。なので、e-VanVanではカバーを工夫したり、マフラーが無い点を配慮するために配色を凝らすなどして対処しました」。さらに、VanVanらしさの象徴である「太足」を表現するため、ホイールをディスク形状にしてブラックで引き締めるなどの工夫が施されています。

 開発者は最後に「ガソリンエンジンがまだまだやることいっぱいある中、全然関係ないところで今ある技術を採用した趣味要素の強い車両があっても楽しいんじゃないかなという提案ですので、ぜひ実車をご覧いただければと思います」と締めくくりました。

 生産終了後も多くのファンを持つVanVanが、電動モデルとして復活するのか、その今後の展開に注目が集まります。

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Writer: くるまのニュース編集部

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